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土地は私的に所有できるのか

長文ファンの皆様おはようございます。

今、万物の黎明を読んでいて土地所有の概念でとても面白いものがありました。
現在の欧州米国(日本も)の土地の私的所有の概念の背景にはローマ法があると言われています。ローマ法における所有は以下の三点が特徴とされているそうです。

1、使用する権利
2、産物を享受する権利
3、損害を与えたり破壊する権利 です。

1と2だけでは私的所有とはみなせません。確かに使用して、産物を享受してもいいが、自由に壊してはならないと言われると、借用している感覚に近くなります。

一方で、アボリジニーなどは土地の私的所有がなかったそうです。ただし一定の占有利用はある。しかしこれは、3ではなく、管理とケアを担うという概念を持っています。どちらかというと所有より借用に近い。大地からの借用です。

興味深いのは、西洋国が新大陸で土地を所有していく時に用いた概念は 「その土地に手を加え、改良し、より生産性を高めてあることが所有の条件とみなす」 です。ある種の言いがかりでもありますが、しかし、これは言葉を変えると、あるがままではなく、自分たち様に書き換えることが所有であるとも読み取れます。

土地は所有されるわけですから、所有する個人が必要になります。 私は常々、自分自身は自分の所有物なのか、借用物なのか(借用という概念自体が、どこかにオーナーがいることを暗に想定していますが)、わからなくなることがあります。

なにしろ私を構成する要素は母親と父親から受け継いでおり、身体細胞の入れ替えの素材は大地から受けている。一応私は私を所有しているということになっていますが、そこに無理がある様に思えてなりません。

むしろ所有のために個人を想定せざるを得ず、人生のどこかのタイミングで何者にも所有されない個人が(急に)出来上がるというロジックを作った様にも思えます。

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