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移住と生き方

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同じ移住者のひとりとして、気になる移住者(検討中を含む)を取材。暮らし、仕事、家族のありかたなど、その人が大切にしているものに触れながら、これからの生き方を模索するきっかけに。
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#地域

人間と人間で向き合う。いつでも”学び“の姿勢を忘れずに(熊本県南阿蘇村地域おこし協力隊/赤星 静香さん)

赤星 静香さん京都府京都市出身。2022年11月着任。2023年10月退任。広い空と五岳の眺めに感動し、移住先を南阿蘇村に決めた。移住に向けて本格的に動き出してから5ヵ月というスピード感は、この地域から「呼ばれた」のではないかと思わせる。 介護という仕事天職を、英語で「calling 」というらしい。不思議な何かに呼ばれるようにして、縁がつながり、深まって、なくてはならない大切なものになる、そんなイメージが想起される。いつかどこかで聞いた言葉を、赤星静香さんと話しながら思

軽やかな覚悟を携えて。諦めないで、背負い続ける。(熊本県南阿蘇村地域おこし協力隊/吉田 洋樹さん)

吉田 洋樹さん 熊本県人吉市出身。2022年8月着任。就農後は、サツマイモ、カボチャ、栗、ハーブを中心に栽培することを考えている。収穫した野菜を生で食べるのが好き。「カボチャ以外はだいたい生で食べたことがあります 当事者になる決意「日本の産業を支えるひとりになる」。吉田洋樹さんは腹を決めた。「農業で独立するということは、背負うこと。人の縁、自分の暮らし、経済的なことも諦めないでいたい」。心から信じられるものに出会えた。そんな自信と確信に裏づけされた言葉。 20代前半、

目指したい暮らしに向かって、“やりたい”に素直になる(熊本県南阿蘇村地域おこし協力隊/鈴嶋 千芳子さん)

鈴嶋 千芳子さん 熊本県氷川町出身。2022年3月着任。農業の現場は、毎日が発見の連続。「同じプロジェクトに従事するメンバーと一緒に頑張れることが楽しい。南阿蘇村にはおいしいパン屋さんとタイ料理屋さんがあるのもうれしいです」。 海外で知った日本の食事情鈴嶋千芳子さんの経歴は、地域おこし協力隊メンバー内でも異色だ。大学進学を機に東京へ。卒業後は、ヨルダンの日本大使館へ勤務。農業に関連する職場ではなかったが、SNS等を通して、日本の食にまつわる情報に触れる機会が多くなってい

自分と地域。2つの軸を、心地よいほうへ(熊本県南阿蘇村地域おこし協力隊/長澤 静香さん)

長澤 静香さん 熊本県西合志町出身。2022年3月着任。体質改善のために野菜と果物生活を実践したことで健康を取り戻し、農の道へ進む。観光視点を取り入れた、イチゴ農家を目指している。有機栽培に挑戦すべく、山鹿市の農家にて研修中。 東京から、熊本へ子どもの頃からものづくりが大好き。手づくりの洋服を販売し、夜遊びに繰り出しては「面白い大人」の話にワクワクを募らせていた10代。「熊本には、やりたいことがない」。そう思って、東京に飛び出した。 服飾専門学校を卒業し、十数年。刺激

信頼関係やつながりを鍵に、この場所で農家として生きる(熊本県南阿蘇村地域おこし協力隊/小屋迫 瑛さん)

小屋迫 瑛さん熊本県甲佐町出身。2022年3月着任。「おいしいって言ってもらえる農家になりたい」。就農の際は、南阿蘇村にある、亡くなった祖父の農地を引き継ぐ予定。現在は祖母と2人暮らし。「祖母が元気になったようだ」とは、母の談。2023年3月退任。 農業って、いいなぁ「都会より田舎のほうが好き。身体を動かすのも好き。農業、いいなって思って」。小屋迫瑛さんはいつも、シンプルに自分の気持ちを表現する人だ。そして、どちらかと言えば実践派。「独立して自分でやってみたら、どんなふう

これが、自分の人生だ。そう胸を張れる自分でいたい(熊本県南阿蘇村地域おこし協力隊/市村 孝広さん)

市村 孝広さん大阪府東大阪市出身。東海大学阿蘇キャンパスで畜産について学び、大手食品加工メーカーに就職。「30歳になったら立ち止まろう」と決めていたとのことで、熊本に帰る道を選んだ。2021年2月着任。2023年6月退任。 初めて手にした居場所「ここは、たくさんの”初めて“をくれた場所」だと、市村孝広さんは言う。カブトムシを採ったり、人の優しさを身近に感じたり、ボランティア活動で幼稚園の子どもたちと接したり。「田舎を感じた」のも初めてのこと。自分が自分でいられる居場所を手

基盤は、家族と自分。そこに立ち返って見えたこと(熊本県南阿蘇村地域おこし協力隊/大内 佑介さん)

大内 佑介さん福島県二本松市出身。2019年12月着任、延長1年目。阿蘇市出身の妻と共に移住。そもそも、九州に来たことがほとんどなかったそうだが、休日は妻と熊本県内をドライブするのが楽しみに。天草の海は特に印象深いと話す。 自分がおかしくなっていく自分が自分でなくなっていく感覚というのは、苦しいものだ。望んで就いた仕事のはずなのに、やりがいを感じているはずなのに、なにかが歪んでいくような。地域おこし協力隊員の中にはそんな感覚に悩み、転職と移住を選んだ人がいる。大内佑介さん

幸せな暮らしは、地域の人たちがいてこそ成り立つものだと気づいた(坂井章加さん/熊本県南阿蘇村/梅加工WSでの移住交流会)

講師:坂井章加さんの暮らしにまつわるお話 木漏れ日の下で笑う、坂井章加さん。2022年5月の末、村のあちこちで梅の木がまん丸な実をつけた頃、「梅の加工が上手な人」として地域おこし協力隊仲間から紹介されたのが章加さんだった。「初めまして」のときから、なぜだか初対面の気がしない。章加さんのまとう空気のやわらかさに触れると、詰めていた息をふぅっと思いきり吐き出せる気がする。 奈良県から熊本県南阿蘇村へ。移住のきっかけを辿れば、あまりに悲しい出来事がある。「やっと授かった子を流産