1211

ウォヌがいた わたしがいた

いたね、いたよ

今のうちに、いろんなものが鮮明なうちに、
残しておきたいこと

過去と未来のわたしが大丈夫になれる話

してもいいかな

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ずっと会いたくて、会いたくなかった

大好きで、大好きで、大切な人

ウォヌ

前日の夜、大阪3日目の公演を見たわたしは、

「 ステージの上で笑うあなたまでのその距離を、
愛している 」

そう思った

これは確かな気持ちだった

ステージを降りたとしてもアイドルだけど
でも、目の前に立ったら“人と人”になっちゃうじゃない

そしたら、どうする  どうなる？

わたしが剥き出しになってしまいそうで怖い
暴かれてしまいそうで怖い
怖くて、逃げ出したくて仕方がない

ウォヌ、本当に綺麗な人だから

そんなことばかり考えて、
心はぐちゃぐちゃになっていた

“大好き”という気持ちだけが、
後退りしようとするわたしをウォヌのもとへと導く

ちゃんと会えるのかな

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12/11 朝

目覚めてからずっと胃が痛い
コップに注いだお茶は全てこぼし
塗り直したネイルも失敗に終わる
スマホの画面にはヒビが増え
半泣きで完成させた名札は上下逆
当然ごはんは喉を通らない

今思えば苦しみすぎている

わたしってこんなに人間だったんだ
こんなになっちゃうくらい、好きなんだ

ありえないことが起こってる
起ころうとしてる

どうしたらいいのか
心をどこに置いたらいいのか
わからなくなっていた

いつも以上に重たく感じるキャリーケースと歩く
電車に乗ればわたしはこのまま運ばれていく

ウォヌに出会ってから今日までの想いが全部溢れて、涙になった

大好きな人に会うために足を踏み入れる初めての場所
未だに、あそこにいたという実感はまるでない

開始1時間前になるとわたしは、
なぜか正しく会場に到着していた


もうここからはあまり記憶がないので、
白い箱の中に入る少し前、そこから話を進めます

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深呼吸も忘れて
掌には、震える手で書いた2文字

何度も何度も見つめて、握りしめる

この言葉をウォヌにそっと手渡せるかもしれない
ということだけが、おまじないだった

わたしはなんとか、立っていた

速かったのかゆっくりだったのかもわからない
ただ、進んでいく

いつもより小心なこの一歩も、
確実にウォヌへと向かっている


会えるのかな
いるのかな
疲れてないかな
どんな顔してるかな

わたしの好きな人、 
わたしの大切な人、

わたしの、

心は泣いていた
やわらかく、泣いていた

前、向いたらね

 
ウォヌがいた 


両手を小さく振りながら
優しい笑顔で待っているウォヌが

わたしの名前を呼ぶウォヌが 

いた


顔を見たらもう、全部大丈夫だった
本当に全部、大丈夫になった

入った瞬間、その日いちばんゆっくりと心臓が動いたんだから

緊張なんてさせてもらえなくて、
身体が凪いでいくのがわかった

こんなに優しく笑う人っているんだ

わたしが好きな人は、こんなに、こんなに、

そっか…

夢なのかなって思う隙間がないくらい
確かであたたかな現実をくれる人

わたしが心を飾らなくても立っていられるような、そんなやわらかい空気を持っている人

優しくて、優しくて、優しくって

どうしようもないほど

本当に、優しい人だった

わたしはうれしくて、切なかった

そんなに優しかったら、
今までどれだけ傷ついてきたかなって、

痛みを、どれだけひとりで背負ってきたかなって、

わたしに泣く資格なんてないけど
そのことにいちばん、涙が出そうだった

ウォヌはまっすぐ生きている人だった


自分の痛みすら人のために使おうとするあなたに、わたしのことで知ってほしかった唯一のこと  

泣きたくなるくらい誠実で不器用なあなたに、
伝えたかったこと


掌に書かれた文字を読み上げて、
目を閉じ胸に手を当てて、
ありがとう、と言いながら
深々とお辞儀をするウォヌ


もう、心そのものだった


声が、仕草が、受け取ったよと教えてくれた

あなたが笑うとわたしはうれしい
心に花が咲くみたい

あの大好きな笑顔に会えた時、
わたしはこの気持ちを忘れたくないと思った

祈りも、想いも “届いた” と思わせてくれるのは、
あなたが、そのままの形で受け取ってくれる
聡い人だから

わたしがこの気持ちを閉じ込めておけないのは、
あなたの器に甘えているから

いつもごめんね

でも今は、ごめんねよりたくさんの
ありがとうが伝わってほしい


会ったら何かが終わるんだと思ってた

でも違った

何も終わらないし、
新しく始まるわけでもない

これからもずっと続く
おだやかに、続いていく

応援し合いながら、何も変わらないまま、
遠くのそばで、一緒に生きていく


わたしは優しい人になりたい

あなたがあなたらしさを諦めずに生きていてくれることが、わたしには光

背負わせたいわけじゃなくて、
あなたがそこに立っているという事実が美しくて
それだけは、いつか知ってほしくて

だから名前を呼ぶ  呼ばせてほしい


胸の中にあるものをたくさん落としてきた人生だった

いっぱい泣いたし、
自分の手で、何度も心に穴を開けた

でもあなたに出会ってこんな気持ちを知れるなら、
もう全部いいや

全部ぜんぶ、よかった
ここにいられてよかった
歩いてきてよかった

大袈裟じゃなく心からそう思う

わたしを、幸せでいていい人にしてくれてありがとう

あなたにもらったものが、
あなたを好きになって出会えたものたちが、
わたしを大丈夫だよと抱きしめてくれる

諦めそうになったとき、
握りしめられる数秒がある

今日感じたことは、人生でいちばんやさしい希望

わたしはあの列に並べたことが幸せだった

あなたに会いたくてここに来たよと、
あの場所に立つだけで伝えられることが、
うれしかった

いつもは恥ずかしくて言えないけど、
でも今日は、今日のあなたは、
本当にかっこよかったよ

優しくあることは、わたしにとって
“かっこいい” だったんだ

自由にたおやかに泳げる今の心すら
あなたの優しさがくれたもの

わたしはもらってばかりだね


元気でいて 笑っていて
涙はあたたかいものであって
ひとりじゃないって知ってて

大丈夫じゃなくてもいい

でもやっぱり、幸せでいて


もういいよって言うまで応援してるから

今日だけじゃない、
あなたにもらった宝物を抱えてたくさん笑うから

わたしはあなたの、

2023.12.11