長すぎる呟きを呟いて置く

 絶対にその通りに形に残せないところが、舞台芸術の魅力そのものだって頭でも心でも理解しているつもりなのに、やっぱりどうして、その現実が鋭く突き刺さって抜けなくなる時はある。私が見た景色、私が全身で受信した世界は二度と再現されることは無いんだって思うと、自分がそこにいた時間って、お金で買えたのが信じられないくらい幸せなものなんだって痛感する。

「舞台を観たって後に何も残らないじゃないか」

と言う人は言うけれど、果たして本当にそうなのかな。嬉しい楽しい悲しい苦しい忌々しい温かい冷たい喜ばしい愛しい、前にも最中にもその後にも、いろんな感情が様々なタイミングで身体の中に生まれては消えてくれるから、いつも自分の心に何らかの色がのる感じがして、めちゃくちゃ生きているんだなって思える。大げさだけども生の実感が得られる。

舞台を観ると生の実感が残るんですよ。私は。きっと、みんなもそうだと思う。