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ミライアカリという、おもしれー女について

2023年3月31日にミライアカリ(以下、アカリちゃん)がVtuberとしての活動を終了した。彼女の活動の経歴や功績については、今さら語るまでもないだろうし、ネットに彼女の足跡はいたるところに刻まれている。だからここでは私が個人的なアカリちゃんの思い出を語っていこうと思う。

推しの引退を目にしたオタクが、心のうちに収まらない感情をぶちまけるだけなので、アカリちゃんの引退理由の邪推とかVtuberの文化的歴史的考証とかは、ここにはないです。

アカリちゃんの動画

アカリちゃんと言えば、動画勢として活動している、令和においては少数派のVtuberだったと思う。彼女の動画はいつもハイテンションで体を張った企画が多かった気がする。張り切りすぎて空回ったり自爆したり火傷したり、ドタバタコメディに興じるアカリちゃんの姿と彼女自身の明るい笑い声を聞いていると、見ているこちらの口角も自然と上がっていた。

アカリちゃんの別人格のアカリ先生やココロヤミちゃん、ピロリンマンたちやフライちゃんも、アカリちゃんの動画には欠かせない存在だった。活動初期とその後たまにしか話題には出なかったけど、エイレーン一家との絡みも、私は好きだったよ。エイレーンやヨメミ、萌美のカオスなノリの動画も癖になる、最近エイレーン活動してないけど。

ちゃんと編集されたテンポの良い動画が好きだったから、アカリちゃんが最後まで動画を作り続けてくれたことは、感謝に堪えない。2020年頃から動画勢が次々と配信勢になっていったのは、社会情勢的にも仕方ないと理解しつつも、私は内心苦々しく思っていたから、アカリちゃんの動画は本当に希望でした。活動終了後も、YouTubeチャンネルと動画を残してくれるのはせめてもの救い。

アカリちゃんの配信

アカリちゃんの配信は、企画や雑談が多かったし、いつもミライ部との交流を大事にしてくれた。彼女が配信中にコメントを拾う時には、いつも「〇〇さん」と名前を言ってからコメントを読み上げてくれた。アカリちゃんはコメントを拾う数も多くて、まさしくコメント欄と会話していると表現するしかない。記念配信などで感動的なシーンになって泣きそうになって鼻をすすっていた時も「蕎麦をすする」と言って笑いに変えていて、この人は根っからのエンターテイナーなんだろうなと思った。

そんな彼女だったから、昨年コラボしたkson総長と意気投合してバグった距離感で距離を詰めたのも、当然の帰結な気がする。楽しいことが大好きで、Vtuberとして酸いも甘いも味わった二人だからこそ芽生えた友情だろう。

アカリちゃんのエゴサ

アカリちゃんはエゴサーの姫と自称するほどエゴサをよくしていた。直接リプライしたものに返事をくれることもあれば、エアリプに対して突然リプライを送ってくることもあり、とても心臓に悪い(いい意味で)。しかも過去にミライ部がツイートした内容をよく覚えていたり、ファンアートをスマホに保存していつでも見られるようにしていたりと、ファンサの姫でもある。オタクはチョロイから、こういう直球な認知をされると簡単に堕ちてしまう。

アカリちゃんのイベント

アカリちゃんはイベントで歌ったり踊ったり、バラエティ企画に参加したりもしたけど、司会進行やMCとして呼ばれることも多かった。歌って踊れてトークもアドリブもリアクション芸もできる、撮れ高の権化だった。個人的に印象に残っているのは「Vサマ!」でアカリちゃんがMCを務めた時の花譜ちゃんとのやりとり。トークに不慣れな花譜ちゃんを優しくリードしているアカリちゃんの、お姉さんっぽい空気は普段とのギャップに萌えざるを得なかった。

またアカリちゃんは自身のライブイベントのミライブでは、毎回企画で客席を盛り上げ、歌で熱狂させた。アカリちゃんのミライトミライは、まさしくアンセムだったと思う。もう現場で「もう1回!」とアカリちゃんとみんなで叫べないのが、心底残念だ。DJイベントで今後もミライトミライがかけられ語り継がれていくのを願ってやまない。

アカリちゃんとテレビとラジオ

アカリちゃんはテレビにも幾度となく出演した。ガリベンガーVやプロジェクトVなどにゲスト出演して、自分の冠番組「中島由貴とミライアカリの女子会ですが」も持った。特に「中島由貴とミライアカリの女子会ですが」を企画してくれたとりいPには足を向けて眠れない。

そしてプロデューサーのたーひーさんと一緒にGOOM Talkxというラジオに出演。こちらはアカリちゃんが活動を停止した際に更新が止まってしまったのが残念。今回の引退発表の時にも触れられてないから、おそらくこのまま打ち切りなのだろう。

そしてアカリちゃん引退に寄せて、ガリベンガーV公式からのアカリちゃんへの敬意溢れる動画が投稿された。ガリベンガーVのVtuberに対する愛情の深さを感じる。

アカリちゃんとココロヤミちゃん

アカリちゃんの別人格・ココロヤミが1st ワンマンライブ「YAMI:LIVE」の時に言った「このままじゃ未来が駄目になるから。バーチャルを殲滅しようと思う。」という言葉。この言葉の意味は未だに分からない。おそらくこの伏線は回収されないのだろう。もしくは、今がその駄目になった未来なのだろうか?

ヤミちゃんの「特にこのままだと、アカリが危ないから。もしかしたら、どこかでみんなに協力を願うかもしれない。これからもアカリを頼んだよ。」という言葉が忘れられない。もう支えるべきアカリちゃんもヤミちゃんもいないのだ。ヤミちゃんの気だるい歌声も、もっと聴きたかったよ。

アカリちゃんの引退

アカリちゃんが引退を発表した時の手紙。

「わたしは消えません。なんたってバーチャルだから。
これからはネットも次元も超えて自由に飛び回り、行き来し、みんなのミライを照らします。あらたな旅の始まりです。
(中略)
ある時は風に、ある時は稲に、そしてある時は人間にまで魂を宿しているかもしれません」

このくだりを読んで、キズナアイちゃんの「みんなと、あなたと繋がりたい」というキャッチフレーズを思い出した。そして葵ちゃんが2ndライブのMCで言った「1人1人の心にチビ葵を住まわせたい」という言葉も。奇しくも似た意味の言葉を言った彼女たちに思いを馳せながら、Vtuberは人と人をつなぐ存在なのかな、と思った。

ここ最近に限った話ではないが、箱に所属していないVtuberの引退が絶えない。寄らば大樹ではないが、やはり孤立していては生き残れないのは、普遍的な真理なのかもしれない。アカリちゃんはたくさんの友達がいたし、エンタムという箱に所属していたけれど。かくもVtuberの生きる道は険しいものか。

きっとアカリちゃんは我々には想像もつかないほどの苦労を、この5年間経験してきたと思う。Vtuberしながらバイトしていたことや、テレビに出演した時に楽屋が無かったり、イベントですごい無茶ぶりをされたこと、円形脱毛症になったこと、本来Vtuberがやるべきでない裏方の仕事もしていたこと、配信やイベントでたまに聞く話だけでも、胃が痛くなるようなことばかり。そんな過去の大変だったことも、笑いの種にしてくれるのだから、彼女の芸人根性は筋金入りだ。

人を笑わせることは本当に難しい。単純な比較をするべきではないが、感動して泣かせたりするのは簡単だ。極端な話、バラードを流してエモい空気にすればそれだけで泣く人もいる。人を笑わせるには色んな工夫が必要で、だから5年間がむしゃらに頑張って来てたくさんの笑いを届けてくれたアカリちゃんは本当にすごい。無くすには惜しい才能だった。

今後アカリちゃんが別のVtuberとして「転生」することもあるかもしれない。ただそれは「ミライアカリ」ではなく、別の人の物語。「ミライアカリ」のVtuberとしての物語は、ここで一度終止符を打たれる。

ミライアカリちゃんについて

アカリちゃんのVtuberとしての活動が終わることが寂しくないと言えば嘘八百も良い所だけど、きっと彼女はミライ部のみんなが泣いてるよりも笑ってた方が嬉しいはずだから、私はなんとか明日からも笑って過ごそうと思う。アカリちゃんはバーチャルだから遍在すると信じて。

エンタスに行った時、109シネマズに行った時、東京ビッグサイトに行った時、幕張メッセに行った時、ニコファーレ・・・はもうないか、アカリちゃんがいた場所を訪れる度に彼女の笑顔を思い出すだろう。

場所じゃなくても良い。カラスを見た時、ベーコンポテトパイを食べた時、ドクペを飲んだ時、日常の中にもアカリちゃんを思い出させるものがたくさんある。

今目を閉じて思い出すのは笑顔のアカリちゃんの姿ばかり。最後の最後の瞬間まで、ミライ部を愛してるよりも愛してるミライアカリでいてくれたこと、本当にありがとうございました。

これからアカリちゃんの進むミライが、明るく暖かい空気に満たされていますように。それだけを心から祈っています。

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