思うこと思うまま

 ずっと好きだった舞台にまともに触れられなくなってそれなりの時間が経った。触れられなくなってというより、今はもう触れなくなって、という表現の方が正しい。最初にチケットが無くなったのはたしかCATSとチェーザレだったように思うんだけど、あれは2020年の5月だったから、あと少しで一年になるのか。

 もちろん自分も含めての話だけど、 周囲のモノもコトもヒトも全部どんどんと変わっていった。明るい話題が出せない。お出掛けしたと言えない。約束ができない。行けない。逢えない。好きだったものが嫌いになった訳じゃあ無いのに、好きだったものを好きでいられる元気が出なくなった。好きなものを好きでいるって、実はすごくパワーの必要なことで、そのパワーの源になっていたのが、楽しみでたまらない予定だったり、友だちとのちょっとした交流だったり、そういうものだったんだなぁと、嫌というほど思い知らされた。

 本当に、好きでいることが下手くそになったのだ。そしてその状態がしんどくてしんどくてしんどくてたまらないし、悔しくて悔しくて悔しくてたまらない。私は舞台に出会って元気になって、舞台を通じて出会った友達たちに救われて、友達たちのことが大好きで大好きで、いただいたものたちをまだ返し切っていないのになぁ。全部無くなってしまいそうで、どうしようもなく怖いんだよ。

 思い出にしがみついていたらいけないのはわかっているのに、思い出すのはいつも、2017年の年末、寒空の下の大阪城ホール。インターネットの上でだけ会話をしていた人たちと、初めて顔を合わせて、同じものを観て、まるで高校時代から友達だったみたいに笑ったあの2日間。私を生き返らせてくれた人たちと過ごした2日間。

 どうか健やかであってほしいと思う。私の好きな人たちみんな、元気でまたたくさん笑ってくれたらなぁと思う。我を忘れて愛をまくしたてられるような『好きなもの』を今の私は見つけられていないけれど、『好きな人たち』は相変わらず愛しくて愛しくてたまらないから、どうか心身共に健やかであってほしいなぁと思う。