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【林業してる女子のあれこれ】林業という仕事について話すことの難しさ

 大学の研究室のつながりで、年に一度、大学生に向けて「林業という仕事の内容」、「私が実際に行っている作業」、「働き方」等について話す機会がある。
 話を聞く学生は林業や森林についての前提知識はほとんど無い。話をするのはオンラインで1時間ほど。この条件では森林や林業について大まかなイメージを持ってもらえれば御の字である(実際には「相手の知識量を考慮しきれない」、「講師と言う立場に浮かれて話しすぎてしまう」という私の未熟さゆえ、ついつい内容を詰め込んでしまうのだが……)。が、授業後に学生からいただくコメントを見て、「伝わって嬉しいな」という部分と「ここは伝えるのが難しいな」という部分がどうしても出てくる。
 ということで、今回は「林業という仕事を話すことの難しさ」について少し書いてみようと思う。

 まず難しいのが大変さとやりがいの塩梅をどう伝えるかだ。林業は肉体労働であるし、屋外なので天候に左右されるし、大変なことは間違いない。ただ、大変なだけの仕事ではないことも確かであり、仕事をやり終えた時の達成感や充実度は(私にとって)他と比べ物にならないものである。このどちらかしか伝わっていないと、どうも片手落ち感が強くなる。
 また、私が話をすることで「女性でもできる仕事なんですね」というリアクションが来るが、これまた伝え方が難しい。実際のところ、私の作業量は男性の作業員の6~7割程度なので、現時点で「仕事ができている」と言えるかは微妙である。また、現状として、業界全体の男女の比率で言えば女性の割合はとても低い。ニュアンスとしては「女性でも工夫と努力をすれば男性の生産性に近づけることは可能です。大変だけど。」という感じである。
 そして強く思うのが、動画や写真を交えて話をしても、実際に山で作業をやっている・やり終えた時の感覚はどうしても伝わらないということである。山で見える景色、吹いている風、気温や季節の変化、鳥の声など、五感を通して色々なものを感じながら行う作業、休憩中に山で食べるおにぎりのおいしさ(世界で一番おいしい食べ物だと思う)、心地よい疲労感の中で作業後の山の風景を見る時の充足感、はたまた、夏の酷暑の中の作業をやり切って「今日も生きて帰ってこれた〜」と思う感じ等々、どうやったって文章や言葉では伝わりきらないと思う。

景色の良い現場にて

 本音を言えば実際に山に来て欲しい。そうすればどれだけ言葉を尽くしても伝わらないことも感じてもらえると思うから。
 しかし、冒頭に書いたように学生には森林や林業について大まかなイメージを持ってもらえれば御の字である。山を見た時やテレビで森の話をしている時、ほんの少し私の話を思い出してくれたら嬉しいし、欲を言えば1000人に1人くらい、林業と言う仕事が選択肢に入ってくれれば最高である。

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