見出し画像

【読むコントその4】騎馬戦の男たち

【読むコントその4】
#騎馬戦  の男たち

◎概要
手錠で繋がれたまま逃亡する2人は絵になるが、騎馬戦のまま過ごす人たちは、果たして絵になるのだろうか?
そもそも、人は寂しがりやだから、誰かと騎馬を組みたがっているのではないだろうか?
.
.
◎登場人物
おれ
騎馬戦上の男
騎馬戦前の男
騎馬戦左の男
騎馬戦右の男
.
.
(おれ、買い物をしている。そこへ、騎馬戦上の男、騎馬戦前の男、騎馬戦左の男、騎馬戦右の男が #騎馬戦 を組んで背後からおれに近づいてくる)

騎馬戦上の男「すみません、その上の棚の、取ってもらえませんか?」
おれ「(背後を見ずに)これですか?」

(おれ、背伸びをして高いところの品物を取り、渡そうと背後を向くと、騎馬戦の男たちがいる)

おれ「うわぁっ!」
騎馬戦上の男「どうもありがとうございます」
おれ「あんたら、何やってんだ!」
騎馬戦上の男「見ての通り、騎馬戦ですよ」
おれ「ここでか?」
騎馬戦前の男「俺たちもな、好きでやってるわけじゃないんだ」
おれ「罰ゲームか?」
騎馬戦前の男「ほら、イヤイヤやっていると聞くと、凡人はすぐ罰ゲームと言い出す」
騎馬戦左の男「いやだいやだ」
騎馬戦上の男「君の仕事は何をしているかは知らないが、それはやりたくてやっているのではないのだろう」
おれ「まぁ、確かに」
騎馬戦上の男「生活費を稼ぐために、仕事をする。それを罰ゲームと言うのかね?」
おれ「まぁ、言いませんね」
騎馬戦上の男「我らも、そういうこと」
おれ「あ、仕事でやってるんですか?」
騎馬戦前の男「金など出るか、馬鹿者!」
おれ「す、すみません」
騎馬戦上の男「我々は騎馬戦を組んでから、固まってしまったのだ。いわゆる罰ゲームみたいなものだな」
おれ「やっぱり罰ゲームじゃないですか」
騎馬戦前の男「他人から言われるのと、自分で言うのとはわけが違うということくらい、わかるだろう!」
騎馬戦左の男「いい歳こいて」
おれ「そこまで言わなくても」
騎馬戦上の男「刑事ドラマか何かで、手錠で繋がれたままの2人が、手錠が外れないからそのまま逃亡してりする話があるだろう」
おれ「あぁ、言われてみれば、そういうの見たことあるような」
騎馬戦上の男「そういうこと」
おれ「どういうことなんですか?」
騎馬戦前の男「せっかく秀逸な例えをしたというのに、なぜ理解できんのだ!」
騎馬戦左の男「いい歳こいて」
おれ「いや、今のは歳は関係ないでしょ」
騎馬戦上の男「我々のことを知ってしまったからには、君は我々の誰かと交代することになる」
おれ「は?」
騎馬戦上の男「右側担当の男も、半年前、こうやって我々と関わってしまったために、それまで右側だった男と交代になった」
おれ「いやいやいや」
騎馬戦上の男「ここで会ったが因果だと思い、諦めてくれ」
おれ「ふざけんな! あんたらが勝手に絡んできたんじゃないか! それで交代で騎馬戦に加われって、そんなバカな話があるか!」
騎馬戦上の男「我々の誰かと交代するのは嫌か」
おれ「嫌だね」
騎馬戦上の男「では、しょうがない。諦めよう」
おれ「あ、拒否できるんすね」
騎馬戦上の男「そら、強制は出来ないから、今の時代」
おれ「じゃ、(騎馬戦右の男を指して)あんた、交代したんだ」
騎馬戦右の男「(何も言わずに、ずっとおれを見つめている)」
おれ「何にも喋んないじゃん、この人」
騎馬戦上の男「いやいや、君の貴重な時間をいただいてしまい、大変申し訳ない。我々はもう行くとしよう」

(騎馬戦の男たち、去る。それを見送る、おれ)

おれ「何だったんだ、あいつら。……きっとおれは疲れてるんだ。買い物早く済ませて、帰って早く寝よう」

(おれ、手早く商品をカゴに入れ、去ろうとすると、騎馬戦の男たち、再び現れるが、騎馬戦前の男が、新騎馬戦前の男と入れ替わっている)

おれ「うわぉぅ!」

(つづくミ☆)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?