人件費

小さいながらも会社をやってみて良かった点は、世の中の見え方が変わったことでした。稼ぐことはなかなか大変なことでしかも市場は矛盾も多くいいことをやれば儲かるわけでもなく、そんな中で逞しく生きている人を尊敬するようになりました。個人的には人件費についての考えが一番変わりました。

会社にもよるのでしょうがうちのような在庫を持たないサービス業の場合、一番大きいのは人件費です。プロジェクトにいろんな費用が出ていっていますがそんな費用よりそれに関わっている自分の給与や社員の給与に最もコストがかかっています。しかもそれはサブスクのようにかかり続けるものです。自分に給与を払うのか、外部のWebサービスを使って対価を払うのかを同じレベルで考えるようになりました。会社員時代は、給与は固定されて動かせないものだと思っていましたから、それは全く違う感覚です。自分の給与を10万下げて外部サービスを使った方が生産性が高まることもあり、それが選択肢として思いつくわけです。

一番コストがかかっているのはサブスクのような人件費であると理解できると、時間をかけるという事がとんでもなくもったいないことだということが理解できるようになります。だからなんでも早くなりましたし、無駄だと思ったらすぐやめるようになりました。可能性は何にでもありますが、定額コストが大きいので続けるよりやめる方が利得が大きいからです。

例えばあるサービスで「一年分一気に払うと3割ディスカウント!」と言われても、状況が変わるかわからないので割高だったとしても1ヶ月ごとの支払いにすることはよくあります。人間は人生があるしそんな簡単には考えられませんが、でも理屈は同じです。小さい会社の場合とても社員を育てるという余裕もなく、割高でも外注を選んだりするわけです。

逆に社員を見るときには「自分の給与はコストの一種であると理解し、それに見合う価値が出せているかをチェックしている」人を見るようになりました。自分という存在と自分の給与ですらそれができるなら、それ以外のコスト感覚も優れているだろうという判断基準になります。私の会社は社員には常に転職サイトに自分を登録することを推奨していますが、それは自分のスキルだと今どのぐらいの市場価格なのかを理解することが大事だと考えているからです。

個人のキャリアの話が最近は盛んですが私はなんでも端的に捉える癖があり、その観点からすると「私はなんの価値を提供しているのか。どうすれば提供価値を高められるのか」を問い続けるのが良いのではないでしょうか。結局のところそれにお金を支払うかどうかは提供価値との加減で決まると思うからです。

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