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氷艶2024②

氷艶2024の感想、続きです。
この記事では、印象に残った役について書いていきます。


メインキャスト

カケル:高橋大輔

座長にして氷艶シリーズの主役。とはいえ今回はこれまでとは少し立ち位置が異なっていた印象も受けました。
過去作以上にセリフも歌も多かったですが、2作目の時と比べてかなり上達したなと感じました(発声が全然違いました)。
歌声はとても柔らかくて優しくて、キャラクターに合っていてとても素敵でした。さすがの音感、リズム感だと思いました。
そして、アイスダンスを経験したことで、表現の幅が本当に広がったと感じました。特にユキとのシーンでは、アイスダンスで培った男女の関係性を見せる技術が詰まっていました。
さらに、やはりこのカンパニーの雰囲気のよさは座長の人柄なんだろうなというのがとても伝わってきました。hyoenには「縁」の意味もあるとのことですが、色んなきっかけで出会った人を結び付け、成功に導くことができる方なんだなと感じました。

トキオ:大野拓朗

もう一人の主役にして、救世主。急遽出演が決まったとは思えないくらいの活躍ぶりでした。ずっと出ずっぱりで、演技もセリフの量も歌の量もとてつもなかったです。歌はもちろん(ヴィブラートのかけ方がとても好みです)、演技、表情、どれも素敵でしたし、歌声もセリフもしっかりと聞き取れる素敵な声でした。
なにより、1か月もない状態でスケート技術を習得して、スケート靴で立って演技しながら歌うとか、かなり長いセリフをしゃべるとか、本当に尊敬と感謝しかないです。
そして、やはり明るく優しいキャラクターなのだろうと感じました。すぐにカンパニーに溶け込めたのも、やはり人柄の良い方なんでしょう。

ユキ:村本哉中

哉中ちゃんは過去の氷艶シリーズにも出演していましたが、アンサンブルやごく一部の役などでした。今回、ヒロインに抜擢されて、とても存在感がありました。哉中ちゃんは一つ一つのポージングが美しく、すごく目を惹きます。また今回たくさんの衣装チェンジがありましたが、どれもとても似合っていて素敵でしたし、衣装によって雰囲気がガラっと変わるところも本当に大好きです。
また、哉中ちゃんの特徴は、音楽のジャンルによる踊り分け。しっとりとバレエ風に舞ったかと思えば、キレッキレにアップテンポな曲で踊りまくる。
動きをみればどういう音楽かがわかる、天性の才能だなって思います。

富豪夫人:荒川静香

以前の氷艶のパンフで、「現役時代は自分の得意なジャンルの音楽で滑ればよかったが、プロになったらそうはいかない」というようなことを言っていたのがとても印象に残っています。特に氷艶シリーズでは悪役になることが多いのですが、今回も妖艶で存在感のある役を務めていました。あの雰囲気や存在感はやはり、荒川さんしか出せないものだと感じました。
その後に女性車掌として、全然違う印象の衣装(マーチングバンドの指揮者=ドラムメジャーのようだと思いました)で出てきたときはとてもびっくりしました。でも似合っていました。

青年:友野一希

ビジュアルをみただけでは全く予想のつかなかった、今回の役。実際には、原作でも重要なパート(タイタニック号といわれるシーン)をほぼ一人で任されていました。今回描きたかったテーマ「自己犠牲」の一つを担う重要な役を見事に演じ切っていました。
他のキャラクターに比べて目立った個性はない普通の人でありながらもメッセージ性の強い役でしたが、演技も歌も説得力がありました。やはり観客を置いてけぼりにしない精神は存在していて、スケートでの表現に限らず、歌でも演技でも、観ている人の心に直接ずっしり届くのだなと、あらためて表現者としての幅の広さを感じました。
元々表現することが好きで、様々なことを吸収する力にも長けているとは常々感じているのですが、演技も歌もフィギュアスケート選手とは思えないほどの力と才能を発揮していました。きちんと自分の役を理解し、咀嚼して、伝えられる技術とセンスがあるのだとあらためて実感しました。

ケンタウルス座の宇宙人:島田高志郎

この作品のもう一つのテーマ「多様性」を象徴する役を担っていました。とにかくスタイルがよいので見栄えするし、でも動きもキレがあって美しいから、奇抜な衣装で不思議な役でもとても良い印象を残していました。パンフやSNSで発する言葉を見ていても、とても賢く、きちんと考えて動いているのだなというのがうかがえます。
また、高志郎くんも大ちゃんや哉中ちゃん、友野くんと同様に、音楽をキャッチする力が強く、きちんと体で表現できるタイプだなと感じています。あの長い手足を音楽に乗せてしっかり動かすことができるので、観ていてとても気持ちがいいのです。

友野くん高志郎くんは、「トキオとカケルの中学生時代」も演じるのですが、もともとジュニア時代から仲がよく、一緒にいることが多かった印象だったので、あの頃の写真のような雰囲気でした。そして、二人で滑るシーンも多かったですが、相性がよく、さわやかで本当に素敵でした。元々童顔の二人、制服姿もとても違和感なくよく似合っていました。
さらに、二人とも現役選手ということもあり、ジャンプやスピン、ステップなどスケートの技術的な見せ場が多くあったのも印象的でした。
また、少年時代の役とメインの役との演じ分けも見事でした。元々表現力に定評あるスケーター二人、これからがますます楽しみです。

俳優キャスト

エハラマサヒロさんはスケートの上達がとにかく早くて、びっくりでした。途中で物真似(本業?)のアナウンスを入れるのも、オペレッタなどでよくある感じのノリで楽しかったです。また、ムードメーカーで、スケーターと俳優陣との間をつなぐ役目を果たしていて、間違いなくカンパニーの結束を強めた方だと思います。
ボイストレーナーもつとめた長谷川開さんやパワフルな歌声のエリアンナさんまりゑさんのお声や演技もとても素敵でした。俳優陣みなさんがそれぞれスケートの習得に積極的に取り組まれていたのも印象に残っています。
大野さん含め、俳優陣が座長と年齢的に近しい方々が多かったのも、仲間意識や結束力を高めていたのかなと勝手に思っています。

アンサンブルスケーター

PIWやOPOI、滑走屋の経験が活きているなと感じました。これまで以上にアンサンブルスケーターの存在感が光りましたし、しっかり物語の世界観を作っていました。個別に役割が用意されていることもあれば、集団で人ではない何かを表現する場面も多くありました。OPOIでいう砂役のような、炎とかブラックホールとか、様々な物質も効果的な表現をしていました。
そしてなにより、銀河鉄道。スケートのスピード感と移動距離がとてもマッチしていて、観ていてとても気持ち良かったです。これは現地で観ないとなかなか伝わらないかもしれません。特に今回はショートサイドで見ることができたので、速さと移動距離、そして隊列の美しさがよくわかりました。
アクロバット隊の方々も、アンサンブルの一部を担いつつ舞台転換などでも活躍されていて、欠かせない存在だったと思います。

シークレット・ボイス・ゲスト

平原綾香さんの声はすぐわかりました。前作は平原さんの歌だけで元がとれたと思えたくらい、素敵な歌声でしたので、今回も参加されて嬉しかったです。あのシーンでは脳内でJupiterが流れました(笑)
そして、福士誠治さん。私にとってはいつまでものだめの黒木くんですが(笑)スケーターへの演技指導をされている写真を見つけては、とても喜んでいました。

実際に出演された方々以外にも、多くの方が公演に携わっていたことをパンフで実感しました。
この壮大な物語を観る人に伝わるように解釈を加えた演出原案の宮本亜門さんや脚本の坂口理子さん、演出統括の尾上菊之丞さんのアイディアと実行力がなければ成立しなかったと思います。
また、ゆずの楽曲を取り入れながら新たなストーリーを作るという点でも、編曲は大変だったろうなと予想がつきますし、舞台セット、衣装、照明…そして撮影や宣伝までも、計り知れない苦労があったのだろうなと感じています。

でも、そういった苦労がさらなる結束を強め、良い雰囲気を保ったまま成功に導いたのだろうなと思います。これが氷艶の目指す姿なんだろうと思いました。

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