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キズナアイちゃんはやっぱりVtuberの親分

2022年2月26日にVtuberの親分キズナアイちゃんがラストライブを行い、スリープしてから2日。本日6時半にアイちゃんのLINEに投稿があった。

スリープ前に予約投稿していたとのこと。もしかしたら今後もアイちゃんのLINE投稿は不定期に続いていくかもしれない。このLIINEを見て、改めてアイちゃんってすげぇなぁ、と思った。

Vtuberの引退や休止はいつも突然だ。この5年間で何人ものVtuberを見てきて、いかにVtuberという存在が儚いか身に染みている。今順調に見えるVtuberも明日、来月、来年になればどうなっているかわからない。ファンはいつも推しの活動がいつまで続くのか不安を抱えていることだろう。

アイちゃんが休止を発表したのは2021年12月4日。この発表を聞いた時の指先が冷たくなるような感覚は今も忘れることができない。多くのキズナーが絶望感や喪失感を味わったことだろう。

しかし、2月26日に行われた「Kizuna AI The Last Live “hello, world 2022”」では、アイちゃんにもVtuberにもキズナーにも悲壮感はなく、ただアイちゃんの圧倒的なパフォーマンスと、アイちゃんへの暖かい空気と言葉だけがあった。

アイちゃんがスリープを発表してからラストライブまでの約3か月弱、アイちゃんはYouTubeに今までと変わらず動画を投稿し続けた。Twitterにはおはよう動画を毎日投稿し、たくさんのVtuberとコラボを行い、キズナーからのやって欲しい企画を募集しみんなの夢を実現し続けた。

休止という別れを前にして、この3か月間は緩和ケアだったように私は感じる。この3か月のアイちゃんの動画を見て、配信でアイちゃんと交流して、休止に向けて心の準備ができたと思う。

何の心の準備もなく突然Vtuberの引退が発表されるのを、何度も見てきた。ファンにして見れば突然事故にあったような気分だろう。そんな時、推しへの大きすぎる感情はどこにも行き場はなく、ただ戸惑い悲しみに暮れるしかない。それこそKizuna AI Inc.のHPに「大切なお知らせ」と書かれたPDF文書1枚で休止を発表する世界線もあったかもしれない。

もちろんきちんと引退や休止までの時間を設けてくれたVtuberもいる。織田信姫や桐生ココ、奏まひろなども、発表から引退・休止まである程度ファンと別れを惜しむ時間があった。彼女達のファンは別れを悲しみつつも、きちんと現実と向き合えていたように思う。

アイちゃんも休止という現実をキズナーに叩きつけることなく、今日のLINEのように自分が休止した後のことまでアフターケアをしてくれている。キズナちゃんも、その一つだろう。

現実的な話をすれば、Vtuberに限らず人が転職したり休職する理由は、金、人間関係、体調、契約のどれかに大別される。アイちゃんの休止理由についての言及はしないが、どんな理由であれ活動休止という現実を、こうしてエンタメの物語として昇華したことは、手放しで称賛するしかない。

アイちゃんの休止発表からラストライブまでの活動、休止後のケアも含めて、Vtuberの去り際のお手本を見ているようだった。そうした範を示すところも、彼女が「親分」と呼ばれる所以だと思う。

アイちゃんはラストライブで「また夢の続きを見よう」と言った。きっとスリープから目覚めてこの世界に帰ってくるときも、とびきりの夢を私たちに見せてくれるだろう。そう信じさせてくれるだけのキズナをラストライブで見せてくれたのだから。


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