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LaTeX 入門(4) ~ベクトルの表記~

今回はベクトルの表記についての記事です。すべて数式モード中の話になるので $  $ もしくは \[  \] で挟んで入力してくださいね。

矢印は2通り

デフォルトで使えるベクトルの表現は2通りあります。
 \vec{a} と \overrightarrow{a}
です。
これを実際に出力すると

画像1

という感じ。
どちらがイイかというのは好みの問題ですね。(自分は右です。)

有向線分

「ベクトルAB」を表現しようと思って、上のコマンドをそのまま使って
 \vec{AB} \overrightarrow{AB}
と入力すると

画像2

となります。
うん、左は絶対ない。
右も「ここは斜体じゃないな」って感じ。
なので
 \overrightarrow{\mathrm{AB}}
とします。
\mathrm{  } は数式中の文字をローマン体で表記するコマンドです。

毎回これを入力するのはメンドウなので、自分は
 \newcommand{\VECT}[1]{\overrightarrow{\mathrm{#1}}}
 \newcommand{\vect}[1]{\overrightarrow{#1}}
というコマンドを作って使っています。
プリアンブルにこれを書いておけば
  \VECT{PQ} \vect{p}
とするだけで

画像3

と出力されます。

矢印の高さ

ベクトル a とベクトル b がともに出てくる問題って結構ありますよね。
そこで、例えば
  \vect{a}-2\vect{b}
とすると

画像4

となります。
a と b で矢印の高さが違うのが気になる人もいるでしょう。そんなときは
 矢印を最大限に上げる \mathstrut
 矢印の高さを b に揃える \vphantom{b}

なんてコマンドが役立ちます。
実際
  \vect{\mathstrut a}-2\vect{\mathstrut b}
  \vect{\vphantom{b}a}-2\vect{b}
と入力すると

画像5

となります。

内積の表記をするときなんかには、確かに高さがそろっていた方が見栄えがイイかもしれませんね。(あんまり自分は気にしていない)
  \vect{a} \cdot \vect{b} \vect{\vphantom{b}a} \cdot \vect{b}
とすると

画像6

となります。

ベクトルの成分

ベクトルの成分表示、自分は縦ベクトル派です。
これは行列コマンドを使って
  \begin{pmatrix} x \\ y \end{pmatrix}
  \begin{pmatrix} x \\ y \\ z \end{pmatrix}
と書くと

画像7

と出力されます。
で、これも毎回入力するのがメンドウなので、プリアンブル
 \newcommand{\vectxy}[2]{\begin{pmatrix}#1\\#2\end{pmatrix}}
 \newcommand{\vectxyz}[3]{\begin{pmatrix}#1\\#2\\#3\end{pmatrix}}

と書いて、例えば
  \vect{a}=\vectxy{2}{3} \VECT{OB}=\vectxyz{2}{5}{-1}
と入力すれば

画像8

このように出力されるようにしています。

以上、ベクトルの表記についての記事でした。

追記

esvect というパッケージを取り込むと、色んな矢印を選べます。プリアンブルに
  \usepackage[  ]{esvect}
と書くと使えます。
[  ] の中は a ~ h によって、矢印の種類が変わりますので、試してみてください。
この場合
  \vv{a} \vv{\mathrm{AB}}
と入力すれば、ベクトルが書けます。

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