"適正順位 ver.2.0"の実験レポート -ドラフトファン15人に聞いてみた-

 おひさしぶりです。だけんさんと申します。
 今回はプロ野球ドラフト会議の話です。

 さて、皆さんはドラフトファンたちの間に”適正順位”という考え方があることはご存じでしょうか。
 誰が言い出したかは定かではありませんが
このドラフト候補を何位で獲得するのが最も適正なのか?
 を"個人の主観"で設定し、本番のドラフト会議において、適正順位と照らし合わせる事でどの球団がより他球団より巧く(――または下手に)指名をしたのか、を大まかに測ることが主な目的とされています。

  今回はそんな"適正順位"を個人の主観によるものではなく、多人数への調査から明らかにして"適正順位"を発展させてみよう。というのが今回のnoteになります。

■適正順位とは

 先日、適正順位について考察した記事を出しましたので、詳細はこちらをご覧頂きたいですが、すごくざっくりまとめますと

・適正順位は、予想する側・見る側双方にとって扱いやすさが優れていることが大きなメリットである。

・一方で適正順位は各球団の補強ポイントに対応出来ない、また個人の主観による評価なので正確性に疑問が残る。

 と、こうした特徴があります。
 適正順位そのものは非常に扱いやすく便利な評価方法ですが、それが正確かどうかは疑問符が付くところ。どういった方法であれば、適正順位の良さを残しながら問題点を改善していけるでしょうか。

■”適正順位 ver.2.0”とは

 この問題点を解消すべく考えたのが今回紹介する"適正順位 ver,2,0"です。

 これはgoogle フォーム等のアンケート機能を用いて、ドラフトファンにアンケートを取り、どの順位帯で最も適正順位であると認識されているかを調査する方法です。
 例えば下図のようなアンケートを作成して回答してもらい

アンケート

  以下のようにグラフにまとめて、適正順位を把握するというやり方です。

画像22

 この方法のメリットは、従来と同じように適正順位の考え方を用いながらも、個人の主観を纏めることで全体的な傾向を可視化することが出来ます。
 上記図であれば、春の選抜で活躍した石田隼都(東海大相模③)選手は、『単独1位指名が適正である』と考えているのは回答者の2割程にすぎませんが、『2位後半が適正である』と考えている回答者は8割強に上ります。

 このように個人の感性による適正順位も集積すれば傾向が見えてくるのがこの方法の利点であると思います。
 補強ポイントに対応していない点は難点ですが、『過大評価である』という回答が全体的に少ないのであれば、「適正順位的にはやや高い評価だが、補強ポイントに合致しているのであれば一定の評価対象になる」といったように柔軟な使い方も可能となります。

 勿論デメリットもあり、多人数へのアンケートの性質上、ドラフト候補全員の評価を判定するのは不可能に近いという事です。
 特に映像の少ない地方の選手や、独立リーグの選手など、回答者の多くが情報にアクセスしにくい選手となると回答の信頼性を損ねます。
 全国大会に出場していたり、ネット中継のある大学リーグであったりといった、全員がある程度前情報をもって回答出来る選手を評価するのに限られる手法であると言えます。
 また、どれくらいの人数から信頼出来る母集団であるかという"数の担保"は考えないといけないですし、同時に回答者がドラフト候補に精通しているかどうかといった”質の担保”も考えなくてはならず、相反した問題も抱えているのが課題です。

■というわけで、実際にやってみた

 今回は、仮想ドラフト仲間である蘇龍さんが開催した「Deドラ2021」参加メンバー+ゲストの総勢15名で実際にこの"適正順位 ver2.0"を試してみました。

 アンケートの仕様は以下の通りです。(原文ママ)

 Deドラ2021参加者の皆さんが、「この'21ドラフト候補が何位だと"どう"感じるか?」が気になったのでアンケートのご協力を依頼します。
【回答欄のすべてのチェック欄にチェックをしてください】

 (例)牧秀悟選手の場合 競合1位の評価が過大評価だと思う場合は競合1位の欄の「過大評価」にチェック。単独1位の評価がやや高い評価だと思う場合は単独1位の欄の「やや高い」にチェック。外れ1位の評価が適正評価だと思う場合は外れ1位の欄の「適正」にチェック(中略)6位の評価が過小評価だと思う場合は6位の欄の「過小評価」にチェック。
 …といったように、【回答欄のすべてのチェック欄にチェックをしてください】(大事な事なので)

 また、自信が無い場合はピンポイントな評価で無くても結構です。
 牧選手の例で行くと、外れ1位から2位後半まで「適正」だと考えたのであれば該当の3ヵ所全ての「適正」欄にチェックを入れても構わない、ということです。
 ※競合1位欄で適正以下の評価にチェックが入った場合は全て適正に合算します。
 ※その他チェックミスと思われる場合は個別対処します(基本は前後の評価を参照します)
 ※選手へのコメントは任意です。

 このような(面倒な)レギュレーションでアンケートを行うため、信頼出来るアンケート回答者を担保する必要があり、Deドラ参加者とゲストを含む15名という人数だけになってしまったというのが正直なところです。この倍以上は出来れば欲しいですが、今回は実験版という事でご了承ください。

 そして、今回はセンバツ甲子園・大学選手権・都市対抗野球などに出場した選手など、知名度が高かったり映像が比較的入手しやすい18人を対象にしたアンケートに答えてもらいました!

 なお、アンケート調査は6月の大学選手権後辺りに行われたので、選手の査定は6月時点のものを反映していると考えて頂ければと思います。

 では、実際に見ていきましょう!


①石田 隼都(東海大相模高③)

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■回答者コメント(一部)
・競合外れた球団次第では外れ一位あると考えています。高校生選手の指名が多くなり宮城に続く左腕が欲しいオリックスや東海大相模の指名が多い巨人などが候補に挙げられると思います。
・個人的には甲子園の活躍が強く指名なら上位確実
・高卒左腕では1位かなと思う。

■解説
 石田隼都選手は2021年のセンバツ優勝投手ということで一気に評価を上げた高校生左腕です。ハイテンポでも乱れない高い制球力や、183cmと身長もありポテンシャル面も注目されています。高校生左腕では1番という声も。
 30%弱の回答者が1巡指名でも遜色ないと答えており、評価の高さが伺えます。2巡目後半の適正率の高さは87%と多くの回答者が2巡目での指名があるのではないかという評価になりました。

②小園 健太(市立和歌山高③)

小園健太

■回答者コメント(一部)
・夏の甲子園に出られるかわからないがそれでも初回入札がないのは考えられないと思います。(※6月時点)
・高校生離れしたクレバーさと引き出しの多さを持っており、同じポテンシャルの選手よりも一歩上を行く存在。1位競合が妥当。

■解説
 小園健太選手は、高校生BIG3の一角を担う最速152km/hの高校生右腕です。バックスピンのかかった直球に加え、クレバーな投球と球種の多さで既に複数球団から最上位級の評価をされています。
 単独1位の適正回答率が80%を出したのですが、競合1位の適正率も60%出ています。残念ながら夏の甲子園に出ることは叶いませんでしたが、それ抜きにしても単独1位指名では収まらない可能性が非常に高いことが伺えます。

③松浦 慶斗(大阪桐蔭③)

松浦慶と

■回答者コメント(一部)
・現時点だと下位指名が濃厚では?と感じ復活すれば3位前後かなと予想してます。
・利き腕ではない方の肩を脱臼している点がめちゃくちゃ気になる。これって野球している人からしたらあるあるなのかな?
・持っているポテンシャルだけで見れば1位競合でもおかしくはないが、出し切れていないため現段階で1位とは言えない。だが何度もいうようにポテンシャルは凄まじく、育成に自信があるなら2位でくるチームがあっても理解できる。だがこのままの状態なら4位くらいになるのでは。

■解説
 松浦慶斗選手は、希少性の高い左腕で最速150km/hの直球を投げる高校生です。その高いポテンシャルは高校2年生時点で注目されており、3年生でどうなるか…と思われていたのですが、春のセンバツでは4回4失点と結果を残せず、最速も146㌔止まりと評価に陰りを落としました。 
 4位での適正率が70%を超え、ポテンシャルは認めるが、完成度が低く上位指名は難しいという評価を下す回答者が多かったことが伺えます。利き腕ではない右腕の脱臼癖を気にする回答者も。プロのスカウトはどう判断するでしょうか。

④畔柳 亨丞(中京大中京高③)

畔柳きょすけ

■回答者コメント(一部)
・去年の広島小林投手位の立ち位置だと思います。事前は上位指名確実くらいの評価で蓋を開けてみたら4位くらいのイメージです。
・背が若干低いのと右ひじの怪我の具合がよくわからないので球団によって評価分かれそう。

■解説
 畔柳享丞選手は、高校生トップクラスの球威を持つ最速152km/h右腕です。打者の手元でぐっと伸びてくるストレートを武器に、ピンチの場面でも真っ向勝負を挑んでいくメンタルの強さも魅力的な投手です。
 上位候補と目される選手であり、2位時点で50%を超える適正率が出ていますが、身長が177cmと投手としては大柄でない点や、1年次秋の肘故障や、センバツ後もノースロー期間を経たりと、耐久性に不安という点から3位で最も適正の回答が集まりました。

⑤達 孝太(天理高③)

達孝太

■回答者コメント(一部)
・高身長であのスケールの大きさ+選抜の活躍があるので上位指名が妥当なところ。夏150超えてくるようであれば一位だと思います。
・スケールは今年の候補でも屈指。球場で聴こえるスカウトの話だと小園や森木より高評価しているチームも見られるのでプロでの評価は高そう。2位までに消えるのでは。

■解説
 達孝太選手は身長193㎝という圧倒的な長身から最速148km/hの直球を投げ下ろす高校生右腕です。直球の回転数を意識しているなど、現時点では球速に拘らない姿勢を見せていますが、それでも長身から投げ下ろす直球と鋭く落ちるフォークのコンビネーションは抜群です。
 2位後半に最も多く適正との回答が集まりましたが、外れ1位の段階でも50%を超える適正率を見せており、頭一つ抜きん出た高いポテンシャルをプロも大きく評価するのではないかという見方をした回答者が多いですね。

⑥阪口樂(岐阜第一高③)

阪口樂

■回答者コメント(一部)
・素材だけで言えばピカイチだがいかんせん全国の舞台に一度も行けていないと評価しづらいと思う。全国出場経験なしのスラッガーが一位指名された記憶がない。それでも去年から注目されているのは事実なので地元枠で中日が単独指名しても別に過大評価だとは思わない。
・今シーズンは苦しんでいるが、長打力は間違いないポテンシャル。彼に関してはエゲツない打者になるか、全くダメで終わるかの2択だと思うが、そのポテンシャルを信じれば1位が妥当。だが夏次第で3位くらいに落ち着く可能性もあると思う。

■解説
 阪口樂選手は187cm、89kgの恵まれた体格の投手兼一塁手です。2年生夏の大会で、中日ドラゴンズに5位指名された加藤翼投手の149km/hストレートをホームランにした事で一躍高校生野手のトップ評価に。逆方向に飛ばす打球は大谷翔平級との声も。運動能力を生かし三塁手にも挑戦中とのこと。
 適正率は外れ1位・2位前半が共に60%という結果で、外れ1位で指名されるかどうかのボーダーラインに位置する選手と言えるでしょうか。2年秋からの成績が突出したものでなく、全国でのプレーも見れていない事で評価が分かれる結果になりました。地元中日からの指名を予想する声もありますが果たしてどうなるでしょう。

⑦松川 虎生(市立和歌山高③)

松川虎生

■回答者コメント(一部)
・近年高校生捕手の順位は低くなっていますが甲子園も経験しサードも守れるという点から牧原選手(20年SB3位)のように3位以上が妥当なところだと考えています。
・他候補と比較して1位は早いと思うが、捕手としての能力と打撃を見れば2位で来る可能性はあると思う。サードというオプションがついていることもプラス。
・高校捕手ではno.1

■解説
 松川虎生選手は178cm、98kgの捕手らしい体格に、遠投110m・高校通算43本塁打と強肩強打を備えた高校生捕手です。前述した小園健太投手とバッテリーを組んでセンバツに出場。巧みなリードも光り、捕手らしい所作も評価されました。
 3位指名でも67%の適正回答率が集まるなど、高校生捕手のトップ評価というところで3位から4位で指名されるとの見方が強いようです。夏の甲子園出場は叶いませんでしたが、飛距離の長いホームランを複数回打ったことで打者評価も上がっており、3位より上の順位も想定出来るかもしれません。


⑧大塚 瑠晏(東海大相模高③)

大塚瑠晏

■回答者コメント(一部)
・大塚に関してはレギュラーになれるかどうかは分からないが今年の候補を考えると相対的に評価は上がりかねない。総合的に中途半端よりも守備は間違いないこの選手の価値は高くあって欲しい。
・あの守備ができて、まだ18歳と考えると1位で次世代のショートが欲しいなら1位で確保しても早くない。打撃や走塁が全くダメならまた違った評価になるが、そうではなく名門で主将を任されるキャプテンシーにも期待できる。上位候補。
・土田(20年中日3位)より少し低いくらいになると予想してます。

■解説
 大塚瑠晏選手は168cm・68kgと小柄ながら、超高校級の遊撃守備技術が突出している高校生内野手です。走塁面も50mを6.0秒で走るスピード感・2年次秋からセンバツまでの限られた期間で10本塁打をマークするパンチ力なども魅力的なポイントになります。
 3位の適正回答率が73%と高くなっています。身体能力で評価されがちな高校生二遊間カテゴリーにおいて、小柄なサイズという身体面のマイナス評価を跳ね除けるほどの特異な守備技術が評価を大きく押し上げていますね。
 名門高の二遊間かつ主将を兼ねるキャプテンシーの高さにも期待の目を向けている回答者の方もいらっしゃいました。

⑨佐藤 隼輔(筑波大④)

佐藤隼輔

■回答者コメント(一部)
・大社No.1なのは間違いなく競合が彼の適正順位だと思うが2019年奥川、佐々木に指名が集まり森下が単独になったように風間、森木、小園に指名が偏り単独なんてことも考えられると思います。
・今シーズン良くないと言われているが、悪いなりのゲームメイク能力や次のイニングでの切り替えは流石。大エースになるかと言われると微妙だが、出所が見づらいフォームもあり、ローテ投手にはなると思う。1位はほぼ確実。

■解説
 佐藤隼輔選手は最速151km/hを誇る大学生左腕です。1年秋から先発で主戦投手として活躍し、2年生にして日米代表に選出され結果を残すなど、大学進学した同世代をリードしてきた投手と言えるでしょう。
 ネタバレになりますが、今回アンケートを取った選手の中で唯一、競合1位で適正率が最も高かった選手です。驚異の87%という数字は下級生時からリーグ戦や国際大会を問わず成績を残してきたことへの信頼を感じますね。
 4年春は調子が悪かったものの、その実力は折り紙付きです。秋のリーグ戦で活躍すれば当然1位候補としての地位は揺るがないでしょう。

⑩隅田 知一郎(西日本工業大④)

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■回答者コメント(一部)
・先日の投球を見れば1位候補になるのは当然。山下、鈴木、黒原らから頭ひとつ抜けたのは間違いない。ただ佐藤がいる状況で彼が優先されることはまずないと思うので外れ一位から2位序盤が適正順位だと思います。
・少なくとも2位前半では消えるのでは。初の全国・初の神宮で強打の上武大打線相手に完璧な投球を見せたことで評価がまた上がったのではないか。佐藤を避けて隅田競合なんて展開もあり得るかもしれない。
・競合するイメージはみえないですが1位候補かと

■解説
 隅田知一郎(チヒロ)選手は、最速150km/hの大学生左腕。大学選手権で上武大学相手に8回1失点14奪三振の大立ち回りを披露し評価を大きく上げました。   
 豊富な球種を使い淡々とアウトを重ねる姿から、先発としては佐藤隼輔(筑波大)をしのぐとの声も。
 外れ1位での適正回答率が93%と、プロでも先発ローテーションとしての役割を確実にこなしてくれるだろうという期待を大きく感じます。大学選手権では1失点敗戦ということで完璧な姿のみを残して神宮を去りましたが、プロスカウトがリーグ戦を追跡した先での内容次第で評価を確実にしそうです。

⑪三浦 銀二(法政大④)

三浦銀二

■回答者コメント(一部)
・個人的にはすごく高く評価しているのですが身長や同一チームにさらに評価の高い選手がいる点も踏まえて4位くらいが妥当なラインになりそうです。
・三浦さんに関しては、下級生のころに比べると成績が伸び悩んでいるからその点で評価が低くなりそう。しかし、完投能力を評価する球団もありそうではある。
・ケガが心配の一言。3年秋に落ちていたパフォーマンスも4年で戻っており、普通に行けば3位以内で指名されると思う。

■解説
 三浦銀二選手は最速150km/hで伸びのある直球が武器の大学生右腕です。身長は175cmと大きくはありませんが、大学1年生から主力として活躍。2年秋から3年次にかけては不調で戦線から離れましたが、4年春でノーヒットワンランを達成するなど再び評価を上げてきています。
 3位での適正率が73%と最も高くなり、2位指名でも過半数の回答者は指名可能性を感じています。一方で、不調だった期間の伸び悩みを心配する声や、小柄な身長を考慮して4位以降を想定する回答者も2割以上居るなど、評価は分かれ気味です。秋次第で大きく順位に変動を起こすかもしれません。

⑫古賀 悠斗(中央大④)

古賀悠斗

■回答者コメント(一部)
・大学No.1捕手。上位以外あり得ないけど大学生捕手1位は記憶にないので2位以下が妥当。
・打てるコースが限られてくるイメージでパンチのある下位打線にいるかなと。守備面でどこまで評価されるのか
・捕手は予想より下がりやすいですが1位が全くないわけではないかもしれないです

■解説
 古賀悠斗選手は遠投115mを誇る強肩が自慢の大学生捕手です。ディフェンス面は今年No1との呼び声が高い捕手でしたが、4年春に打率.341と3本塁打を残したため打撃でも注目を呼び評価が急上昇。
 2位前半という高い順位で80%の適正回答率が出ています。外れ1位でも6割超の適正率で、チーム事情から即戦力捕手を獲得したい球団であれば、1位の枠を割いてくることも想定出来るかもしれません。捕手の順位想定は毎年難しいですが、はたして古賀悠斗選手は何位になるでしょうか。

⑬ブライト健太(上武大④)

ブライト健太

■回答者コメント(一部)
・選手権だけみたら12人にいそう
・確かに先日の活躍は凄いが去年までの成績を見ると厳しく本当に上位で指名していいのかという不安がある。特に大社外野手の上位指名は毎年平均2人程度で正木、梶原が上位確定と考えると4位以下になりそうな気がします…
・センターが守れるということで評価も上がったのではないか。強打のセンターで身体能力もあるとなると1位で確保するところが出てきてもおかしくない

■解説
 ブライト健太選手は184cm・84kgと恵まれた身体を持ちながら、50m5.8秒・遠投100mを記録する身体能力が魅力的な大学生外野手です。4年春に3本塁打を打ったリーグ戦の勢いそのままに、大学選手権でも打率6割超・2本の本塁打を叩き込み、その中には隅田知一郎からの一発も。大学選手権で最も注目度の上がった野手になりました。
 急激に評価が上がった影響か、適正率は2位後半が最も多いながらも53%と、評価に大きなばらつきがみられます。守備に関しても外野のどのポジションがプロで通用するのかという部分も評価が分かれるところ。ポテンシャルの大きさは高校生野手にも負けないだけに、秋のリーグ戦も期待です。

⑭泉口 友汰(青山学院大④)

泉口友汰

■回答者コメント(一部)
・守備は間違いないが、1部の対応に苦労した模様。打撃がしっかりしてくれば中位くらいで指名はありそう?
・あまり春は良くない印象

■解説
 泉口友汰選手は177cm・75kg、攻守に注目される大学生遊撃手です。
 一学年下の根尾(18年中日1位)に遊撃手の座を渡さなかった、大阪桐蔭高からお墨付きの高い守備能力に加え、東都2部リーグで3割超を複数回記録する打撃力も備えています。4年春から遂に東都の1部リーグに昇格しました。
 適正回答率では5位・6位が共に40%。春のリーグ戦で打率1割台を記録するなど東都1部の高いレベルに阻まれた結果が反映されています。それでも守備には確かな定評があり、秋に打撃面で適応した姿が見られれば評価も伸びるかもしれません。

⑮廣畑 敦也(三菱自動車倉敷オーシャンズ)

廣畑敦也

■回答者コメント(一部)
・今年度、即戦力右腕No. 1。まずローテに入れる投手。後ろを任せても面白いと思うので、即戦力投手が欲しいチームは1位でいかないと。巡り合わせて残っても2位の最初に消えるであろう。
・右なら間違いなくNo.1。一位以外あり得ないがリリーフ向きなので競合はないかなと。

■解説
 廣畑敦也選手は帝京大学から三菱自動車倉敷オーシャンズへ進み、そこで最速154km/h右腕として一躍ドラフト候補に躍り出た社会人右腕の24歳です。2600回転を超える回転数の多い直球が最大の売りで、20年の都市対抗では先発もこなし若獅子賞を受賞しました。
 外れ1位での適正率は87%。即戦力右腕の中ではトップクラスの評価との呼び声高く、「高い」「過大」だという評価も0なので、1位の12人には入るだろうと予想する声が多いです。一方で、先発起用なのか救援起用なのかは回答者コメントを見ても評価が分かれており、各球団がどちらで考えているかで廣畑選手への評価が大きく変わっていそうですね。

⑯森 翔平(三菱重工West)

森翔平

■回答者コメント(一部)
・最近の森投手が見れていないので何とも言えない部分はあるが、話を聞いていると2後半〜3が適切なのかなと感じる。左の即戦力ではあるが1年目からバリバリやるイメージがあまり湧いてこないので2年目から本格化と考えると3位くらいか?
・去年の伊藤のことを考えると2位までありえると思います

■解説
 森翔平選手は関西大学から三菱重工Westへ進み、制球の良い最速149km/hの直球で1年目から活躍し頭角を現した24歳の社会人左腕です。直球だけでなく変化球の精度も高く、即戦力の左腕投手という事でスカウトからの評価も高い選手です。
 3位指名での適正率が67%と、社会人投手では廣畑投手に次いで2番手3番手につくような順位と言えるでしょう。先発でも救援でも結果を残しており、すぐ使える左腕が不足しているチームにはピッタリ嵌りそうです。

⑰水野 達稀(JR四国)

水野達稀

■回答者コメント(一部)
・外れ一位は日ハム、横浜次第だけど横浜1位で指名することなさそう。
2位〜3位が妥当だし4位でも驚かない。全国でどれだけの数字が残せるか見てみたい。
・仮想では1位で消えることが多いが、実際まだまだ粗いところも多く、本当に1位かと言われると疑問もある。だが高卒3年目の野手は佐藤直樹や岸田等上位で指名される選手も多く、ポテンシャルを買うなら1位もあるか。ただ単独よりも外れでというケースの方が多そう。

■解説
 水野達稀選手は丸亀城西高校からJR四国へ進み、170cmと小柄ながらも50m6.0秒のスピード感がある21歳の社会人遊撃手です。高卒新人ながら都市対抗に出場しホームランを放つ活躍をするなど、高卒3年目とは思えない驚異的な打撃能力とスピードを併せ持つ内野手として注目されています。
 2位後半に80%と高い適正率を出すなど、21歳という若さ、遊撃手という希少性、高い打撃センスと身体能力に大きな期待がされています。外れ1位でも40%の適正率があり、場合によっては1位指名の可能性もあるかもしれませんね。

⑱中川智裕(セガサミー)

中川智裕

■回答者コメント(一部)
・今年急成長し、大学時代の粗さも減ってきたと聞いているがプロでも継続していけるかと言われると不安。自慢の強肩は間違いないが、プロの投手相手にミートできるかという点で3〜5位くらいではないか。
・右打ちの大型ショートという点だけで上位指名に値する。
・社会人ショートでは個人的にno.1です

■解説
 中川智裕選手は近畿大からセガサミーに進み、187cm88kgの超大型遊撃手です。50m6.0秒・遠投110mという身体能力の高さは近畿大時代の後輩、佐藤輝明(20年阪神ドラ1)を彷彿とさせるような24歳のモンスター内野手です。
 回答者コメントを見ても評価が二分していますが、適正回答率は4位が最多で60%。身体能力という部分は魅力的ですが、遊撃手としての守備技術やバットコントロールの粗さを不安視されています。年齢的には即戦力を期待されますが、タイプ的には未完の大器。ドラフト本番も驚くべき評価になるかもしれません。

■まとめ

 いかがだったでしょうか。まだまだ実験段階ではありますが、主観的な適正順位もこうして集めることにより、客観性であったり、説得力のある内容になったかと思います。
 現時点で評価の固まっている選手も多く、本番でもこのくらいの順位だと予想出来る選手もいれば、回答者の中でも評価が二分する選手などは大きく順位変動があるかもしれません。こればかりはプロスカウト次第でしょうね。
 もちろんドラフト直前に同じようにアンケートを行う事でまた違った結果になることも考えられますし、あくまでも現時点での評価であるという事だけ今一度ご理解いただければと思います。

 また、このアンケートそのものの改善点もあります。
 今回の質問の数がどうだったかという内容も一緒に聞いてみたのですが…。

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 半分くらいの人から「多いんじゃ!」と言われてしまいました。すいません。
 「高校生」や「投手」といったようにカテゴリーを絞りこむことで、質問自体が多くならないように工夫する必要がありそうですね。

 好評であれば、ドラフト直前に複数回に分けて同じようなアンケートを実施し、今度は「ドラフト本番との答え合わせ」もしてみようかと思います。
 気になる人がいたらそれとなく僕にアピールしてください_(:3」z)_

 それでは、回答者の皆さん、読んでくれた皆さんも、お付き合いいただきありがとうございました!


■余談

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 Deドラ参加者は適正順位をあまり信頼していないようでした😅

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