悪ノリ
スシローでの出来事が問題になっています。この行為は全く擁護するものではないですが、ふと自分の人生で思い出すことがありました。私は昔から「ノリ」というものに敏感でした。
小学生の頃隣のクラスでいじめがありましたが、一番いじめに加担し、ちょっかいを出しているように見える人間が、実はいじめを行うグループの中で最も立場が弱いように見えました。つまり、いじめに積極的に加担することで、自らの集団への従属感を周辺の人間に知らしめているように見えました。
集団の中で立場が弱い人間にとって「ノリ」が悪いことは死活問題です。あいつは「ノリ」が悪いは十分に排除の理由になります。場所を問わずマイノリティ出身の人間が極右化することはよく知られています。弱い立場に置かれ排除される側は、具体的な指示が出る前に集団の意向を汲み取り過激化する方向に向かいがちです。
詐欺事件では実働しているのは中心人物ではありません。いじめでもその傾向があります。行為だけを裁けば手を動かした人に問題がありますが、しかしその行為が生まれる空気を生み出したのは違う人物である可能性があります。力を持つ人は「ノリ」を生み出し、ノリによって人に行為を強制させることができます。特に頭のいい人は、具体的な指示は問題になることを知っているので具体的なこと言わずに「ノリ」で相手を動かそうとします。
個人で一線を踏み越える人はあまりいません。大体集団の悪ノリが背景にあります。小学生のクラスから、芸能界から、メディアから、企業の会議室に至るまで、個人が抵抗し難い「ノリ」に染まる瞬間というのがあり、これに大変興味を持っています。
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