私小説のようなエッセイのような限りなく実話に近い小説『麻生優作はアメリカで名前を呼ばれたくない』4
優作はカオリと初めて言い争ったあの日のことを思い出していた。
「カオリのやつ、カレーが付いたお玉を絨毯に投げつけやがって。あの後、絨毯にこびりついたカレーを拭き取るのにどれだけ苦労したことか! しかもあの絨毯は、カオリに買ってぇ~と強請られて買ったペルシャ絨毯だったんだぞ! しらんけど!!」
優作は憎らしいカオリの顔を思い出しながら、今頃、日本でどうしているのだろうと思った。
カオリはあの後、自分の言葉通り、都内にある2LDKのマンションを見つけて引っ越した。
夫