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panpanya作品三冊感想

panpanya先生の単行本「二匹目の金魚」「おむすびの転がる町」「魚社会」を読みましたので感想を書きます。
他の単行本は「足摺り水族館」「枕魚」「蟹に誘われて」を持っています。
巻数表記のない短編集なので刊行された順番とか気にせず店頭で見つけた本を適当に買ってる感じです。
自分がどれを持ってるか覚えてられないのでスマホに持ってる本のタイトルをメモしていますが、「足、枕、蟹」とだけ書かれていてちょっと混乱しました。
以下気に入った話の感想。

・二匹目の金魚
・「メロディ」
panpanya作品を読んでいると度々登場する「ローポポー」という音色。
その音色のルーツというか根源に迫る話。
まさかちゃんと元ネタのある音楽だったとは…(ドヴォルザークの『家路』)。

ローポポー

・「かくれんぼの心得」
かくれんぼに明確なルールやテクニックはない。
いやある。
あった。
「隠れるのはもういいよが聞こえる距離でないといけない」なんて子どもの頃考えてなかったですね。
大体こういう話って本気になりすぎてみんな冷めていくみたいなオチが付きがちですが存外ハートフルな話でよかったです。
私も隠れるのにちょうどよさそうだな隙間を探したい。

・「通学路のたしなみ」
漫画本編もいいですがその後に描かれたカラーページの通学路の絵がすごすぎて心奪われました。
いい意味で「歪んだ線」での風景の描き方が上手すぎる…。

・「知恵」
いつもあふれる機転でどんな困難も突破してきた主人公ちゃん(仮名)が万策尽きてついに泣き出してしまうのが絶望的。
普通の風景と怖い風景の描き分けすごい。

・「開発」
リアルな縮尺でシムシティをやるみたいな話。
全部手作りで。
少ないページ数ですごいワクワクさせられました。

・「おむすびの転がる町」
・「ツチノコ発見せり」
LINEスタンプの「キノコ採ってる場合じゃねぇ!」が好きでよく使ってるのですがようやく元ネタの話を読めました。
本当にキノコ採ってる場合じゃねぇ。

・「筑波山観光不案内」
ちょっとした長編。
案内役の人外キャラとともにスリルとアドベンチャーと少し不思議、そして最後にお別れというドラえもんやクレヨンしんちゃんの劇場版みたいな話。
panpanya先生本当に旅が好きなんだなと思いました。

・「そこに坂があるから」
ふと坂の上に何があるのか気になった。
そんな思いつきに心と体をつき動かされてしまうのは私も覚えがあります。
こういう日常の延長に不思議空間を作るのが上手いですよね先生。

・「新しい土地」
「枕魚」収録の「NEWTOWN」でも思いましたが物の少ないすっきりした風景とごちゃっとした町並みの対比が鮮やかで好きです。
最後の地面に向かって伸びている電線が物憂げにも不気味にも見えていいですね。

・「魚社会」
・「カステラ風蒸しケーキ物語」シリーズ
結構な長編シリーズ。
単行本適当に集めてるのに上記の「おむすびの転がる町」にエピソード1が収録されててラッキーでした。
お気に入り商品がなくなってしまったのなら自作しようという精神は大切ですよね。
案の定今は生産してないみたいなので今度似たようなパン探してみます。

・「サイン」
夜行バスの中から見える夜景。
ただそれだけの要素で短編一個作れちゃうのにただただ感嘆。
ヤッホー

・「普通」
他人の家に行った時に感じるなんとも言えない違和感…。
他の家庭というとても小さい社会で形成された異文化異文明を形容するのが上手すぎる。

・「おみやげの心得」
渡す相手のことを思って選ぶところからすでにお土産は始まっているのかもしれない。
食べ物などの消えものじゃない方がいいか、いや残るものはジャマになってしまうかもしれない。
などと考えてしまい結局無難なご当地お菓子とかに着地してしまいます。
いっそ全てのお土産屋に売ってるドラゴンが巻き付いた剣のキーホルダーとかを渡して微妙な顔されたく思います。


こんなところですかね。
panpanya作品全体に言えることですが、絵柄や話の題材は薄暗いというか結構不穏なのに展開されるお話はハートフルでハッピーエンドなのがとても安心して読めますね。
絵も最低限の線で描かれたキャラクターと綿密に描き込まれた背景が何度読んでも見事すぎる…。
まだ買ってない単行本がいくつかあるのでヴィレッジヴァンガードなどで積極的に探してみようと思います。

現在持ってる本

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