エジソンズ・ゲーム感想

映画館の営業が再開されて少し経ち、1席ずつ間隔を開けて座席を販売しているのが多くの映画館の動きでしょうか。

2ヶ月近くも営業ができず、再開して人がパンパンになってSocial Distanceを保てなくなり、クラスターなんか発生してしまったら映画館にとっては最悪の事態だろうから、予防策としてこういうことをするのは必要なんでしょう。
そもそも販売している1つ飛ばしの席も全然埋まってないのだし、みんなきちんとまだ自粛して出かけないようにしてるのかな、という印象。

・・・そうでもないか。駅ビルやフードコート、デパ地下には人が溢れているし、ただ単純にみんな映画館は行かないよってことなのかな。新作映画もだいぶ公開延期になったもんね。

かくいう私は、映画館にだけ行ってまっすぐ帰るから、と心の中で誰かに向けて言い訳をして、本日仕事帰りに新作映画を鑑賞してきました。

新作と言っても、日本公開が最近なだけで、本国では2017年公開だったという『エジソンズ・ゲーム』。
日本でもエジソンは人気ですよね。「エジソンは、偉い人〜♪そんなの常識〜♪」なのにどうしてすぐに公開とはならなかったんだろう?と不思議でした。
※追記※ 製作は2017年だが、本国でも公開は2019年だったそう。ワインスタインが製作に関わっていて、奴の告発の時期と重なったからクレジットや権利の関係上編集ができなくて遅れたよう。

ベネディクト・カンバーバッチさん×歴史に名を残す天才、天才学者という組み合わせは、現代版シャーロック・ホームズを演じたBBCの『SHERLOCK』、アラン・チューリングを演じた『イミテーション・ゲーム』、BBC版のスティーヴン・ホーキングを演じた『ホーキング』などがありました。
そのため、今回も「わぁ!ベネさんが今度はエジソンか〜」と、期待通りの印象を思って映画館へ足を運びました。

アメリカ人のトーマス・エジソンをイギリス人のベネさんが演じることにも興味があったけれど、見回してみるとイギリス人俳優がずらり。ロンドンで撮影を開始したとWiki曰く。
J.P.モルガン役のマシュー・マクファディンに嬉しくなりました。鼻は個性的な感じに変えられてましたが、やっぱりあの声と、きょるんとした目が魅力的です。私は彼がダーシーを演じた『プライドと偏見』でイギリスにハマったので、どうしても気になっちゃうのです。

映画全体としては、面白かった、イミテーション・ゲームほどの胸に詰まる感じは来なかった、という感想です。私の理解力の問題は多いにあると思いつつ、ウェスティングハウスとエジソンの対立構造がなっかなか見えてこなったから、最後の万博での会話も「…あぁ〜そこがウェスティングハウスの気持ちだったんだ〜」と、ぬるりと理解した、という感じでした。

エジソンが、苦労を共にしてきて道半ばで亡くなった奥さんの声を録音したものを何回も聞き、その音声で奥さんが言っている「明日こそフェンスを立ててね」という言葉通り家の前にフェンスを立て、ウェスティングハウスとの会話でもフェンスで状況を例えて話す、という場面があります。そういうつながりは良かった。でももう少し奥さんとの心のつながりが見えていたら良かったかなぁ。ウェスティングハウスの方も、賢い奥さんが常に味方になって支えてくれる良い夫婦のようでしたし。

人を傷つけるものは作らないと言ったエジソンが、死刑執行に使う電気椅子導入に関わっていたのは非常に皮肉。特にいまはどこでも死刑制度廃止という声があるから、その死刑委員会的な人が、執行方法を人道的にするために電気を、という言葉すら空振りに聞こえるのがまた、アイロニー的でした。

テスラの不器用さと孤独っぷりも良かったです。あの電気自動車で有名なテスラは、この物理学者にして電気技師であるニコラ・テスラにちなんで名前をつけたとか。ううむ、そういうのロマンを感じちゃう。

色々知りたいことも言いたいこともある洋画の邦題問題、これは良かったんじゃないかな。The Current Warでは全くわからないし、私は最初「今現在の戦いってこと?」などと思いましたし。確かに駆け引きであって、エジソンの名声についても触れられているから、エジソンズ・ゲームは秀逸であると思いました。

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