夫の育休

私が里帰りをしないと伝えたか伝えてないかくらいから、
夫は育休を三か月は取ると言っていた。

産後を乗り越えるための方策は家庭で様々だと思うが、
我が家は
・私は家事をしない
・夫はお弁当でも何でもいいから一日三食分買ってくる
だけ決めた。

育児のシフトを時間で区切ることは特に決めなかったので、
夜間の授乳は自然と自分の担当になり、
夫は別室で寝る生活になった。
(なったと書いたけれど、もともと夫婦で寝室は別室で、私の寝室にベビーベッドを置くことにしたので、こうなった)

余談で、夜間授乳のたびにどうやって起きるのか退院前は謎だったが、
赤ちゃんの体内時計が3時間ごとにふがふが言い出すので、
特にアラーム等かけなくても生理的に起きられた(自分は)。
緊張して授乳時間まで寝られないのではないかとも考えていたが、
毎日のことなので背に腹は代えられず、慣れたらすぐ寝落ちしていた。
つまり泣きだしたら寝れないが、寝てくれたら自分も寝られた。
分割睡眠がつらいと聞いていたが、朝が来たら目は覚めるし、
数時間でも熟睡できれば翌日生活はできて、
なので夜間頻回は思ったよりつらくはなかった。
(ときどき安眠のタイミングで起こされると一日頭痛が続いたけれど)

夫は思ったより育児に協力的で、
授乳や沐浴などを人知れず覚えて実践した。
一方で、夜間が自分の担当になったことで、
(赤ちゃんに合わせて21時頃就寝したあと、我が家は遅起きなので朝9時頃まで、1日12時間程度が"夜間"だった)
育児の比重は自分の方が大きくなったように感じた。
それに(世の多くの男性と同じように)夫は泣き声に敏感ではなかった。
赤ちゃんがぎゃんぎゃん泣いていても元気そうだと放置できて、
ゆえに寝かしつけるのにはあまり興味がなかった。

家での生活がなんとか一週間くらいになったころ、
子宮に鈍痛があって私は不機嫌で、
赤ちゃんがぎゃんぎゃん泣くまでそばで見届けたタイミングで
「買い物に行ってくる」と夫が言うので、
「泣いているのに置いていくの?」と怒って言い放ってしまった。
夫はうーんと言ってその場は消えていったが、
その後、私があやしているのを見たとき「代わろうか」と言ってきた。
その夜、泣いている赤ちゃんを私に託して就寝するとき、
初めて「ありがとう」と言った。

その一言でなんだかとても救われた気がして、
そうか自分は認められたかったのか、と思った。
よく考えると夫は、今まで何の料理もしないような人だったのに、
私の退院後からホットクックにカレーをセットしたり、
メインだけでなく野菜や汁物を作ってくれたり、
栄養が偏りすぎないように三食準備してくれていた。
赤ちゃんが来て生活が一変しても、
なんだかんだ文句のひとつも言わずに自分を支えてくれていた。

私も夫もスーパーマンではないけれど、
そうじゃないなりに一生懸命やっているし、
なんならうまいことやっている。

負担を平等にするのは難しいし、
数十年かけて子供が成長する中でお互いやるべきことがあるのに、
このタイミングだけを見て平等を目指すのも大して意味がない気がする。

思えば私は人に頼ることがとても下手で、
夫が何か家事をするたびに怖くなって
ありがとうありがとうと繰り返していた。
けれども、夫は口には出さなくても
当たり前のように感謝して、当たり前のように三食作ってくれるのだ。
なんだか私が、誰も信用していないみたいで、途端に薄っぺらく感じた。

よし、これからは夫に、ありがとうを無駄に連呼するのはやめよう。
我々はようやく、同居人ではなくチームになるのだ。

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