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声を出せるライブって最高!!! 富士葵活動5周年記念オンラインライブ「CAROL-祝歌-」レポート

富士葵活動5周年記念オンラインライブ「CAROL-祝歌-」セットリスト
1.MY ONLY GRADATION
2.テイストレス
3.クリティカルシンキング
4.Q.E.D.
5.Anitya
6.シンビジウム
7.Eidos
8.コヨーテ
9.KING(cover)
10.ヴィラン(cover)
11.すずめ(cover)
12.群青(cover)
13.DOLLS 未知なる戦い
14.君の声が聞こえる
15.オーバーライン
16.紫陽花が泣いた
EN1.はじまりの音
EN2.Happy Starry Night
EN3.エールアンドエール
EN4.雨降るスノードーム
EN5.8分19秒
EN6.ユメ⇒キミ

2017年12月8日からYouTubeで活動を開始した富士葵の活動5周年記念ライブCAROLが2022年12月11日にSPWNにてオンライン配信、池袋harevutaiにてライブビューイングが開催された。CAROL、讃美歌と銘打たれたこのライブは感染症対策の上で声出しOKとなり、富士葵のソロライブでは1stソロライブ以来の会場で観客の声が聞こえるライブとなった。

開幕-kaimaku-

ライブ冒頭で英語で何やら書かれているアタック映像が流れる。単語の意味が分からず戸惑うが、最後には「また発表するので英語は読めなくていいです」と表示され、会場から笑いが漏れた。こういう最初のツカミを仕掛けてくるのもAoi ch.らしい。宣言通り、この英語たちの意味は後日行われた振り返り配信で明かされた。

ライブ本編

一曲目は富士葵の曲の中でも最強格のロックナンバー「MY ONLY GRADATION」。会場からは喜びのドヨメキが起こり、ペンライトと腕を高く突き上げられた。最高の歌声を浴びながら、まずステージの大きさに驚いた。3面のスクリーンに長い花道、数々のライトと噴出する火柱、ステージ中央に鎮座するCAROLと巨大な樹木。池袋harevutaiを満たすペンライトと、バーチャルの会場のペンライト1つ1つが、ステージ上の富士葵ただ一人に向けられていた。

盛り上がった会場をさらに焚き付けるように「テイストレス」が爽やかなシティポップの風を吹かせる。軽快なサウンドに乗る富士葵の声がいつにも増してクリアに耳に響くのが心地よい。

この流れを転調させるように「クリティカルシンキング」。速い。シンプルにBPMが速いのもあるが、曲の転調に体が追いつかず、より速さの体感に拍車をかける。腕の振りを曲のテンポに合わせられず、そのおかしさに自虐的な笑みがこぼれる。

続く「Q.E.D.」では背景のスクリーンに歌詞がネオンサインで映し出され、格好良さと怪しさを感じさせる視覚的な演出が楽曲に合致する。歌詞「人任せにしないよ」のがなりも力強く、その可憐な容姿からは想像もできないほどのギャップを感じる。

さらに「Anitya」という、人生の美しさと儚さを表現するような曲を歌い上げ、富士葵の歌唱力を見せつけてくる。ここまでノンストップで歌い切り、富士葵よくばりセットのような選曲の5曲から5周年ライブは始まった。

ここで一度映像が途切れるというトラブルがありつつも、すぐに復旧して「5周年記念ライブへようこそ!」と、いつものように元気のよい挨拶からMCは始める。今回のステージのコンセプト「都会に突如現れたオアシス」を説明。「今日は活動も振り返りつつたくさん歌っていきたいと思います」と所信表明する。

そこから「シンビジウム」「Eidos」「コヨーテ」と富士葵2ndアルバム「シンビジウム」から選りすぐりの3曲を立て続けに披露。紫、青、橙と変わる会場のペンライトの色のように、毛色の違う楽曲たちを難なく歌いこなす。「シンビジウム」の壮大な世界観に浸り、「Eidos」で曲にノりジャンプし、「コヨーテ」の富士葵ステップに目を奪われ、ライブビューイングの会場も感情が目まぐるしい。

衣装を着替え、5年の歴史を振り返る動画が流される。初投稿の動画から、5年間の歩みを追走していく。当時の思い出に浸ったり恥ずかしがったり、動画のチョイスにツッコんだり、これまでのソロライブの様子なども流れ、5年の間にたくさんの思い出をみんなで積み重ねて来たことを実感した。

富士葵と言えばカバー曲。ここからは富士葵ソロライブではお馴染みのカバー曲コーナー。披露したのは今年YouTubeで多数の歌ってみた動画が投稿された「KING」と「ヴィラン」、そして絶賛放映中の映画「すずめの戸締り」の主題歌「すずめ」。

「KING」「ヴィラン」のダークな格好良さから一転、「すずめ」の神秘的な歌声との温度差に眩暈がした。スクリーンには「KING」の時はシャープな映像、「ヴィラン」の時は毒々しい映像が流れ、「すずめ」ではステージにスモークが出現して、それぞれの歌の雰囲気を盛り上げている。3曲ともこのライブだけでしか聴けないのが惜しい、YouTubeに歌ってみた動画を投稿して欲しい、そう思った。

これまでの3曲を「すごく歌いたかった曲です」と語り、次に歌うのはYOASOBIの「群青」のカバーと、以前富士葵とコラボしたスマホゲーム「アッシュアームズ」の主題歌「DOLLS 未知なる戦い」。「群青」では歌詞に込められた創作に対する真っ直ぐな思いを、「DOLLS 未知なる戦い」ではゲームの戦いの絶えない退廃的な世界観を表現する。楽曲に合わせた青や赤のライティングも歌の表現力をより一層強めていた。

「短い話して良いですか?」と、富士葵ソロライフ恒例となりつつある小話が始まった。「スタジオに行く途中のマンションの屋根に挟まったオカキ」の写真を見せると、会場は何とも言えない半笑いに満たされる。この微妙な空気こそ富士葵の「味」なのだ。 歌う場所をライブステージから花道の先へ移動し、より葵歌劇団との物理的距離を縮めて次の曲。

花道で歌うのは「君の声が聞こえる」「オーバーライン」「紫陽花が泣いた」。富士葵ファンコミュニティのみで公開されていた「君の声が聞こえる」はこの日初めてライブで披露された。歌詞の中に自身のオリジナル曲の名前が入っているなど、歌劇団なら思わずニヤリとしてしまう歌詞だが、歌詞そのものは富士葵作詞だけあって歌劇団へのストレートな思いが歌われている。

続く「オーバーライン」では最後までライブを盛り上げるように「何かを変えるから!」と力強く歌唱する。最後の曲「紫陽花が泣いた」。空から降りしきる光の中で儚げに愛を歌う姿は神々しさすらあった。

「紫陽花が泣いた」の間奏、富士葵が語った想いを聞いて温かい涙があふれそうになった歌劇団は多いのではなかろうか。そして優しい笑顔で手を振る彼女を映しながら幕は一旦おろされた。

「みんながそれぞれ葵との関係を仲間とか家族とか恋人とか兄弟とかじーじばーばとか色んな風に例えてくれるけど、昨日お風呂に入っていて、全部当てはまるなぁこれはとしみじみ思って、この出会えたご縁を大切にしてこれからの人生も、まだまだみんなと色んな形で、お互い心の拠り所になっていけたらいいなと思います。本当にありがとう」

アンコール

「アンコールありがとう!よっしゃいくぞー!」の声とともに始まるアンコール1曲目は、富士葵のデビュー曲「はじまりの音」。ラスサビで感極まって歌えなくなるシーンもあったが、それもまたライブならでは。すぐに立て直せたのも5年間の活動の賜物だろう。ライブビューイング会場でも配信のコメント欄でも応援の声が上がっていた。

ここから嬉しい告知の嵐。2023年春を目指しアルバム制作決定、5周年記念グッズ発売開始が発表される。

そして次に歌うのは新曲「Happy Starry Night」というサプライズ。この曲は富士葵初のクリスマスソングとのこと。ライブタイトルの「CAROL」とはクリスマス・キャロルの意味もあったのだろう。会場のペンライトも富士葵のイメージカラーの青だけでなく、クリスマスを連想させる赤・緑・茶も混じりクリスマスムードを作る。「Happy Starry Night」はクリスマスソングらしい明るさと楽しさに満ちた曲で、聴く者を笑顔にしてくれる曲だった。「あいたたたよっこいしょ」など「あわてんぼうのサンタクロース」を思わせる歌詞も遊び心がある。「はい!」という声とともに手を振り上げる富士葵の仕草も可愛い。

本公演が声出しOKになり急遽セトリに入った「エールアンドエール」を歌う時がついに訪れる。会場のボルテージもMAXになり「応援だ!応援だ!いっせーのーで応援だ!」と全力でコールを入れジャンプした。富士葵もここまで20曲近く歌ったとは思えないほど元気な歌声で会場を煽る。コールを叫ぶのが楽しすぎて、ずっとこの時間が続けば良いのにとすら思ったのは筆者だけではないだろう。曲の最後、この日の「やればできる!」はCD音源の脱力感とは対照的にとても力強かった。

「深夜のラーメンが一番うまい」のポーズ
「やればできる!」

続けて会場の興奮を冷ますように「雨降るスノードーム」を歌う。「雨降るスノードーム」の少し切ない世界観と富士葵の透き通る歌声を浴びていると、先のコールで疲れた喉と足腰が癒されていくよう。「8分19秒」を聴きながら、このライブに残された時間に思いを馳せる。ライブの曲数的にもアンコールの時間的にも、残り時間は8分19秒にも満たないかもしれないと思い、名残惜しさに唇を噛みたくなる。

最後のMCでは「この空気のまま精神と時の部屋になれば良いのに」と富士葵も会場や配信コメントと一緒に残された時間の短さを惜しむ。今日一緒に5周年を祝ってくれたことへの感謝と「葵もめちゃくちゃ楽しかったです」と率直な感想を述べ、「本日は本当にありがとうございましたー!」と深々とお辞儀。

ついにアンコール最後の曲はこちらも富士葵のライブで恒例の「ユメ⇒キミ」。しかも今回はサビから歌い始めた後イントロに繋ぐという、にくい演出を見せてくれた。ステージ上と会場のみんなと一緒に手を振りながら、葵祭からCAROLまでの最高に楽しかった今日1日の記憶を噛みしめる。「ユメ⇒キミ」を歌い切った富士葵は「本日は本当に本当にありがとうございました!」と、葵歌劇団みんなに手を振り笑顔でステージを降りていったのだった。

感想

 5周年ライブで声出しあり、これまでの活動の振り返り、新アルバム・5周年記念グッズ発表、新曲披露、と見たかったものが一通り見れたライブだった。アーティストとして王道の周年ライブの内容は外さず、カバー曲や小話など随所に富士葵らしさもしっかりと魅せてくれた。

このライブに合わせて色々な企画をしてくれた歌劇団への感謝と、何をしていなくても、富士葵の事を知って富士葵が好きならばみんな葵歌劇団という言葉が、葵祭で富士葵とキクノジョーの口から語られた。すべての歌劇団への心配りを忘れない姿を見て、彼女たちがこれまでもこれからも歌劇団と一緒に歩んでいくのだろうと素直に信じることができた。

歌声で人を魅了し、動画やバラエティ豊かな活動で人を笑顔にする、そんな「笑いあり涙なし」の活動で多くの人の心を応援してきた富士葵とチーム魔界たち。そんな彼女たちの6年目の活動をこれからも応援したくなる、そんなライブだった。

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