パリ五輪でメダル数三位になった背景分析
長文ファンの皆様おはようございます。
いやあ、オリンピック最高でした。日本の活躍はすごかったです。とても感動しました。
いっぱい選手のすごいところを書きたいところですが、あんまりそこを期待はされていないと思うので、今回は「なぜ日本は躍進したのか」を書いてみたいと思います。
メタな視点になるので、個別の選手の努力を軽視するのかと突っ込まれそうですが、それは十分リスペクトした上で、というのをご容赦ください。
もし研究者やメディアで興味を持たれる方いたら、ぜひ追跡調査お願いします!
1、五輪強豪国は欧州であった。しかし、欧州はスポーツをする余裕がなくなりつつあるのではないか。
五輪のメダルは人口とGDPで半分決まると言われますが、それ以外の要素では文化的な要因、強化費などがあります。欧州はこの部分が強かった。今でもメダル数ランキングの上位は極端なぐらい欧州に偏っています。
でも、ここ最近のGDPの推移を見ていると、欧州各国が強化する余裕がなくなってきているのではないかと思っています。それがスポーツに現れつつある。上位国の欧州の力が鈍れば、日本にチャンスが転がり込んできます。
この仮説が正しければ、この十年ぐらいの強化費の推移を見て、強化費の対比をすることで多少仮説が裏付けられるのではないかと思っています。
2、メダル数が増え、種目は西洋よりアジア向きになった。
1984年のロス五輪では、21競技221種目だったものが、2024年のパリ五輪では、32競技329種目になっています。メダル数が1.5倍に増えている。
オリンピックは基本的に20代の西洋男性が競い合うことに最適化された種目から始まりました。大きく、強く、速い方が有利なスポーツです。
最近のスポーツは、小回りが効いて、巧みで、繊細な方が有利な競技が増えました。これは身体の小さいアジア人に有利です。既存の競技でも体格を統一できる体重別は日本は得意です。
この仮説が正しければ、各競技のメダリストの身長体重、競技に求められる特性あたりを割り出して、どのような競技が増えたかで分析できないかと思っています。
3、ロシアのメダルが分配された。グローバルサウスの不気味な存在感のなさ。
1990年-2000年代までメダル数ランキングの二位は大体ロシアです。例えば2000年のシドニー五輪では89個取り、一位の米国に肉薄しています。今回ロシアは国としての出場はありませんから、これが他国に分配されている。
さらにメダル数上位にはグローバルサウスの国が少ないです。ブラジルの20位が最上位です。GDPと人口から考えるとこれは不思議なことです。オリンピックの価値観は、自由と民主主義と資本主義と共に育ってきましたから、少し距離ができている可能性があると思います。
1と共に考えると欧州の元気がなく、ロシアのメダルが分配され、グローバルサウスが距離を取っているとすれば、相対的には日本が有利であると考えられます。
4、日本の強化策が身を結んだ。
これはかなりあると思っているのですが、どれが効いたのかはなかなか整理がつきません。一つは北区のスポーツ科学センターです。ここで選手たちの交流が促され、基本的なトレーニング環境が整ったこともあるのではないかと思います。
私たちの子供時代はマイナー競技の選手は、オリンピックに派遣される金額すら一部自己負担でした。今はそれがなくなっています。
5、世代が変わり、科学を重んじるようになった。
明らかに科学の話が通じるコーチが増えたと思います。データサイエンティストや、トレーナーなどプロフェッショナルがチームをサポートしている事例も増えました。
私たちが競技者の頃は、選手が科学の話をしてもコーチが理解できないことがあったぐらいです。
とはいっても、スポーツの科学は想像されているほど大したものではありません。データを取り傾向を見て、対策するという程度です。
例えば柔道は本番前の試合で力を使いすぎると本番で負けるというデータがあり、調整をするようになったそうです。その前は「日本柔道はいつでも全力だ」というコメントすらあったそうです。
つまり、データと科学に基づき当たり前のことをやるようになった、のではないかと思います。
6、国籍と人種と居住地がいよいよオープンになってきた。
日本人は単一民族と思われがちですが、歴史的に多様な民族が住む国です。さらに最近は人種も多様になり、そもそも居住地が海外だという人も増えました。
競技力は多様性と相関すると言われますから、それはプラスの効果があると思います。
選手たちの海外留学や、海外拠点も増えました。要するに「国際環境に慣れている選手が増えたな」という印象です。勝負強さとも少し関係があるかもしれません。
とまあ、思いつく限りで考えてみました。
なんにせよ、あれだけ日本の国旗を見られて嬉しい限りです。選手の皆様、関係者の皆様、本当にお疲れ様でした。ありがとうございました。
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