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消化管エコーにおける「計測値」

もう10月終わって11月ですよ。早い!!
いろいろと忙しすぎて、noteの更新がなかなか出来ない状況です。今日は計測値のお話です。

計測値って素敵やん✨

計測値っていいんですよ。受け取る方も客観的に理解できますしね。
心エコーでは同じ断面で、正確に計測することが重要ですし、それで初めて病態の推移だったりがわかるわけです。

では腹部エコーではどうでしょう?
わかりやすいのは総胆管かもしれないですね。
よく7-11 rule (セブンイレブンルール)みたいなことが言われますし、臨床的にも妥当な線引きだと思います。7mm以上でなんかあるかも、11mm以上ではなんかある可能性が高いってやつです。

問題はどこで測るかですよ。総胆管って、管径が均一ではないんですね。3管合流部付近(A)で一番大きくて、遠位(B)に向かって緩やかに先細り。なので、Aで7mm、Bでは4mmなんてことがしばしばおきます。このあたりの解釈はいずれ。。

では消化管での計測は?

総胆管を例にした通り、「一様ではない」ものを測るには限界があります。下に例え話を。

伸びたり縮んだり

そんなわけあるかと言われそうですが、輪ゴム工場のお茶目な人がめっちゃ分厚い輪ゴムを作ったとしましょう。結構厚い10mmくらいとしましょうか。それをエコーのゼリーのボトルに伸ばして巻いたとしましょう。きっと見た目は普通の輪ゴムくらいの厚みになっているはずです。

(逆に分かりにくい?)

輪ゴムの例は極端な話ですが、こういうことが消化管でも起こっているのです。
問題点の整理
1. 収縮・伸展によって壁厚が変わる
2. 特に収縮時に襞が厚く見えるので、5層構造よく見ないとどこまでが壁か?
3. どこの部位で測るのか?
4. 後壁がガスで見えてない
5. ので拡張が分かりにくい
パッと思いつくだけでこのくらいの問題はあります。どうでしょう?「正確に測る」ことの難しさがわかると思います。

じゃあ、お前は文句ばかり言って測らないのか!というお叱りに答えます。

いいえ測ります。次の2点に限ってです。
1. 大腸に浮腫がある場合
2. 虫垂の径

大腸に浮腫がある場合は、内腔がしっかり虚脱するので、計測が容易になります。各種大腸炎のエコーに関する論文がありますが、結局壁厚でフォローするのが一番しっくりきます。大腸の壁厚4mmを有意とするというのも経験的に結構妥当なラインと思ってます。病的なものを拾い上げるという意味ではもうちょっと5mmくらいでもいいかもしれません。

虫垂の径は6mmをカットオフにしてます。このあたりは外科の先生も気にされているようなので測ります。
でも例えば、最大径6.8mmは全て虫垂炎かと言われると、それは違いまして、内腔に腸液が溜まっているだけの場合があるので、壁肥厚があるか、周囲の炎症所見があるかなどで総合的に判断する必要はあります。この辺りもそのうち。

まとめると

計測値は便利だけど、数値を独り歩きさせない。「正確に」測定するのは難しく、ファジーなものとして認識し、その数値の意味は自分で決める。

いろいろとデータを集めていくと、感覚的に掴めてくるかもしれませんね!

ではまたね〜👋

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