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【Standard】InteleonMoltres

0. はじめに

こんにちは、DalSegnoです。今回は現在Standad環境で使用しているInteleonMoltresについて理解が深まったため記事を執筆しました。主に海外Standard環境で使用していますが、国内Standardと概ね近いカードプールであることやメタゲームの感覚がそこまで異ならないため、PJCSの環境を考える上で1つの参考にしていただければ幸いです。

またこれからPTCGOトナメでパックを集めたいという方にもおすすめです。いつBRS環境が終わるかは把握していませんが、BRS環境でもっとも過小評価されてきたもっともパワーの高いデッキだと考えています。資産集めにおすすめです。

このデッキは軸がRegional Lilleの優勝デッキであることもあり、PTCGO上のVersusやEvent戦でも非常に高い勝率と連勝数を重ねることが出来ました。そもそもPTCGOのランダムマッチがデッキの強さの指標になるかは怪しいところですが、安定感・パワーの両方で非常に優れたものを感じたので言語化によって構築研究から得られた知見を共有していこうと思います。

【参考:PTCGOトナメの戦績(1トナメ最大3戦)】

優勝(3連勝):29回
準優勝(2連勝):3回
2回戦目負け(1勝):1回
初戦負け(0勝):6回

トータル 29/3/1/6:全39回中
勝敗数 94勝10敗:全104戦

トナメはまだBRS環境ではありますが、非常にアベレージが高いデッキであることが分かります。これからPTCGOのトナメに参加される方にもおすすめです。負けたゲームの多くは《ミュウVMAX》でした。負け条件としては「後攻」「《メッソン》が1枚以上と《レスキューキャリー》がサイド落ち」です。頻繁には起こりませんが、何戦もしていると何回か遭遇します。同条件でも相手が常にベストなプレイをしてこなかった場合は勝機があるので諦めずプレイしてみてください。

1. 海外で研究が進んでいるデッキタイプ【InteleonMoltres】

InteleonMoltresというデッキタイプは特別目新しいものではなく、国内Standard環境でも《ガラルファイヤー》軸のデッキで《フーパ》や《ガラルマタドガス》といったサブアタッカーを採用したタイプが一定数存在していました。しかし研究が煮詰まる前に《パルキアVstar》が登場し、《ガラルファイヤー》の相方は《ゼラオラ》として固定されつつありました。

一方で海外Standard環境ではStéphane Ivanoff氏がSpecial Event Bilbao(7th May 2022)、Regional Lille(21st May 2022)で使用し、それぞれ15位・1位と好成績を収めました。

リストはかなり洗練されており、国内で類似のリストを見かけなかったことから海外でより研究が進んでいたことが分かります。《連撃ウーラオス》にも同様のことが当てはまり、3ヶ月間のBRS環境研究の賜物とも言えるでしょう。

また《ガラルファイヤー》を軸としたデッキを国内では一般的に「メタビートデッキである」と評価されています。しかし個人的にはInteleonMoltresは環境によって戦い方が変わるメタデッキではなく、ゲームプランの軸がしっかりとした普遍的な戦い方をするデッキだと思っています。
ここについても後々言及したいと思います。

2. 《ガラルファイヤー》のサブアタッカーは本当に《ゼラオラ》が最善なのか

《ゼラオラ》は国内トップのシェア率を誇る《パルキアVstar》に対して弱点込み220ダメージ、また《こだわりベルト》や《ばつぐんグラス》をつけることで280~330ダメージ出すことが出来ます。
倒されてもサイドを1枚しか取られないアタッカーでありながら《パルキアVstar》を1回の攻撃で倒し得ることから《ガラルファイヤー》のサブアタッカー候補筆頭としてCL横浜に向けて研究が進められました。
また非ルール軸のデッキでは毎ターンアタッカーを準備する必要があるため逃げるために必要なエネルギーが0枚である点も優秀で重宝されました。

しかし《ゼラオラ》が《パルキアVstar》対策として有効であることが一般的に知られたことでCL横浜では《ゼラオラ》対策として《パルキアVstar》に《ツールジャマー》の採用が検討されるようになりました。

また《ゼラオラ》はポケモンVかつ雷弱点のポケモンに対して強い一方で、ルールを持たないポケモンには大きなダメージを出すことができません。そのため《パルキアVstar》でサブアタッカーとなり得る《インテレオン》に対して、こちらは倒すのに2ターン以上かかりますが相手からは1回の攻撃で倒されてしまいます。

ここまで《ゼラオラ》の長所と短所について整理してきました。その上で再度《ゼラオラ》採用の是非について検討してみます。

● 《ゼラオラ》に対する個人的な見解:不要

■ 《ゼラオラ》が不要な理由①

- 《パルキアVstar》に対してしか有効なアタッカーにならない上に相手の構築次第では有効に働かない

■ 《ゼラオラ》が不要な理由②
- 構築次第では逃げるエネルギーが0枚のポケモンを採用する必要性がない

■ 《ゼラオラ》が不要な理由③

- そもそもデッキ本来の軸を強めれば《ゼラオラ》が必要とされるマッチでも勝つプランを用意できる

《ゼラオラ》は汎用性の上であくまでもメタカードの域を出ず、デッキ本来の軸を強めるカードではありません。またそのメタカードも状況次第では有効に働かないのであれば採用する必要は無いように感じます。

であれば「よりデッキ本来の軸を強めるカード」「デッキの仕組み上弱い部分を補完するカード」を採用する方がより勝率に貢献できると思います。

もし仮に《ゼラオラ》を採用したところでInteleonMoltresの本来のゲームプランに問題がなければ十分採用を検討できるカードです。しかし、すでに1枚採用のカードがある程度多いデッキである都合上、これ以上1枚採用のカードを増やすのはサイド落ちによるゲームプランの崩壊を招きかねないと思います。使用機会が限定的なカードは極力不採用とし、デッキの軸を強めるやり方がこのデッキには合っていると思います。

3. InteleonMoltresの弱点と弱点を埋める役割のカード

以前、GalarianToolBoxの記事でも書きましたが、InteleonMoltresの弱点は「ゲーム序盤にダメージが出せない」こと、それに伴って「ゲーム序盤はサイドを取る能力が低い」ことが挙げられます。

そのため《ガラルファイヤー》軸のデッキでは「序盤にサイドを取る能力に長けたポケモン」と「序盤にある程度のダメージが出せるポケモン」を採用する必要があります。この役割を果たせるのが《モクロー》と《インテレオン》で、序盤はこの2匹で相手のHPの低いポケモンを狙い、サイドを獲得していく必要があります。

また、回復ギミックの採用されている耐久デッキを非常に苦手としており、序盤の中打点を回復されてしまうとダメージレースで不利になり簡単に負けてしまいます。具体的には《チェレンの気配り》で回復することのできる《アルセウスVstar》《ハピナスV》で、これらのポケモンに対して1回の攻撃で倒すことのできるアタッカーを採用する必要があります。今回採用されている《ガラルサンダーV》は少ないエネルギーで攻撃できる闘タイプアタッカーでありながら、副産物として技で相手の特殊エネルギーを破壊することができるため《イシヘンジンVMAX》のような《ストーン闘エネルギー》を用いた耐久デッキにも強くなれる点が優秀です。

《パルキアVstar》も《モミ》を採用している場合がありますがほとんどのリストでは採用されていません。であればゲーム中盤で無理に1回の攻撃で倒す必要はなく、2回の攻撃できちんと倒し切る方が一貫したゲームプランで戦うことが出来ます。逆に《モミ》採用の《パルキアVstar》が増えればこの考えも変わってくるでしょう。

4. 環境考察とそれぞれのデッキタイプに対するInteleonMoltresのアプローチ

現在の環境は大きく分けて以下のタイプに分けられると思います。

■ 環境中のデッキタイプ
《アルセウスVstar》+《ポケモンVMAX》
《インテレオン》+《ポケモンVstar》
《インテレオン》+《非ルール》
《ミュウVMAX》
《その他》

《その他》には《ヒスイゾロアークVstar》《ダークライVstar》などの《ポケモンVstar》が挙げられます。

《アルセウスVstar》軸のデッキは《アルセウスVstar》+《ポケモンVMAX》2匹の2-3-3でサイドを押しつけてくるため、ダメージの出せない序盤で《アルセウスVstar》の処理に時間がかかると2回攻撃しないと倒せない《ポケモンVMAX》に対してサイドレースで追いつけなくなります。そのため《ガラルサンダーV》+《タフネスマント》で《アルセウスVstar》を倒しながら攻撃回数を担保することを目指します。

《インテレオン》軸のデッキに対しては《メッソン》《ジメレオン》を序盤に積極的に倒すことでダメージの出ない序盤を乗り切ることを目指します。また中盤以降に置かれた《メッソン》も《インテレオン》の《アクアバレット》や《クイックシューター》、《ガラルジグザグマ》の《かんしゃくヘッド》を用いることで倒すことができ、《メッソン》が進化してしまう前に積極的にサイドを稼いでいくことが重要になります。

《ミュウVMAX》に対しては通常の《ガラルファイヤー》軸と同じ戦い方を目指しますが、《フーパ》で倒すことのできない《メロエッタ》を《インテレオン》の《アクアバレット》で倒すことを目指します。

5. InteleonMoltresの強みとメインプラン

InteleonMoltresの一番の強みは《ガラルファイヤー》が終盤に相手のVMAXおよびVstarポケモンを1ターンで倒し切ることのできる爆発力を持つことです。相手のサイドが残り2枚の時は220ダメージ出すことができ、《こだわりベルト》込みで250ダメージ、《クイックシューター》や《かんしゃくヘッド》の打点も合わせると280ダメージ以上も狙うことができます。
相手のサイド枚数が残り1枚の場合は270ダメージ出すことができ、先程と同じ要領で320ダメージ当たりあれば1ターンで生み出すことが可能です。

当然、毎試合終盤に280ダメージ、320ダメージを毎ターン狙うのではありません。あくまでもプランの1つとして存在していることが重要です。実際は《アクアバレット》のベンチダメージを利用したり2回の攻撃で相手のポケモンを倒しに行くことがメインの戦い方です。

繰り返しになりますが、序盤は1枚ずつでもサイドを進めていき、中盤以降倒されてもサイドを1枚しか取られない強みと中打点〜高打点で1〜2回の攻撃でサイドを取り切ることをメインのプランに据えて戦うことが軸のデッキになります。

以上のゲームプランは相手がポケモンVである以上普遍的な強さがあり、相手が回復もしくはサイドを複数枚取ることのできるギミックを採用していない場合、一貫したゲームプランで有利を取ることが出来ます。

これがInteleonMoltresの1番の強みであり、最大化させるべき軸だと考えています。そのため「InteleonMoltresはメタビートのデッキである」という世間一般的な評価は少し違和感を感じます。

このデッキタイプを強くする上で考えるべきは「環境中で弱点がつけるサブアタッカーは誰か」ではなく「序盤のサイドをどう獲得していき、終盤の大ダメージに向けてどう備えるか」だと思っています。

6. InteleonMoltresのデッキリストと採用され得るカードに対する考え

● この章で扱う内容
1. デッキリスト
2. Stéphane Ivanoff氏のリストとの違いと異なる採用カードについての考え
3. 共通して採用されているカードの採用理由

1.デッキリスト

2.Stéphane Ivanoff氏のリストとの違いと異なる採用カードについての考え

■ Stéphane Ivanoff氏のリスト(Regional Lille)に採用されていたが今回のリストで採用しなかったカード
《博士の研究》
《ダンデ》
《風船》
《基本悪エネルギー》(6枚目)

■ Stéphane Ivanoff氏のリスト(Regional Lille)に採用されていなかったが今回のリストで採用したカード
《ふしぎなアメ》
《キバナ(2枚目)》
《こだわりベルト》(2枚目)
《基本水エネルギー》(2枚目)

今回のリストはStéphane Ivanoff氏のリストに比べて積極的に《インテレオン》で戦いにいくことを目的に調整しました。そのためゲーム序盤に《インテレオン》が《アクアバレット》を使うために必要なカードを少し多めに採用しています。

また《ダンデ》ではなく《こだわりベスト》の2枚目を採用した理由は単純に「サポート権を消費しないこと」と「中盤に150ダメージ出せる《インテレオン》をバトル場に置きながら、終盤の《ガラルファイヤー》用にもう1枚欲しい」からです。
中盤に150ダメージ出せる《インテレオン》をバトル場に置くことのメリットとしてポケモンVstarを2回の攻撃で倒せてポケモンVMAXも+αのダメージ込みで倒し切れることが挙げられます。
そうすることでバトル場の《インテレオン》は相手視点無視しづらいアタッカーになり、終盤《ガラルファイヤー》の起動に必要なパーツを集めてくる《メッソン》《ジメレオン》を相手の《ボスの指令》から守ることが出来ます。

このように「場に置いておける追加ダメージ」であることを評価して《こだわりベルト》の2枚目を採用しました。一方《ダンデ》を採用することにもメリットはあり、「《こだわりベルト》と重複するため相手のサイドが4枚の時の《ミュウVMAX》に対して120 + 30 + 30 弱点込み 360ダメージで倒すことが可能」であったり、「非ルールのポケモンに対してもダメージが加算されるため、相手の《インテレオン》に対してこちらの《アクアバレット》が120 + 30 +《かんしゃくヘッド》で倒すことが可能」だったりします。
それぞれ一長一短ですが、個人的には《こだわりベルト》の方が使いやすく感じます。

3.共通して採用されているカードの採用理由

《モクロー》:序盤相手の《メッソン》や《ノコッチ》、《チラーミィ》を倒すのに使います。このターンは手張り権が余るので中盤以降エネルギー管理がシビアな《インテレオン》に貼っておくことで《アクアバレット》を打つタイミングで《キバナ》ではなく《ボスの指令》を打つ選択肢を作ることが出来ます。

《フーパ》:相手のベンチにいる《マナフィ》や《メッソン》《ジメレオン》を倒すために使用します。このポケモンが技を打つときは《ボスの指令》が打ちたい時である場合が多いので、バトル場に出るときは《回収ネット》を消費してしまいます。そのためエネルギーのついた《ジメレオン》がいる場合は《フーパ》ではなく《インテレオン》でサイドを進めることを意識し、《回収ネット》を温存するようにしましょう。

《回収ネット》:1枚採用の多いデッキで数少ない4枚採用のカードです。《ポケモン入れ替え》の役割と《裏工作》の再利用、《かんしゃくヘッド》の再利用による打点アップなど1枚で出来ることが多く、リソース管理が一番大切なカードです。《風船》や逃げるエネルギーが0枚のポケモンを採用していない都合上、序盤に使いすぎると終盤アタッカーがバトル場に出せないという事態に陥ります。また終盤の相手の《ツツジ》に対してきちんと盤面が作れていると当たり札になれるカードです。序盤〜中盤で《インテレオン》をきちんとアタッカーにできれば比較的終盤まで温存できるので意識してプレイするといいと思います。

7. 不利なマッチ

デッキの仕組み上、多くの相手に戦っていけるゲームプランを軸としていますがポケモンVstarを軸としながらサイドを複数枚取る方法を持つデッキタイプの中で《マナフィ》が有効に働かないマッチは不利だと考えています。
具体的には《ヒスイダイケンキVstar》、《チャーレムV》が採用されていて多めに《クイックシューター》の《インテレオン》が採用されている《連撃ウーラオス》や《連撃インテレオン》が挙げられます。いずれも技以外で相手のベンチポケモンにダメカンを載せる方法が採用されており、《回収ネット》や《タフネスマント》を上手く使えないと一気に逆転を許してしまいます。

8. 最後に

ここまで読んでいただきありがとうございます。国内と海外では多少のカードプールの違いはありますが、とても納得のいく構築に仕上がったので満足しています。

プレイ難易度はかなり高く感じますが、ゲームプランが一貫しているため慣れれば使っていてとても楽しいデッキだと思いますのでぜひ遊んでみてください。

また6月に開催されるPJCSにおいて、最近姿を見ることのなかったInteleonMoltoresを見れるきっかけになればいいなと思っているので試してみてもらえると幸いです。

では、お疲れ様でした。

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