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仕組みにこだわる理由

最近、会社に勤務していた頃のことをよく思い出します。
勤務したのはわずか8年。研修講師になりたくて30歳のときに会社を辞めました。今後のことについて、すでに研修講師になった方々にご相談をしましたが、皆さん口を揃えて「実務経験が10年以上ないと講師は務まらない」とおっしゃっていました。

でも、私はその言葉が逆に刺激になって「出来るかどうか、私がやってみなければわからない!実務経験が足りないのなら、講師経験を積んで実績を作っていけばいい!」と考え決意が固まりました。
また、実際に勤務したのは8年でしたが、私としては「16年くらいは勤務した」と思えるほど、チャレンジと経験の連続でした。ですから、先輩講師に「実務経験が10年以上ないと…」と言われるたびに、心の中で「一緒にしてもらっては困る」と反発していました。

「8年で16年分働いた気がした」と思えたのは、「仕事とは何か?」を言葉だけでなく行動で示してくださる先輩や上司に恵まれていたからです。
特に衝撃的だったのは、入社してはじめて配属先である支店に出勤した日に、支店長から、
「君たちは、ここに来たことを幸せに思いなさい。そして、仕事をするなら一流を目指しなさい」と告げられたことでした。

"このオッサン、いきなり何を言い出すんだろう?”と思いましたが、それがどういうことか、翌日から少しずつわかってきました。

当時は、会社にコンピュータが導入されて間もない頃(しかも原始的で恐ろしく処理スピードが遅い!)。そのコンピュータがしょっちゅうトラブルでダウンするために、仕事の大半は手作業でした。最初に教えられたのは、「機械を過信するな!操作だけで出来ても仕事をした内には入らない。仕組みを覚えろ」ということでした。

なぜ、マシントラブルが起きたのか?どれくらい時間がかかるのか?
どのようにリカバリーさせればよいのか?
その間に、関連する部署にはどのように交渉するのか?

トラブルのない日など1日もありませんでしたから、いちいち「わー!!!」「きゃーー!!」とパニックになっている暇はありません。
上司や先輩のやっていることを観察しながら、対応のしかたを覚えて自分で対処するしかなかったのです。
でも、そうやって必死になって仕事を覚えようとしていると、時間のあるときには上司や先輩が仕事の仕組みや、姿勢についてわかりやすく話してもらえました。(たいてい、飲みに行ったときですが…)

「仕事が出来る人かどうかは、休んだ時にわかる。突然、休まなければいけなくなっても、普段から、日々の仕事をきちんと完結させていて、どこの引き出しに何が入れてあるか、誰でもわかるようにしているものだ」
上司や先輩は、口がすっぱくなるほどそう話していましたし、担当している仕事に関しては、常に業務引継ぎ書を作成していつでも引き継げるようにしていました。
職場の風土がそうでしたから、私も見よう見まねで手引書を作成するのが仕事になっていました。

人との関わり方についての配慮や厳しさは、仕事だけではありませんでした。物流の仕事は、現場作業に従事して下さる方、配送業者さんたちなど、多くの方に協力していただいて成り立つ仕事です。
特に支店長や責任者の、協力会社さんに対する配慮は徹底していました。
協力会社の方を交えての懇親会やリクレーション、QCサークル活動、リフト作業の協議会などが頻繁に開催されていましたが、その進行や幹事は新入社員や若手社員が務めていました。
支店長は、日常業務については、ほとんどノータッチでしたが、このような活動や運営が行き届かないときは、「配慮が足りない」と厳しく叱られました。

ガザツで詰めが甘い上に、短気でけんかっ早い、どうしようもない私を根気よく育ててくださったのは会社の先輩や上司です。
入社1年目のときに、現場でパイプイスを振り回して乱闘騒ぎを起こしたことがある私が、マナーやコミュニケーションの講師をしていることは、私を知っている方の半分以上は、「衝撃的な事実だ!」と思われていることでしょう。でも、あの会社にお世話になり、一生困らない大切なことを教えていただいたおかげで、今の私があるのだと、本当にありがたく思っています。

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これは、入社2年目の社員旅行のときの写真です。

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これは、入社3年目の全国ソフトボール大会のときの写真です。

最高のメンバーが集結していて、トラブルも多かったけれど、全国一の売り上げと実績を誇っていた支店でした。あまりに優秀な社員が集中しているということで、翌年、支店は解体され、メンバーは全国へ散らばっていきました。経理担当だった後輩と2人、小さくなった営業所に残って、一から人間関係と仕事の基礎を作りあげました。天国から地獄へ突き落されたような感じでしたが、それも、かけがえのない貴重な経験です。

どんなに高い知識やスキルを得たとしても、一番肝心なのは仕事や人間関係に対する姿勢、本質的な考え方が備わっているかどうかだと思っています。
講師も、営業事務も、姿勢や本質的な考え方は同じです。それが、自分をしっかり支えてくれる軸になるものだと思っています。

そう考えると、まだまだ私は修行の途中です。
今年は節目の年。もう少し世の中が落ち着いたら、師匠たちにお灸をすえてもらいに会いに行ってみようと思っています。

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