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Mリーグへの批判について考える

※個人の主観ですのであしからず。

最初に


Mリーグロスになって久しい今日この頃。オフシーズンになるとチーム毎の総集編がドキュメント調でたまに流れるくらいで、規模は著しく縮小し、次シーズンに至るまでの話題になりそうなものといえば契約更改→ドラフトくらいのものだ。

今シーズンはパイレーツが2年連続でファイナルに進出できなかったため規定によりチームメンバー1名以上の強制交代となった。一方で、風林火山と雷電の2チームは既に、来シーズンも現存のメンバで挑むことを発表している。

こういったチーム構成に対して、若しくは各選手の打ち筋や成績に対しての批判が、シーズンを重ねる毎に多くなっているように感じる。それ自体は別に何とも思わないけれど、その内容に首をかしげたくなるものが多かった。


Mリーグ視聴者は「批判が下手」

まず、はっきり言ってしまうと、私は、選手の成績や闘牌の批判のについて、大体は「言ったところで時間の無駄だ」と思っている。これはMリーグに限らず、スポンサーがチームを持っているスポーツにおいては大体同じような感想で、極論を言うとそもそも個々人の文句ひとつに意味があった試しがない。選手個人のメンタルに多少ダメージがあるかもしれないが、批判している側の望む結果には到底至らないことが多い。

というか、批判している側はそもそもその意見を届けるつもりがあるのかも結構あやしくて、当該選手や所属しているチームのオフィシャルのコメント欄につらつらと文句を投げているだけだったりする。自分が選手やオフィシャルの立場だったとして、それ読む?と疑問に思ってしまう。

そもそも、批判している側が、Mリーガーの立ち位置や仕組み、スポンサー側の思惑について正しく理解しているとは思えないような批判内容が極めて多い。仕組みを理解していない人間の批判など、端から見たら雑音以下である。

また、これに併せて「批判をされないような業界は、むしろ悪くなっていく」という意見を取ってつけたようにSNSに投稿している人間もいる。一見正しいものの見方とも思えるが、業界側の質を求めるのであれば、そこに向けた批判も質の高いものである必要があるのではないだろうか。自身の批判の「行為のみ」を正当化したいんだろうけど、あんまりテキトーなこと言っているといずれ誰からも相手されなくなりますよ。


仕組みを理解して、どこがどう間違っているのかを正しく批判してあげないと、僕らの大好きなMリーグが衰退しちゃいますよという、今回はそういうお話です。


野球やサッカーと無理やり比べると・・・

Mリーグが他の競技麻雀と一線を画すのは、前述のとおりスポンサーがそれぞれチームを持っており、選手がそこに所属するという、日本でいえばプロ野球やJリーグのような人気スポーツに近い構成であること。これに尽きる。特に、シーズン毎にドラフトを開催しているから、こと選手の指名に関してはプロ野球にかなり寄せている。

ここで、逆にプロ野球との差分がどこにあるのか?という観点で見ると、女流選手を1名以上所属させないといけなかったり、前述の2年連続5位以下で強制メンバ変更だったりといったレギュレーションに目が行く人が多いだろう。一方でちょっと盲点になっている部分がある。それが「指名対象」。

Mリーガーは、もともと主要5団体に所属する麻雀プロから選出される。選出理由は様々だが、要するに「学生」や「社会人」から「プロスポーツ選手」になるのではなく、元々「ある程度売れっ子の麻雀プロ」から「Mリーガー」になるわけだ。

スポーツ選手は基本的にそのチームでの活動が仕事のほぼすべてで、例外といえば代表戦くらい。それに対しMリーガーの場合、元々相当数の仕事をしており、Mリーガーになった後も同じかそれ以上の仕事をこなしている。冒頭でMリーグはオフシーズンだと表現したが、Mリーガーは麻雀プロとして、1年中稼働している。見方によっては「数ある仕事のうちの1つに、Mリーグという大き目の仕事が入った」とも言える。

対局に関しても、タイトルを取った翌日にMリーグに登板していたりする。もっと言うと、特に今期では、タイトル戦を優勝したプロのほとんどがMリーグで調子の悪かった選手だったりする。逆に言えば、Mリーグで調子が悪くても他で勝っているので、全体的には自身の成績は及第点以上という評価をしている選手が多いのではないだろうか。

一方、Mリーガーの闘牌批判をしている人たちは、ネット麻雀の高段者だったり雀荘のメンバもしくはフリーで稼ぎをあげている人など、「麻雀そのもの」に対しては非常に精通していてるコア層ではあるものの、「競技麻雀」についてはMリーグ以外はせいぜい最強戦の決勝ラウンドくらいしか追っていないライト層、という人が大半だったりする。

「Mリーグしか見ていない視聴者」の批判と、「Mリーグだけスコアが悪かった選手」の自己評価を並べた場合、温度差が一致するわけもないし、打ち方についても、他で優勝している打ち筋や考え方を、人に言われたからといってわざわざ変える人はいないだろう。批判側が他の対局も真剣に全部見て批判を刷れば印象も変わってくるかもしれないが、その選手にそこまで時間を使うのはむしろファンでしかないのでは?とも思ってしまう。


長くなったが、結論としてはMリーグのみに熱量を高く持っている視聴者が、他でも広く活躍している選手に対して「成績が悪い」とか「下手」とかいう文句を言っても、接頭子に『Mリーグに関していえば』が付いてしまっている以上、あんまりピンとこないと思うよ、ということ。

それでも批判がしたくてたまらないという人に向けて追伸するのであれば、折角「意味のある闘牌批判」をするならyoutubeなり有料noteなりコンテンツにして、自身にリターンがないと割に合わないと思う。(実際に先述の麻雀巧者の中にはそういうことやっている人も割といる。)ただ、今から始めても、最初からやっている人に勝てる要素がないと売れないし、今だとほとんどのプロが自身の対局を事後検証したりしているから、供給過多になっている感じもする。


スポンサーは何故参戦した?

話題を変えてこんな話。

そもそも選手と契約をしているスポンサーは、麻雀の上手下手をМリーガーにどれだけ求めているんだろうか。皆さんは考えたことがありますか?

これは個人的な憶測なのであてにしないで頂きたいが、そこまで求めていないんじゃないかな、と思っている。


前提として、各スポンサーの参入について、多額の資金を投入してMリーグを設立し、社長が監督とチェアマンを兼任しているアベマズは兎も角、他の企業が100%趣味オンリーでMリーグに参戦しているとは考え難く、将来性を含めて商売になり得ると踏んだ上での、ビジネス的な側面も検討したうえでの参戦だと思っている。
スポンサーとしてスポーツチームの運営を商売として成立させるためには、ライト層をいかに取り込んで市場を展開できるかが非常に重要になってくるわけで、ことコア層に向けた「闘牌の精度」という数値化しにくい指標より、単純な「数字」を重視するんじゃないかな、と思う。

すごくいい内容の麻雀で-500ポイントの人と、特筆する内容のない麻雀で+500ポイントの人を比べたときに、麻雀をよく理解している100人が前者を支持しても、残りの9900人が後者のグッズを買うとなれば、企業としては後者を優遇する気がするし、しないといけないと思う。結果を出した選手が、馬鹿を見るようではいけない。


では、企業が重視する「数字」とはどんなものがあるだろうか。

一番単純明快なのが「スコア」で、Mリーグで今シーズンないし歴代で何ポイント取っているか。企業としても視聴者としても、これがプラスの人は基本的に来期も期待できるという判断がしやすい。優勝賞金5000万円獲得に一番関連性のある数字ともいえる。
因みに、Mリーグで契約満了となった人は(移籍した方を除いて)3名いるが、全員歴代のポイントはマイナス3桁の域だった。
逆に言うと、4年やって歴代ポイントがかなり大きなマイナスでも契約更改となっている選手がおり、大体の批判はここに向けられている。
では、歴代成績がクタクタなのに契約更改するのは、他の数字に理由があるということになる。


そのうちの1つはやっぱり「人気」とか「知名度」かな、と思う。数字化に関してはちょっと偏りが発生するけど、SNSのフォロワー数だったり、youtubeのチャンネル登録数が指標となる。
球場への入場料が主な収入源となっている野球やサッカーと違い、フランチャイズの会場を持っていないMリーグにとって、サポーター会費やグッズの売り上げは数少ない収入源になっている他、その選手が自社の活動や製品を宣伝することで広告効果を高めることができる。
特に兼業している選手や、他業界への番組出演、コラボ出演などをたくさんしている選手はここの数字が強く、たとえスコアが悪くても売り上げでプラスとなる場合は企業としてはクビを切る理由は特にないだろう。

もう1つは意外と「年齢」があると思う。麻雀プロには引退はない、とはいえ、若い麻雀プロにチームに入ってもらって向こう50年活躍してもらえれば、トータルで莫大な利益を生むことになるので、将来性という面では年齢も重要なファクターだといえる。他のチームスポーツでも、成績が同じくらいの成績の場合、技術力よりは年齢を見られることの方が多い。

その他、細かいリスクなんかも数値化しているんだろうけど、概ねこんなところかな。
結論としては、Mリーグを「麻雀」として見ている視聴者と、「商売」として見ている企業の間に、隔たりがあるのは当然だと思います、という話。いかに選手の下手っぷりをチームの公式アカウントに訴えても、企業側は銭になっている以上はどうでもいい話だってことになる。

極論を言うと、○○選手をMリーグで見たくない!と思っている人は、それをSNSで垂れ流してもどうせ無駄なんだから、「代わりに加入してほしいプロを全力でプッシュ」した方が意味があるんじゃないかと思っている。有志同士でお気に入りのプロのファンクラブでも作って盛り上げるだけ盛り上げて、企業に『あっちの選手の方が麻雀も強いし商売になるな』と思わせる方が、効果がありそうな気がする。

で、Mリーグ批判にお熱な皆さんは、現在非Mリーガーの推しプロっていますか。


チームの応援より大事なこと

更に話題を変えてこんな話。

雷電が全員続投を発表した際、コメント欄に賛否が散見したが、「ありえない!!」と批判している人の何割かは、他のチームのファンだったりする。

これって、ちょっと考えるとすごく不思議な現象だ。今期雷電はマイナス1200ポイントの大マイナスだった。それはすなわち、他のチームからすればそれだけ『稼がせてもらった』いわばお得意様なわけで。仮に雷電がメンバーチェンジして強くなったら、あなたの応援しているチームが負ける要素増えますけど大丈夫か?と思ってしまう。

こういう人たちって、何を考えて批判しているんだろうか。単純な批判したがり屋なんだろうか。

もしくは、麻雀を観戦している人たちは単純に「いい麻雀」や「熱い勝負」を見たい、という気持ちが強いのかもしれない。いい試合を見た上で、自分の応援するチームがトップを取って、初めて満足できるのだろう。

もう少し尖った言い方をすると、本当はMリーグが見たいだけってのが本音で、好きな選手や自分の麻雀のスタイルに重ねて、建前でファンを名乗っている人もたくさんいると思う。野球やサッカーだって、「地元だから」「強いから」「漫画の影響で」とかでファンになる人もいるし、にわか自体は全然悪いことじゃない。

本当はそういった人たちをいかにコア層に引きずりこむのがオフィシャルの腕の見せ所・・・なんだけど、現状は、それがしにくい環境だなって思った。

野球やサッカーは開幕が同時で色んな球場で一斉に試合が行われる。一度に同時に見るのは実質不可能なので、どうせどこかにチャンネルを絞るなら、応援するチームを決めてそれを追っかけた方が、少なくとも1つのチームの事情には詳しくなれるので楽しみが増す。

ただMリーグは1チャンネルで全試合を追いかけられるので、ファンを名乗らなくても十分楽しめてしまうというのが、結果としてにわかファンを卒業させられない要因になってしまっているのではないか。もうちょっとサポーターの特典を強化するとかしていかないと一生ライト層しか増えないんじゃないだろうか。ちょっと心配。

まぁ、とはいっても、Mリーグ始まって4年しかたっていない。今後どのように展開するべきか非常に楽しみにしている。


以上になります。ちょっとダラダラ書きすぎた感じもしますが、批判をするにしても、相手をめがけてしっかり刺さないと無駄ですよって話でした。

おしまい。

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