見出し画像

マヒトゥ・ザ・ピーポーのファンとカフカファンの方へ

「さよならグレーゴル」マヒトさんが歌うこの歌がとても好きです。どこまでも切なくて、それでもなぜか暖かくて。全ての過去を愛せるような気持ちにさえなります。
この歌の「グレーゴル」についてですが、これはカフカの「変身」に登場する、虫になったグレゴールを指しているのでしょうか?本人にお聞きしたいくらいですが、そんなわけにもいかないので。

グレーゴルと検索して出てきたのがカフカの著書「変身」に出てくる虫になった人間の名前でした。訳では「グレゴール」とされているため、マヒトさんの歌とは全く関係がない可能性もありますが。

ひとまず、「さよならグレーゴル」のグレーゴルはカフカの「変身」に出てくる主人公だと推測し、本を購入し、読みました。

正直、「変身」の97%までは普段あまり本を読まない私でも理解の及ぶ、興味深いストーリーになっていました。
しかし!終わり方のなんと不可解なこと。カフカがどんな友達とつるんでいて、どんなふうな大人がそばにいたのか、そこまで気になってしまうくらい不可解な終わり方でした。気になる人は、100ページちょいの短い小説なので読んでみると面白いかなと思います。

どれほど理不尽で残酷な人生を送ってきたら、このような終わり方が思いつくのか。そして「変身」を書き終えてどんな気持ちになりたかったのか。カフカは何が欲しかったのか。そんなことを考えてしまいます。


「さよならグレーゴル」と「変身」の解釈

“黒い海は全て蒸発して そこに花が咲く
開いた夢を閉じて歩く人 少し待ってくれよ あと5秒 あと1秒 終わらない歌はきっと 終わらせない歌だよ 震える膝をダンスに変えてゆけ”

「黒い海」はネガティブな意味だと捉えられることから、家族の関係における虫になったグレゴール自身を指すのかと。
黒い海が「蒸発」したのはグレゴールが死んだということ。
「そこに花が咲く」というのは、グレゴールが死んで家族が明るくなったその状況のこと。
「開いた夢を閉じて歩く人」は、音楽学校を目指すも金銭面や実力面から両親にはまともに取り合ってもらえないグレーゴルの妹グレーテ。
「少し待ってくれよ」というのは、グレゴールが妹のグレーテを音楽学校に行かせるために密かにお金を貯めていて、虫になった今でも教えようとしているその気持ちの表れだと推測します。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?