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世の素敵作品を勝手に語る

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個人的推し作品や作家さんへの愛を140字で吠えます。19-20世紀多めかも
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#美術

有元利夫(1946-85)一度見ると永遠に脳裏を漂い続けそうなジワリとくるプロポーションの人物画でありながら優しい印象を受けるのは、彼の作品が中世の西洋絵画や日本の仏画など「祈り」の宗教画に根ざしているためでしょうか。

シャルル・マルタン(1884-1934)のイラストは淡い色遣いと大胆な構図が軽やかでお洒落。アールデコ作家の中でも一際キュビスム的な傾向が強い気がします。サティ作曲『スポーツと気晴らし』はマルタンの絵の構図をサティが楽譜上に置き換える意図で出来たらしいですね。斬新。

セム、本名ジョルジュ・グルサ(1863–1934)はベルエポック期の風刺画家で知られます。パリの情景を描いた風俗画は落ち着いた色遣いが多く、それぞれの人物描写にリアリティがありながらも軽やかに描かれています。

小林清親(1847-1915)といえば西洋絵画の技法を取り入れた光線画でしょうか。活気ある江戸の浮世絵に比べ影絵や薄明かりなど光の演出が強く、情緒的でノスタルジックな印象を受けます。江戸から東京の時代の境目に想いを馳せてしまいますね。『柳原夜雨』(1896)