子供の声は騒音か

子供の声は騒音ではないと法律で定める議論が始まっています。私の知る限りドイツではこの法律を適用しているようです。「そこまでしなくても」という声もあるかもしれませんが、私はこれは法律で定めた方がいいと思っています。

現在でも小学校や保育園幼稚園で子供たちの活動に対し「子供の声がうるさい」という苦情を受けて子供達に活動を制限する事例があります。そういう苦情が入ってきていなくても、遠慮して子供達に制限を強いているところもあるでしょう。「子供の声をうるさい」と感じることは人それぞれですが、もし法律が定まればそれを理由に子供の活動を止めさせることができなくなります。そんなことは現場でうまくやればいいんだとおっしゃる方もいますが、小学校の先生や、保育園の園長先生、行政の担当者がどんな負担を抱えているかを理解すると意見も変わると思います。法的根拠があるだけでつっぱねやすくなります。

なぜ子供はうるさいのかは、なぜ子供と大人の身体活動量が違うのかと同じ問いになります。大人はある程度学習を終えていますが、子供は身体を使い、言葉を使い、コミュニケーションを取ることで学習していきます。だからいろいろ試したくなるわけです。さらにこの時期は思い切ってやることが大変重要な時期です。最初に自分を抑制することを覚えてしまうと、思い切ってやることができなくなります。抑制癖は生涯に渡り影響します。

しかし、実際にこのような法律を導入しなくても自然に住み分けが進むかもしれないという実感もあります。私は小学校に訪問することを十年ぐらい続けていますが、少子化の中、子供の数が増えてクラス数が増えている学校もあります。校舎を増設したところもありました。子供が多ければ当然騒がしく、学校帰りは大変な騒動です。でも問題にならないのは市民の多くが子育て世代だからです。一方で廃校寸前の学校もあります。当然静かです。

要するに子育て世代が多いところに子育て世代は集まり、子育て世代が少ないところからは人がいなくなるということだと思います。この先は高齢化した街と、若い世代が住む街は分かれていき、子供の騒音問題も意識されなくなると思います。それは、高齢者しかいなくなった街と、人がたくさんいる街に分かれることを意味しています。実際に今すでに行政区単位でそうなりつつあるように見えます。

それはおそらく土地の値段にも反映されます。「子育てしにくい地域の値段は長期的には下がる」のだと思います。家を買いたがるのは子育て世代であることが多く、子育て世代が入ってきてくれることで、土地の値段が上がる傾向にあると思います。 人が来なくなった地域は当然ですが衰退し、衰退した地域の土地の値段は下がります。それはあらゆるファンビジネスの領域で、古参のファンが新規のファンの振る舞いに厳しいために、新規ファンが寄り付かなくなり、次第に古参ファンが高齢化しムラ化して衰退してく様子と似ています。

理想は話し合いによる共存ですが、仮に法律で定めなくても、住み分けによってこの問題が解決されるのでは無いかと考えています。

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