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大寒 第七十候 款冬華

二十四節気は大寒。第七十二候のひとめぐりもあと少し。
第七十候「款冬華」 、「ふきのはなさく」までやってきました。期間は 1月20日から今日1月24日までですが、入道雲まで出てしばらくやけに気温が高い日がつづいていたチェンマイでも、ちょうど20日頃からにふたたび朝の気温がぐっと冷え込むようになり、三寒四温、あるいは大寒らしいお天気となっています。

昨日は郊外の村では久しぶりに霜が見られ、今朝は町の中の我が家でも13度まで気温が下がり、外で最初は機嫌良く遊んでいた白いふわふわも、
「なんだか、きょうはさむくって、はしってみても、あんまりあったかくならないみたい」
とでもいう風に、身体をこわばらせながら早々に部屋へ戻ってきて、ソファに座る私と背もたれの間に、もぞもぞと入り込んできました。
良い暖房器具もなかなか手に入らず、厚着と暖かい飲み物で寒さをしのぐチェンマイの寒い朝、子供のような高めの体温とまるでカシミアの手触りの毛皮が背中にやさしく寄り添ってきて、そこから徐々に暖かさが伝わってくるのはなんとも幸せで、こんな風に甘えて身をそわせてくれる子がいるならば、寒い朝がもうしばらく続いてほしい!などと思ってしまいます。

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こんな寒い朝の日は午後になっても、外は日ざしこそ強く、少し暑さも感じられますが、屋根が深く、天井が高く、風通し良く、とにかく通気と放熱を優先した構造のタイの家の室内は、昼過ぎてなおひんやり。セーターを着て、足を湯たんぽにのせているほどです。

そんな中、気象庁によると、あともうしばらくは、寒い朝が続くという、日本の天気予報とほぼ同じ見立てです。
南の国には無い植物や現象もありますが、空気は地球の上でひとつづき。お天気に影響を与える中国大陸の冷たい空気も、太平洋上の暖かい空気も日本もチェンマイもおおよそ同じもの。やはり季節の移ろいと人の感じ方もゆるやかにつながっているのではないかと感じます。

さて、七十候は蕗の花が咲く頃ということ。
白い雪や水気が太陽の光に少し溶けかけた土の中に白みがかった淡い黄緑色の丸い芽がのぞき、その裂け目から白い綿帽子のような花が咲いている蕗のとうは見つけただけで幸せになりますし、あの淡い苦味と渋い香りをぬたや揚げ物にして食べるのは想像するだけでうっとりしますが、残念ながら蕗はチェンマイにはありません。

けれど、こちらでは伝統的に食される花は色々あり、どれも滋味とともに、どことなしほろ苦い味と菊や蓬に似た、薬草っぽいような香りがするものが多い気がします。会社の食べられる野草に詳しいスタッフに聞いてみたりして、蕗にちなんでそんな草を摘んで食卓に乗せてみるのも良いかもしれません。

また、花が咲くのはあとひと月ほど先ですが、山で咲く白いバウヒニアの花も、揚げ物やサラダにすると、微かな花の芳香とともにほろ苦さがあって、なんとも美味しいのです。
春には苦味のあるものを食べると身体に良いというそうですし、花の便りが届くようになったら、少しだけ花をいただいてきて、食べてみようかなと思います。

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