切り裂き論者と鮭の南蛮漬け
先日、一応自粛は空けたがまだ居酒屋に集まって飲むのはちょっとということで、ご近所の岡下さんの家で宅飲みすることになった。
岡下さんのご実家は大阪で立呑屋をやられている。
なので岡下さんも酒のあてを作ることに関してプロだ。いつも最高のあてが用意されている。
電話をもらい、雨が降っていたので傘をさして徒歩5分の岡下さん家へ向かった。
途中、ヒキガエルを2匹見かけた。
雨の日たまに道路の真ん中で微動だにしないこいつらと会う。いつもドキッ!とさせられるが嫌いではない。子供の時からカエルは好きなほうだ。
岡下さんの家に到着。
中から岡下さんの声と田渕の声、そしてもう一人男の声がする。誰だろう?と思い中にお邪魔すると、
3月に東京進出してきた蛙亭の中野がいた。
何回か会ったことはあるが、話したり酒を飲んだりしたことはなかった。
『蛙亭の中野です』
『もちろん知ってるよ』
『あっありがとうございます』
『今日お前が3匹目のカエルだよ』
これが俺と中野のはじめての会話。
すぐさま田渕が『なんやそのおもんない会話』と。
岡下さんの手料理と久しぶりにみんなでの集まりもあって酒も大いに進んだ。
中野が昔、同級生に陰でタイヤというあだ名をつけられていた話しなどありながら、ワイワイとくだらない話を続けた。
深夜1時を過ぎた辺り、中野の発言でこの飲み会が一気に別方向に動き出した。
中野『アルファベットで一番速いのはAだと思います』
大『どういうこと?アルファベットが走ったらってこと?』
中野『いえ、滑ったらです?』
大『滑る?どこを?』
中野『雪上で考えてます』
岡下『雪上かい!Aはどうやって滑るん?』
中野『こうです。』
大『まあ、そうだよな。これって空気抵抗もあるの?』
中野『はい』
大『ならIだろ。空気抵抗もAより少ないし』
岡下『そや!絶対Iやん!』
中野『でもAは空気切り裂いていくんで』
大『切り裂いたとしても、Iだろ。空気抵抗がAよりも少ないんだから』
中野『俺もそう思ったんですけど、Iは曲がれなさそうじゃないですか』
大『えっ!曲がるコースなん!クロスカントリーみたいなこと?』
中野『そう考えてます』
大『先に行ってよ!でも、Aは曲がるの得意なん?』
中野『Aは曲がるの得意です。小回り効きます。』
岡下『なんやねんそれ!でもそれならAじゃなくてVでもええやん!』
中野『はい。でもVよりAのほうが運転しやすいので』
大『えっ!人が乗って運転するん?!』
中野『そう考えてます』
岡下『先に言えやー!なんやねんそれ!お前のさじ加減やないか!』
中野『でもやっぱりAじゃないですか?』
大『1回ルールとか条件決めよう。雪上で空気抵抗あり、同じ素材で同じ重さ、人は乗らないで直線なら?』
中野『それでいいですよ』
大『それならやっぱりIじゃない?』
中野『いや、Aです。切り裂いていくんで』
大『言いたいことはわかるけど、その条件ならIだって』
岡下『それなら絶対Iやろ!』
中野『Iなのもわかるんですけど、Aスタート速そうじゃないですか』
大『えっ!スタートダッシュとかあるん?』
中野『Aは絶対スタート速いですよね』
岡下『だから先に言えやー!なんやねんそれ!ちゃんと決めろやー』
大『なら、アルファベットを一例に並ばせて、雪の丘の上から同時に後ろから同じ力をあたえてスタートさせよう』
中野『いいですよ』
大『それならIだろ。でも条件によってはOかもな』
中野『Oは運転しづらいですね』
岡下『だから運転はなしやろ!』
大『素材とか後ろから押す力とかによっては坂を自力で転がれるOかもな』
田渕『Oをきれいな丸で考えてない?楕円やで。』
大『ずっと黙ってると思ったらちゃんと考えてたんかい!確かに楕円だ。うまく転がらないかも。ならやっぱりIだ』
中野『やっぱりAですね。いや運転なしならVか』
大『Iだって』
田渕『Vかもな』
大『おい田渕!何でVなんだよ!』
田渕『空気抵抗ものともせず、切り裂いて行く感じが』
大『お前も切り裂き論者だったんかい!』
岡下『もうええわ!今度、田畑藤本の藤本に聞こ!』
大『聞く必要ないですよ。Iですから!』
中野『いやAかVです』
このやり取りが2時間以上続く。気がついたら岡下さんは眠り、俺と田渕と中野は帰ることに。
2階から外の階段で降りるとき、中野は雨で濡れていた階段で足を滑らせ、Iのように滑って降りてきた。
大『ほらIやん』
さあ今日は、普段絶対に塩焼きかバターソテーにしかしない鮭を南蛮漬けにしていきましょう!
居酒屋でお通しとして毎日のように作ってきた南蛮漬け。どんな魚でもうまくなるんだよなー。
南蛮漬けかぁってテンションさげてんじゃないよ!南蛮漬けを笑うものは南蛮漬けに泣く!おりゃ!
材料
鮭切身 2~3切れ
玉ねぎ 半個
パプリカ 半個
ゴーヤ 半分
★鷹の爪輪切り 適量
★お酢 100cc
★醤油 大さじ3
★みりん 大さじ3
★酒 大さじ1
★水 大さじ1
★砂糖 大さじ1
★和風顆粒だし 小さじ1
片栗粉 大さじ3
サラダ油 適量
玉ねぎ、パプリカ、ゴーヤを薄くスライスする。
ゴーヤだけ沸騰したお湯に30秒ぐらいくぐらせ、しっかり湯切りする。
★を容器に入れてよく混ぜ、そこにスライスしたものを入れる。
鮭はキッチンペーパーで水分を拭き取り、食べやすい大きさに切り、気になる骨を抜いて塩胡椒を振る。
片栗粉を袋にいれ、さらに切った鮭を入れて振る。
片栗粉のついた鮭を、多目の油を引いたフライパンで揚げ焼きにしていく。中火で。
あがったら油を切って、熱いまま容器に入れ浸ける。
冷蔵庫で数時間冷ましたら
はい完成!つまみにもおかずにもなるー!これは芋焼酎ロックだな!俺はよく染みたやつが好きだから半日ぐらい置くかも!あと野菜ならなんでもいいよ!ゴーヤ好きだし安かったから入れただけ!
ではまた!
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このお礼はいつか必ず!