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大会をやめれば子供は勝負弱くなるのか


「子供の全国大会をやめてしまえば子供たちが勝負する機会を失い勝負弱くなってしまう」というご意見をいただきました。考えるにあたり論点を
・全国大会つまり大会の範囲の広さは勝負強さに影響を与えるのか
・子供時代の勝負の機会は大人になってどんな影響があるのか
と設定したいと思います。

全国大会がなくなっても地区大会は行われます。試合数はむしろ増えると言われています。ですから全国大会がなくなると勝負弱くなるという方のロジックは規模が大きさが重要だと考えられていると仮定します。そのロジックでは日本で閉じてしまうより、アジアや世界に出た方が良いことになります。敢えて言ってみればたかが日本一です。日本一でモチベーションが湧くなら世界一を最初から設定し勝負もそうした方がいいでしょう。飛行機で飛べば上海やソウルに行くのも沖縄に行くのと大差ありませんからアジア一選手権を小学生の段階から経験させる方がより良い勝負を経験することになります。もちろん現実的にこれを行うにはたくさんの障害があります。一つの思考実験ではありますが、頂点が高ければ高いほど良いのであればわざわざ勝負を一つの島国で閉じる理由はありません。

要するに範囲の話に過ぎないと私は思います。世界一、アジア一、日本一、関西一、大阪一、どの範囲に設定するのかによりトーナメントの高さ大きさが決まり、勝負の激しさが決まるということです。大会で勝負が加熱するなら全国をやめてもそれは変わらないのではという意見があります。では学校の運動会での勝負は加熱しているのか、地域の大会での勝負は加熱するのかを考えると、私は範囲と名誉の大きさによって勝負の加熱具合が決まっていると考えています。私は日本一は範囲が広すぎると思っていますが、そう思われない方もいるということだと思います。

さて、もう一つの矛盾ですが、子供時代に勝負をしたら勝負に強くなるまたは勝負から逃げなくなるはずなのに、若年層での全国大会がかなり多い我が国で、社会人の成長意欲、出世意欲、生産性が軒並み低いのはなぜでしょうか?一体勝負したい心はどこに行ってしまったのでしょうか?

日本一を子供に目指させたいのなら、一番それを伝える上で効率が良いのは大人も日本一を目指すことです。子供を介してではなく自分で日本一を目指す。子供たちが見抜いているのは「僕たちに勝負させているが、あの人は人生で勝負しているのか」ということです。

私の経験から言えば、子供時代に激しい勝負を経験することと、勝負を好ましく思う人材になることとは全く関係がないと思います。むしろ逆相関すらしているかもしれません。なぜなら大人の勝負はもっと複雑かつ長いので、勝ち負けとは違うものを目指さないとモチベーションが続かないからです。

繰り返しになりますが私は勝負を否定しているのではありません。むしろどうしてこれほど日本の大人は勝負嫌いになっているのかとすら思っています。特に日本の特徴は「小さい勝負が多いが、大きい勝負をする機会が少ない。日本での戦いは多いが世界での戦いが少ない。勝ち負けにはこだわるが大志がない」だと思っています。もちろん全ての子供がスポーツを楽しむ事が大事だという上で、子供のうちには将来勝負していく上でのモチベーションを育成していく必要があると考えています。それは激しい勝負をさせることではなく、自発的な好奇心などを育成することだと思います。

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