腕がもげるかと思った

台湾式のマッサージに行って、思ったよりも日本語が通じなかったとき、「四十肩です」と言い出せなくて腕がもげるかと思った。

年度末の期余り予算で行われる(と思い込んでいる)道路舗装事業の計画に組み込まれそびれた近所の歩道でほんの少し躓いたとき、肩の小さな骨がすっと歪んで、腕がもげるかと思った。

馬の手綱を持って静かに立ち止まっていたとき、鳥に気を取られた馬がいきなり空を仰いで手綱とつながった私の肩が可動域を超え、腕がもげるかと思った。

西表島に行って滝壺に飛び込んだとき、つい両腕でバンザーイ!をしてしまい、痛みに縮んだところにさらに水圧がかかって押し広げられ、腕がもげるかと思った。ついでにその痛みで失神して溺れるかと思った。

なわとびをしていて、調子に乗って二重跳びしたら全然腕使いの仕組みちがって、腕がもげるかと思った。

会社で開いたノートパソコンを左手に持ち、右肩にリュックをかけて歩いていたとき、着ていたコートがつるつるしているせいでリュック(壊れる物なし)が滑り落ちたのを瞬間的に「あっぶねえ」と受けとめようとあらぬ動きをし、腕がもげるかと思った。

満員電車でこっちの手でつり革をつかまないと変な人、或いは、嫌な人になってしまうとき、痛みに耐えてこっちの手でつかんでいた。運転士さん、急停車した。腕がもげるかと思った。

なお、この痛みは現在進行中。


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