見出し画像

良い聴衆者への道

日本人のスピーチはあまりうまくないとよく自虐的に言いますが、実は海外で喋ると思いのほかうまくいって自信をつける方が多くいます。最近、私も少しだけスピーチをして、英語だったので伝わったかどうかはともあれ大変気持ちよく喋ることができました。
なぜなんだろうと振り返ったところ、聴衆者の参加意識ではないかということに思い至りました。

話の面白さは本人の能力だけではなくオーディエンスとの共同作業で決まると私は考えています。観客とアーティストの関係にも似ています。一方通行ではなく双方で場の空気を作っている。聞いている人が反応し盛り上がると、それにのせられて話す人もどんどん勢いが出てくる。

私はこれはリーダーシップの議論とよく似ていると感じています。リーダーシップの発揮は、フォロワーの質にも大きく影響されるということです。リーダーシップは単独の個人の能力なのではないかと思いがちですが、リーダーを乗せるフォロワーと、それに応えるリーダーとの相互作用だという気がしてなりません。

一番喋りにくい相手は「お手並み拝見」という態度でいる人たちです。さらに粗探しをしようとしている観客の前では、守りに入る意識が強くなります。だいたい面白い話は際どいですから、無難に事前にチェックを入れた原稿を読み上げるだけにしておいた方が、ツッコミどころがなくて安全です。

私はよく講演をしますが、本当にびっくりするぐらい全ての人の顔が見えています。そしてどこをみているのか、瞳孔が少し開く瞬間すら見えます(気のせいかもしれませんが)。ですから私も聞く側になる時は、できるだけ主体性を持つようにしています。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?