授業以外での児童・生徒への学力補充について

<大きな項目>
授業以外での児童・生徒への学力補充について

<ふりかど大祐の視点>
情報共有の推進とさらなる学力補充の機会を

<指差しの部分>
米原市では児童・生徒の学力補充のため、さまざまな施策を実施しています。ただ、そこで得られた子どもの情報が学力補充のために、どのように共有されているのか連携の形が見えてきません。子どもたちをさまざま大人の目で見て、支援していくことで、学力補充の効果が出ると考えます。

<質問>
学びっこの概要と効果について

<答え>
平成30年度に福祉部局と連携してスタートした事業です。抽象的・論理的な学習内容が始まる小学校3年生を対象に、放課後学力保障教室を開設し、学力の定着を図り、学力の2極化を解消することを目的としています。あわせて、生活困窮家庭やひとり親家庭等、要支援家庭児童を中心に家庭学習の定着等も目的としています。

取組内容は、タブレットやプリントを利用して、1・2年生段階の国語・算数の復習を行ったり、家庭学習の定着に向けた宿題を使って指導をしています。

対象人数と利用人数は、令和2年度は、対象者348人に対して182人。令和3年度は、対象者362人に対して175人。令和4年度は、対象者340人に対して169人でした。なお、今年度は、対象者339人に対して192人です。

学びっこの成果として数値で表せるものはありませんが、家庭学習の習慣が身についていない児童も多く参加しており、その児童たちにとっては、学びっこの時間は学習習慣を身に付けるための大切な時間であると言えます。なお、事業実施中に指導員が得た情報の他機関との共有は、行っておりません。

<質問>
地域未来塾の概要と効果について

<答え>
地域未来塾は、県が推進する地域学校協働活動推進事業の一環として実施しています。主に中学生を対象に、大学生や教員OBなど幅広い地域住民の協力により、学習支援をおこなっています。定期テスト前や長期休業中に学習を深めたい生徒や、家庭学習の習慣が十分に身についていない生徒への学習支援の場として、すべての子どもに学ぶ機会を提供することを目的としています。 

令和2年度から4年度にかけては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、一部実施できない学校もありましたが、現在は、定期テスト前や長期休業を中心に、全学年の生徒を対象に地域未来塾を行っています。また、高等学校への入試に向けて、3年生を対象に小論文講座などの入試対策を行っている学校もあります。

対象人数と利用人数は、令和2年度は、対象者618人に対して100人。令和3年度は、対象者582人に対して94人。令和4年度は、対象者799人に対して147人でした。

地域未来塾での具体的な効果を判断することは難しいですが、定期テスト前や長期休業を中心に取組をおこなっていますので、家庭学習に取り組みにくい生徒にとっては、各教科の課題や宿題に継続的に取り組むことができるなど、学習習慣の確立につなげることができたのではないかと思います。また、生徒の学力に応じた学習講座を複数行っている学校については、生徒の疑問や質問に丁寧に対応することができ、学習内容への理解を深めることができたのではないかと考えます。

地域の支援員を中心に開催しているため、放課後や長期休業中に教員に時間的余裕ができ、教員の負担軽減につなげることができています。なお、事業実施中に支援員が得た情報についての他機関との共有は、行っておりません。

<質問>
コミュニティ・スクールでの学力支援の概要と効果について

<答え>
米原市コミュニティ・スクール推進事業の一環として学力支援を実施していますが、主に小学生を対象に、授業の支援という形で地域ボランティアに支援をして頂いており、授業以外の学力補充については、ほとんど行っていません。

小学校で、授業以外での学力補充を行っていない理由としては、集団下校やスクールバスなどの時間に制約があるため、授業時間外に学習時間を確保することができないことや、長期休業中についても、平日に保護者の送迎が難しいことなどから、学力補充教室という形での学力支援については、開催が難しい状況です。

今年度は、柏原小学校で、夏季休業中に6日間、学力保障教室を実施しました。2年生から6年生を対象に案内し、児童34人が参加しました。実施時間は午前中で、 中学生ボランティア3人の協力をいただきながら、 低学年と高学年の2つのクラスに分けて実施しました。地域ボランティアに加え、中学校の生徒も児童への学習支援に加わり、充実した学力保障教室とすることができました。

米原市コミュニティ・スクール推進事業では、授業以外での学力支援をほとんど行っていないことから、児童への効果について判断することができませんが、今年度、柏原小学校で夏季休業中に実施された学力保障教室では、自宅で学習が進められない児童についても、地域の方の個別の支援があることで、他の児童とともに粘り強く学習に取り組むことができたと報告を受けています。また、事業実施中に支援員が得た情報の他機関との共有は、行っておりません。

<質問>
コミュニティ・スクールでの学力支援として、柏原小学校で実施された事業について、来年度以降、他の小学校での実施予定はありますか。

<答>
来年度について、具体的には決まっておりませんが、 同じような取組を行いたいと考えておられる小学校があるとはお聞きしております。

<質問>
ほたるーむでの学力支援の概要と効果について

<答え>
ほたるーむは、子どもが生まれ育った環境によって左右される負の連鎖を防止し、自立を促進するため、生活困窮世帯やひとり親家庭等の子どもを対象に学習習慣および基本的な生活習慣を習得するための支援を行う事業です。

事業対象者が限定されることから、学校との連携や支援機関の連携により対象となり得る子どもを把握しています。また、令和4年度からは、夏休みと冬休みに宿題や自主学習を行う居場所を開設し、参加児童の様子をうかがうことで、潜在的な対象者がいないかなど、困り感のある子どもの把握に努めています。

事業対象の子どもの人数等の事業実績については、令和2年度は実利用者7人で延べ利用者136人、令和3年度は実利用者18人で延べ利用者336人、令和4年度は実利用者12人で延べ利用者183人となっています。

ほたるーむは、学力の向上を目的とした事業ではなく、学習習慣および基本的な生活習慣を習得するための支援を行う事業です。対象者の決定および支援内容を検討する支援検討会議において、教育部門と福祉部門が対象の子どもの情報を共有し、連携しながら事業を実施することで、子どもや家庭の状況に応じた支援を一体的に進めており、生活困窮世帯やひとり親家庭の包括的な支援につながっています。

<質問>
小学生の学力補充を今後、どのようにおこなっていくのか

<回答>
まずは、各小学校の全ての授業において、「個別最適な学び」と「協働的な学び」を効果的に取り入れ、全ての児童の学びを充実させるよう取り組んでいくことが重要であると考えます。

それに加え、現在行っている様々な学力保障の取組を無理のない形で継続し、必要とする児童生徒の学びの向上に取り組んでまいりたいと思います。

<質問>
小学校では集団下校やスクールバスなどの時間に制約があることや、長期休業中についても平日に保護者の送迎が難しいことなどが挙げられていました。 それらを解消していき、今すぐに較差解消のために学力補充策を、さらに実施することはできないでしょうか。

<答>
各小学校は学びっこをはじめとするあらゆる取り組みを活用して、児童の学力較差をなくすように努めています。 他の取り組みの例を挙げますと、例えば休み時間に個別の指導をするとか、保護者に了解を得た上で放課後に残ってもらって個別指導をする。 それから、各休業などは長期休業中にも保護者の送迎をお願いして学力補充をすると、こういった取り組みもしております。

学校は何もしていないというわけではなくて、さまざまな時間的な制約がある中でも、こういった範囲内で、できることのいろいろなことを取り組んでいるということにもご理解いただければと思います。 今後もこういった取り組みを行いながら、学習補充を継続していけるように努めていきたいと思います。

<質問>
学力補充に係る事業で得られた子どもの情報を、関係者にどのように共有しているのか、スクールソーシャルワーカーなどの福祉の専門家との情報共有は行われているのでしょうか。

<回答>
学力保障に係る各種事業における支援員は、学校と特段の情報共有は行っていません。ただし、学習支援の中で、支援員が気になったことがあれば、学校の教職員に情報提供されます。その情報について学校が必要と判断した場合は、スクールソーシャルワーカー等に情報提供し、福祉的な視点で児童生徒の環境調整が行われることとなります。

<質問>
支援員から学校への情報提供ですが、気になったことがあれば情報提供されるとのことですが、具体的にどのように情報提供されているのでしょうか。 また、ここで得られる情報は、子どもの支援において必要な情報になる可能性があります。 もう少し踏み込んで、日頃からの情報共有の場を作れないでしょうか。教えください。

<答え>
まずは、学校の教職員は日頃から児童生徒の様子を観察していまして、 何か違和感を感じた場合は、より丁寧に観察したり、本人の話を聞いたり、常に情報を確認しているところでございます。 例えば、衣服が汚れているとか、また食事がとれていないとか、こういった変化に気づいた場合には、まずその情報を校長に報告します。 そして、状況によって福祉部局で報告したり、またスクールソーシャルワーカーを交えたケース会議を行い、その児童生徒が置かれた環境を少しでも改善できるように努めているところでございます。

また、支援員からそのような情報を学校が聞いた場合も、同じように情報を確認し、組織的に対応をしているところでございます。 今後も学校内部はもちろんですし、外部から得られる情報に対しても対応していければと意識してまいりたいと思います。


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