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【とろけるリップの保湿力は弱い?】現役の化粧品開発者がわかりやすく解説

<動画の目次>
0:29 どういう性状のリップを選んだらいいか
1:36 最近よく売れているとろけるリップ
2:54 とろけるリップの欠点
4:36 ガチガチの固いリップこそ保湿力が高い
5:30 保湿感と保湿力の違い
6:25 ガチガチリップの選び方
7:20 保湿リップを選ぶときにポイントとなる成分
9:01 まとめ
10:01 エンディング


みなさんこんにちは。
現役の化粧品開発者の みついだいすけです。

冬の乾燥する時期はもちろん、年間を通して唇をリップクリームで保湿している方も多いのではないでしょうか。
最近ではスティックタイプやバーム、ジャーに入った物まで、いろいろなタイプのリップクリームが売っていますよね。

今回はリップクリームの選び方について、解説していきます。


どういう性状のリップを選んだらいいか

まずは成分的なことではなく、性状(スティックタイプやバームタイプ、チューブから出すような液体のようなタイプ等)から、
どのような物を選べば唇の保湿ができるかについて、お話をします。

内容によっては化粧品メーカーさんに怒られてしまうかもしれない内容になるのですが、
私はいつもユーザーの皆さんにとってメリットがあれば、そういった事情を関係なくお伝えしていきたいと思っています。

リップクリームにはスティックタイプやバームタイプ、チューブタイプなど、いろいろな性状のものがありますが、どの性状のものをお使いでしょうか。


スティックタイプが手軽で良いとか、バームタイプでないと唇が保湿しない気がするとか、いろいろ好みがあると思いますが、今回はとろける感触のリップについて特にフォーカスをあててお話をします。

最近よく売れているとろけるリップ

とろけるリップと聞いて、どんな印象をお持ちでしょうか。
「とろける」という言葉としては、すごく保湿感があったりとか、唇に浸透しそうなイメージがある響きじゃないでしょうかね。
そのような良いイメージがあるので、最近のリップスティックやリップクリームでは、結構とろける感触のものや、ゆるゆるのタイプのものが多いのではないかなと思います。

ここで1つ言いたいのですが、そういったとろけるタイプのリップは成分的にも結構凝ったものが多く、付加価値を付けて高く売っているものも多く見受けられます。

リップスティックといえば一番王道な「緑色のリップスティック」があると思うのですが、結構安いですよね。
普通のメーカーさんが参入できない、ほとんど利益にもなってないくらい安いです。

そこでやっぱり付加価値を付けて売らなきゃというところで、
とろけるという感触面がすごく良い訴求になっていて、消費者にも刺さる言葉として良く使われているのかなと思います。
実際その謳い文句に惹かれて商品を購入する方もいるのではないかと思います。

今回はこの成分的な話ではなくて、このとろける性状というものがどうか?というところに疑問を持っているので、それをお伝えしていきたいと思います。

とろけるリップの欠点

とろける感触のリップは他のものと何が違うのかと言うと、
塗った時にゆるゆる感がありますよね。
とろける感触という言葉通り、硬いリップスティックのようなガチガチの感触ではありません。
肌に付けた瞬間にとろけて液体に変わるようなものが多いと思います。


このようなリップは塗った直後は保湿されてる感じがあると思いますが、ただ実際使ってみたことがある方は分かると思うのですが、
簡単に落ちてしまい全然長持ちしません。


何かを食べている時だけではなく、喋るだけでも口の動きがあるので、普通に生活をしているだけで簡単に取れてしまいます。
また、口に塗っているものというのは、大体口の中に入って(食べてしまって)取れています。
その取れるスピードが、とろけるリップはめちゃくちゃ速いです
なので、こまめに塗り直す必要があるのですが、そこまでこまめに塗り直す人は実際にはとても少ないと思います。

このようなことから、とろけるリップは成分的な話ではなく、
取れてしまうから保湿力がそんなに強くないと思っています
ここが意外と盲点で、リップ自体の性能がすごく良いデータが取られていて、実際に唇への保湿感もすごく良いものもたくさん出ていると思います。
ただ、やはり唇の感想を防ぐのに最も有効な手段はオイルシール効果といって、唇に油分を塗って唇が持っている水分を外に逃がさないようにする効果が一番重要です。

ガチガチの固いリップこそ保湿力が高い

とろけるリップは唇から簡単に取れてしまって、唇の水分の蒸散を防げないといったことがあります。
ですので私は結構硬めのリップスティック、あの緑のお安いリップスティックや硬めのリップスティックを好んで使っています。

たまにとろけるリップの新商品が出たりすると試してみるのですが、やっぱり成分的に優れている内容であってもすぐに乾燥してしまって、乾燥が原因の皮むけをしてしまうことがあります。
いろいろ使ってきた中で、やっぱり唇に一番長く密着するものが保湿力が高く、唇の荒れを改善する効果が高いなと感じました。

これが本当に難しいところで、高いリップやとろけるリップは良いデータを取ろうとすれば取れますが、唇から簡単に取れてしまうといったところで、私はこのゆるゆるのとろけるリップをあまり推奨していません。

保湿感と保湿力の違い

化粧品は使用感がすごく重要だと思います。
使用感が良い方が気持ちも心地良いですし、長く使いたいなという気持ちにもなりますし、保湿されている感じもする印象を受けるというのも良く分かります。
ただ、保湿感と保湿力は全然違っていて、保湿している感じがするのと、実際の保湿は違うということなんですよね。


これはリップだけではなく、スキンケアも全く同じ考え方です。
使用感が良くても保湿されないものもありますし、使用感も良くないし保湿されてる感じもしないけれど実際保湿してくれているということもよくあります。

この見極めは使った直後の感触ではなく、長く使っていて結果どうだったかという視点がとても大事でして、
長く使ってもお肌のカサカサや唇のカサカサが治らないようでしたら、これは保湿感によって満足していた商品だったんだなと思って別の商品に切り替えた方が良いと思います。

ガチガチリップの選び方

ガチガチのリップってどこで売ってるの?というところですが、一番安いあの緑色のやつもそうですが、
バームタイプのものでしたら、そんなにゆるゆるのものじゃなくて、硬いものもあると思います。
ジャー(厚めのガラス容器)に入っているものなどを使うのが良いのではないかなと思います。

一番ゆるゆるさがある形態だと思うのが、チューブタイプのものです。
チューブタイプのものはチューブから出るだけの粘度に調整して作られているので、やっぱり取れてしまいやすいです。

あと、最近はリップスティックでもとろける感触のものがたくさんあって、スティック状で固形ではあるのですが、この固形状のスティックは一度崩れると簡単に液状になります。
液状になるので、この塗った時にスルスル塗れてとろけるような感じがするリップスティックというのは、やっぱりすぐ取れてしまって持ちが良くないですし、効果は持続しません。

保湿リップを選ぶときにポイントとなる成分

いろいろお伝えしましたが、とろける感触が好きという方もいるでしょうし、実際にとろけるリップというのは中身の成分にこだわっているパターンもあるので、成分的には保湿力が高いものもたくさんあります。
やっぱりそういうものを使いたいというニーズもあると思いますので、そういった方には頻繁に塗り直して頂くことと、あとは成分で選ぶ場合も保湿感だけではなく実際の保湿力を確かめて頂くのが大切かなと思います。

また、唇の荒れを改善する成分、セラミドグリチルリチン酸ステアリル、この2成分はオススメの成分です。
セラミドを配合しているリップはそこまで多くはないのですが、探してみると意外とあると思います。
グリチルレチン酸ステアリルは即効性も感じやすく、すごく好きな成分です。

私が化粧品のスキンケアで最も好きな成分はグリチルリチン酸ジカリウムという成分だということをよくXでつぶやいているのですが、こちらと類似の成分です。

グリチルリチン酸ジカリウムは水に溶ける成分なのですが、グリチルリチン酸ステアリルは油に溶ける抗炎症剤です。
グリチルリチン酸ステアリルは唇の荒れを防ぐ成分として配合することができ、炎症を止める効果や荒れを改善する効果がとても高いので、リップの成分を選ぶ時はこのグリチルリチン酸ステアリルが入っている製品を選ぶのがとてもおすすめです。

まとめ

今回はリップクリームのお話をさせていただきました。
冬や乾燥する季節は唇が乾燥することもあると思いますし、リップスティックは毎日使うものだと思うので、リップの選び方は重要だと思います。
こまめに塗り直せない方、頻繁に塗り直すのが面倒くさかったりリップが落ちてしまったことに気づけない方は、硬めのリップスティックやリップバームを使うことをおすすめします。
こまめに塗り直せる方や唇の荒れが本当にひどいという方は、とろけるタイプやゆるいタイプでもいいと思うのですが、頻繁に塗りなおすことが必要だと思います。
成分で選ぶのであれば、セラミドやグリチルリチン酸ステアリルの2成分は非常におすすめですので、ぜひ選んでみていただけたらと思います。


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