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山道

債権回収というと、債務者側に問題があるケースを
想像されることが多いのですが、
クライアントの事務所に訪問して
ここからどうやって帰るきっかけを作ろう、、、
と思いながら商談をすることも少なからずありました
特に、自宅兼事務所は要注意です


都内の閑静な住宅街
クライアントのオフィスは自宅兼事務所とのことで
住みたい街ランキング常連の駅から徒歩5分ほど
外観は比較的新しい一軒家

ただ、玄関を開けたところからすでに
モノに埋め尽くされていました
応接スペース的な部屋もモノだらけ
言葉を選ばず説明するとゴミ屋敷のような状態

手帳を開くスペースもないのであきらめて
債権の発生経緯を口頭でひととおり聞き
裏付け資料の提出をお願いすると
絶対あるから待って欲しいと言われました

すぐ見つからなければ後からでもいいですよと
何度か声をかけても
もう少しだけ、もう少しだけと
待つこと2時間
それでも見つかる気配はなく
最後はどこかの部屋にいるクライアントに向けて
次があるので失礼しますとだけ大きな声でお伝えして
逃げるように帰りました


山のふもと
ある新幹線の駅から車で30分くらいとのことで
そのくらいの距離ならまあいいかと思い
駅前からタクシーに乗ってオフィスに向かいました

10〜15分ほど経つと民家の数はグッと減り
気づけばヘアピンカーブの山道
当時はgoogleの地図もデータが充実しておらず
高低差を見落としていたのでした

到着した先はオフィスというよりも
ポツンと一軒家
隣の家はいちおう見えるところにあるものの
声を出しても聞こえるような距離ではなく
事前の準備不足を非常に後悔

クライアントはサイズの合っていないバブル期のスーツ
(以前の記事にも似た感じの人が…)
とにかく何事もなく帰ることだけ考えながら
雑談は全てスルーして
債権内容のみ手短にお聞きし商談終了

帰りは、行きの時のタクシー会社を呼ぶと
駅前から来るので迎車料金がかなりかかると言われ
近所にあるという個人タクシーを呼んでもらいました
やってきたのはだいぶ古いタクシー

乗ってすぐ違和感
ガタガタと変な音と振動
行きの時は全く感じなかったので
おそらく道路のせいではないはずです
さらにヘアピンカーブで生きた心地がしませんでした
ふだん車酔いはしないのに
振動のせいか吐き気もしてきて
ただただしんどい帰り道


今ならどんな田舎でもgoogle地図で確認できるし
オンラインでの商談もできるし
本当にいい時代です

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