ザ・メインイベント問題

週刊男色ディーノです。
月曜日は先週プロレス界で起こった事や私の周りで起こった事などについて私が感じたことを書く記事となります。
ちなみに、週の半ばにコメントで私に書いて欲しい事をリクエストしてもらって、その中からお題を選んで書く記事もあります。そちらは売れる売れないをあまり気にせず書く記事なので、ちょっとだけお高めに設定しております。
というわけで、月曜日はなるべく売れて欲しいのでちょっと広めに響くタイトルにしております。
というわけで本題に入ります。

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私はDDTプロレスの所属で、会社としては(株)CyberFightに雇われている。
すなわちプロレスリングNOAHは同じ会社の他部署ということになる。
たぶん会社の方針なんだろうけども、DDTとNOAHは情報の行き来がない。
なので同じ会社ではあるものの、私は何一つNOAHの情報について知らないことは先に述べておく。

2024年の1月2日に行われるNOAH有明アリーナ大会で、丸藤正道選手と飯伏幸太選手のシングルマッチが行われることが発表された。
そして、このシングルマッチが今大会のメインイベントで行われることも。
その事に関して、賛否が両論あるようだ。

まず、私が最初に思ったのは「いい対戦カードだなあ」である。
プロレスの対戦カードの価値の上げ方はいくつかあるのだけれど、基本的には

①普段の戦いを通じて対戦する機運を高めていって決定まで持っていく
②普段では見ることのできない選手を呼んで、どうなるか想像力をかき立てさせる

の2種類かなと私は思っている。今回の「丸藤vs飯伏」の対戦カードは、当然後者。

このカードが切れるNOAHは羨ましいな、と私は正直思ってしまった。
というのも、この一戦はかねてより私がnoteで語っている通り「プロレス界は格で回っている」を地でいく対戦カードだからである。
この②の対戦カードの切り方は、そもそも格が高い所属選手を保有していないと成立しない。そして、自団体より格が高い選手を呼んでこないと成立しづらい。

例えば、日本の業界最大手の新日本プロレスが②の方法論でカードを切って話題を集めるには、WWEのトップ選手だったりとか、あとはケニー・オメガであったりとか、それこそ飯伏さんであったりとかの元所属選手で今は離れている選手を使うしかない。それも話題を集めるには、団体内でもそれ相応の格を持った選手でないと特別カード感は出ない。
なので、必然的に基本的には①の方法でビッグマッチの対戦カードを出していかなければならない。そのためのG1クライマックスであったりニュージャパンカップだったりするのだろう。

逆に言うと、世界トップのWWEは自団体以上の格の選手がこの世にいないわけで、基本的には①で対戦カードを決定している。
が、それでも②を使うことはある。
時折マイク・タイソンであったりだとかデニス・ロッドマンだったりの他業種からのビッグゲストでそれを成立させてきたこともある。ザ・ロックやハルク・ホーガンといった現所属ではないレジェンドがレッスルマニアに出場するっていうのも②に該当するだろう。おそらくではあるが、外の世界から顧客の興味を引く必要が世界最大のプロレス団体にもある、ということだ。

では、今のDDTでそれができるかというと、けっこう微妙なところである。
大物ゲストが出ることはままある。が、それに値する格の選手が団体内にいるかと言われれば「いる!」とは言いづらい部分がある。
ギリギリ今年のTAKESHITAvsクリス・ジェリコがそれに当たるだろうか。
だが、あの試合はAEWの抗争をそのまま持ってきた、という点で若干ニュアンスが変わる。TAKESHITA以外でクリス・ジェリコと対戦しナチュラルに話題になったであろう選手は残念ながらいないと言わざるを得ない。
以前のDDTのビッグマッチでボブ・サップやHGさんと私がシングルで当たったことがある。あれも方法論として②に該当するが、格としては昔の私でギリギリ成立したかしてないかというところだった。もっと私の格が高ければ、その分余計に話題になったはずだ。
公平に言うと、今のDDTにも秋山準ちゃんという格の高い選手や昔ギリギリ話題性カード枠にいた私もいるにはいる。
だが、やはり唐突に組まれても違和感がない対戦相手というと、機運だったり必然性が必要になってくる。そういう意味で今のDDTだと②は組みづらい。やるなら、工夫しなければ話題にはならない。

だが、NOAHはそれができる。丸藤選手がいるからだ。
このカードは誰がなんと言おうと、プロレス業界に響く対戦カードであることに疑いの余地はない。
これができる事こそがDDTにはないNOAHの強みだと私は思っている。

話は逸れるが、だからこそDDTは今格を上げている最中なんだけども。
DDTのいいところを見失わず、そのまま格が上がればそれはとても痛快なことが起こるだろう。
DDTを下に見ている奴らは少なからずいる。
ぶっちゃけ、別にそれは悪い事ではないと私は思っている。
プロレス好きの中にも好きなプロレス、嫌いなプロレスあるだろう。
だが、格さえ上がればその流れも変わる。

私は「無法、天に通じる」プロレスが好きだ。
世の中に八百長だ馴れ合いだと思われても、誰かが何かを思うのは自由だし私個人としてはどうでもいい。
それを超越するモノを提供していれば問題ないからだ。
そしてそれは、DDTならできると思っている。
というか、今のプロレスの立ち位置を変える可能性はDDTが一番持っている気さえしている。

根拠は、歴史である。
昔一度天下を取ったものの、その頃に比べるとプロレスは衰退してしまった。
じゃあ、その時と同じ事やってもダメでしょ?っていうのが私の考え方。
まあ、ここに関しては異論はあるだろう。
TV局の都合だったり、世の中の流れだったりコンテンツ内容だけではない要素も多分に含まれるから。
今のDDTに必要なのは「よくわかんない勢い」だ。
他ジャンルの著名人は「プロレスが好き!」までは言えるけど「DDTが好き!」と言い切れない現状がある。言ってもメリットないから。
そこを言わせてしまうには、やはりメリットを越えた勢いが必要なのだ。


…話を戻そう。
本題の、試合順についてである。
ここからはややダーク目に語っていく。やや。
あくまで私個人の考えている事なので、誰かに文句があるわけでもないし、逆に文句をつけられるいわれもないことは先に述べておく。
もちろん、考えを表明して文字にしている以上、批判は好きにしてもらって構わない。その際はコメントにどうぞ。

ファンとしては、対戦カードと試合順は団体が発表したものを受け入れるしか方法は無い。
だが、選手としての視点で言うと、団体が発表したカードとその試合順には、隠れた意味がある。その分、選手目線での受け止め方も複雑になる。

今回で言うと、「丸藤vs飯伏」というスペシャルカードがメインイベントになると発表された。これを選手目線でどう受け取ればいいのか。

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