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虫垂を見つけるには?

虫垂炎を診断するにもrule outするにも、まずは正常虫垂を見つけることが必要です。「右下腹部の腸腰筋付近にプローブ当てると運が良ければ見えますよね?」みたいなのは今っぽくないですね。高精度で描出するには系統的に探すことが必要です。

まずはプローブを確認するのだ!

消化管全般に言えることですが、ターゲットが薄い・細い・浅いという条件にあることが多いので、高周波プローブが必要です。いつもみんなが腹部ルーチンに使っているプローブはコンベックスプローブで、概ね3〜5MHzあたりの低い周波数で設定されています。周波数は深度(depth)とトレードオフなのです。つまり、

低周波 →  深いところまで見えるけど、浅いところは綺麗に見えない。
高周波 →  深いところは見えなくなるけど、浅いところが綺麗に見える。

なので、ある虫垂を一例に挙げると、虫垂は浅いところ(< 4cm)にあるので、深い(< 15cm)とこまで見えるための普通のコンベックスプローブと相性が悪く、高周波プローブを使う必要があるということになります。ちなみに「高周波リニアプローブでは少しペネトレーションが足りないけど、かといって通常コンベックスでは不明瞭」という4〜6cm付近では高周波コンベックスプローブ(5〜6MHz)という便利なものがあるので、本気で消化管エコーやりたい方は購入してもらってはいかがでしょうか?

最近のプローブは性能がいいので、実は通常のコンベックスで正常虫垂を見つけることもしばしば可能ですし、さらに急性虫垂炎の状態であればある程度診断することは可能です。しかし、これには相当な慣れが必要です。ので、セオリー通り高周波を使用することをお勧めします。

いつも決まったやり方で

系統的走査っていうと、なんかかたっ苦しいですよね。要は、闇雲に見つけるんじゃなくて、決まった順番に見ていけばいいんだよってことです。

  1. 上行結腸を同定する

  2. 回盲部バウヒン弁を同定する

  3. 虫垂口を同定する

  4. みつけた虫垂らしきものが盲端で終わることをちゃんと確認する

これだけです。実際プローブを握りながら、頭で唱えながらやってみてください。これを何十・何百とやっていくと、盲腸から虫垂が出てくる場所がほぼ確実に予測できます。最後の4番は意外と大事で、先端だけ腫れている虫垂炎の見落とし防止、回腸末端との誤認防止の意味があります。たまに鋭い研修医の先生で「虫垂腫大ないって書いてますが、先端まで見えてるってことですか?」って聞いてくる方がいらっしゃいますので、「そうですよー」とお答えしています。

虫垂がどうやったら描出できるかはよく聞かれますが、上記の手順で繰り返しやっていくしかないと思います。地道な作業ですが、コツさえ掴めればできるようになるので頑張りましょう!


次回予告  
「お前これで虫垂描出できるって言ったのにできねえじゃないか!」

by みけ

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