Appe描出できるって言ったよね?
目指せ虫垂マスター!
前回(https://note.com/daisukemuller/n/nfc9c28d4fd4c)の続きです。ほんならお前に任せたら全部虫垂出せるんかい!って言われそうなので、今度は僕が出せない虫垂をご説明します。やっぱり出せいない時って、ほとんど腸管のガスが邪魔する場合なんです。自分がやって描出できなければ誰がやっても無理!っていうくらい自信がつけばマスターの称号を付与します!
イラスト
第1位 第1印象で「うわっ、無理ゲー」と思う虫垂
描出できない症例ってほとんどが、このタイプです。つまり、「盲腸が骨盤腔内に落ち込んでいる」症例です。イラストの下のタイプです。
実際検査の状況としましては、
1. 上行結腸を同定する →問題なく可能
2. 回盲部を同定する →問題発生!!
上行結腸から盲腸の方向に短軸で追跡していくのですが、なかなか回盲部が出てきません。
腸腰筋を超えちゃいそうです。
腸腰筋を超えました。骨盤腔内にバウヒン弁が見えます。
という状況で絶望するわけですね。
なんで、盲腸が骨盤腔に落ち込むと困るのかと言いますと、単純に深くなることとは別に、自分の消化管ガス(盲腸)で虫垂を隠してしまうからです。なので、これで虫垂描出できないのは怒らんでください。。
一見、盲腸が落ち込んでいるように見えても、右結腸溝にスペースがあれば、押し戻すことも可能です(イラスト右)。腹壁と腸腰筋を利用します。プローブの右側にエッジをかけて、ゆっくり盲腸を押し込むように軽く圧をかけていくと、トゥルン!と戻っていきますので、そのまま圧を維持して虫垂を探します。これは上級者テクニックなので、少し練習が必要ですね!
第2位 上行結腸の背側を走行する(いわゆるRetrocecum type)
Wikipedia から拝借。なんと盲腸の裏を通るのは64%と!ほんとやったら人種差があるとしか思えません。流石に盲腸後虫垂は私の経験上は感覚的に10%前後と思います。
この場合は対処法があります。左側臥位にしてみてください。するといつもの部位にスルッと出てくる場合があります。ポイントはプローブを当てたままで体位変換することです。で、目は画面を見てください。すると大きく見失うことがなくなると思います。
虫垂と壁側腹膜の間に大腸が介在することになるので、虫垂炎の場合でも体性痛は通常よりも軽い印象です。先端が上行結腸の外側にひょこっと顔を出している場合はまだ見つけやすいですね!
第3位 妊婦さん (妊娠初期を除く)
これは本当に難しいですが、被曝リスクを考えるとなんとしてもエコーで決着つけたいですよね!しかし、難しいです。なんで難しいかというと、「胎嚢が大きくなることで、腸管がお腹の辺縁に押しやられる」からです。押しやられた結果何が起こるかというと、腸管の密集・腸管ガスの密集が生じ、そもそも回盲部がどこかさえわからなくなります。
逆に言えば、しっかり炎症が成立すると脂肪織肥厚によって腸管ガス密集が排除されるので、虫垂炎の診断自体はまだマシです。
このような背景から、超音波検査での除外診断精度が低下が生じ、炎症が進んだ状態で発見されるということもあるかもしれません。
まとめ
初心者の方は、自分だけができないのかor誰がやってもできないのかの判断が難しいと思います。僕も最初のころはどうしても出なかったら先輩に見てもらってました。そうすることで、これは無理やな、これはいけるなっていう感覚が掴めてきました。とにかく、いつも同じやり方で同じように描出を試みることが重要です。前回のnoteを参考に系統的走査に慣れてくださいね!
by みけ
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