スターゲイザー

その曲は星の一瞬の煌めきのような音で始まる。
何か素晴らしいことが、特別なことが起こらないかと漠然と妄想しながら過ごす普通の日常のように、淡々と一定に流れるリズムとピアノが続く。

死体が腐敗していく、花は積めば枯れていく、叩けば物は壊れるのがあたりまえ

学校へ毎日通うことも、夫婦が一生を添い遂げることも、罪人が方で裁かれることも、多数派がいつも勝っていくことも、怒鳴れば君が泣くことも、ごくごく普通の日常。

日々を過ごしていて時々ふと頭がおかしくなる感覚、日常のゲジュタルト崩壊かなんなのかは分からない。しかし脳髄撃ち抜かれるほどに強い共感を覚えた記憶はこの歌詞の他にない。
何度も言葉にしようと試みたが、サビで流れる強くベースを掻き鳴らす爆発的な音に勝る表現は見つからなかった。

stargazer (星を見上げる人)

他には夢想家という意味もある。
23時、仕事の帰り道で星を見上げてみた。都会の夜はでっかい月しか見えなかったがうるっとした。

初めてのライブ(東京ドーム)へ行った時、あの曲が始まった。煌めく一音目が鳴り響く瞬間から、会場にいた各々の有象無象を兼ね備える者たち全員が上を見上げて
同じ歓声を上げる瞬間は今でも本当に忘れられないものだった。

追記
この曲のMVは私が中学の頃に撃ち抜かれるほどの衝撃を受けた年の近い表現者が出演しています。

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