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本当に一人一票は正しいのか

長文ファンの皆様おはようございます。

私たちは「一人につき一票」というルールで育ちそれが当たり前だと思っていますが、友人の鈴木健が「なめらかな社会とその敵」の中で一人一票以外の可能性に言及しています。

考えてみれば一人一票のシステムは平等ながらいくつかの問題を孕んでいます。

例えば現在話題の共同親権などは、子供がいる親にとっては大変興味があるテーマでよく議論されていますが、子供がいない方にとってはたいして興味がないことがあり得ます。

しかし誰もが同じように一票を持ち(間接的にですが)投票します。また、共同親権には興味がないけれども、海洋の問題には興味がある人もいるかもしれません。

このように人の興味も情報の濃淡も大きく違います。また共同親権のようなテーマが毎回挙げられるわけではなく、数年かけて議論されようやくテーブルに上がるかもしれません。

そうなると、例えば投票権を貯めておくことができ、それらが時間とともに累積し、ある自分の興味があるテーマだけに投票することができるシステムがありえます。

どうしても自分にとって大事だと思われるテーマのために投票権を貯めておき、それを行使することも可能になります。

またテクノロジーが進化した今、一票を分割することも可能です。例えば株式分割のように一人0.1票を十個持っているとしたら、「二つの政党に対して7:3なんだよな」と考えを反映することができます。

さらに投票行動が選挙の時でなければならないとも限らないことに言及されています。

なぜ選挙の際のみに投票するかというと、その準備が大変だからですが、仮にテクノロジーが進化し、本人確認が間違いなくできるようになれば、常時投票を行うことができます。

世論調査は、要するに投票行動の事前推移を掴もうとしているわけですから。それを実際に行い続けるようなものです。

考えてみれば投票の比率によって国民の価値判断が示され、それによって意思決定がなされ、行政機関によって執行されるという意味では、価値観パラメーターの調整が投票行動だと考えられます。

当然あるタイミングでは意思決定が必要なのでそこで投票ということになるとは思いますが、別にそれは数年に一回でなくても一ヶ月に一回や二日に一回でも構わないわけです。

さらに鈴木健は委任システムにも言及しています。「私は正直このルールよくわからないから、それに詳しいあの人に委任する」というのは現実社会では(株式など)よく行われることですが、投票では行われません。確かに一票そのままだとインパクトが大きすぎるかもしれませんが、0.3は委任可能など調整すればそれも抑えられます。

素人の投資家にとっては個別株は難しいので、投資信託は効率が良いですがある価値観を示せばそれに従って投票してくれるアルゴリズムの活用も考えられます。その先にはAIガバナンスの可能性もあります。

電子マネーで決済をし、世界の金融に簡単にアクセスでき、コミュニケーションツールで常時つながっている今、実際に投票場に足を運び、数年に一度日常で忙しい中それほど詳しくないけれども大変重要なイシューに投票し、しかも全ベットするしかない、というのは時代錯誤な印象があります。まあ世界的にもそうなのですが。

現実的にできるかどうかは置いておいて、また実現した際にも問題はあるでしょうが、国のガバナンスという観点で、一度ゼロベースで考えてみるのは大変面白いと思っています。

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