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目指せ!サステナブルな教師#1|朝活、してますか?

1 朝活って何がいいの?なぜ、いいの?

朝に充実した活動を行う、いわゆる朝活。みなさんは実践していますか?Amazonで「朝活」で検索すると、たくさんの書籍がヒットします。

そして、大体「成功している人は朝を活用している」といったことが述べられています。その真偽はともかく、多くの人が朝活の重要性を認めていることが分かりますし、同じ内容の本がたくさん出ていると言うことは、逆に言えば朝活は当たり前にできることじゃない、という事も分かりますね・・・。

各言う自分は、朝活をやっていて、非常に充足感のある朝だな、と感動することがあります。この感動は皆さんと分かち合いたいと思いつつ、ただ書籍で言われていることと同じことを言っても価値がないので、今回は僕なりの視点から、朝活についてお届けします。

まず、朝活は何がいいのかについてです。

僕が毎朝やっていることは、朝、起きて顔洗い、歯磨きを済ませ、一杯の水を飲んだら、真っ先にアウトプット系の活動をします。授業の構想を練ったり、Podcastの原稿を書いたり、SNSの記事を書いたりです。

アウトプットが終わったら、10分間の英語学習をします。そして30分間のジョギングと耳学習(耳学習ではNHKオンデマンドとオーディブルを利用)。そして帰ってきたら朝日記をつけます。昨日の日記を振り返り、今日の目標を立てて、健康状態を記録します。朝の時点で良い気づきがあれば記録します。

さて、このような朝を過ごすのですが、何がいいか。端的に言うと、これでもう一日の半分以上は満足できるんですね。自分がやりたいことの多くが、朝の最初の2時間の中で完了してしまう。するとポジティブな状態をつくって一日をスタートできるのですが、それはただ気持ちが良いだけでなく、もっと別の価値もあります。

一つはポジティブ心理学では有名な、「拡張形成理論」と言うものがありますが、ポジティブな感情は、思考を拡散させ、物事にオープンな態度を取らせ、人に対しても寛容になることが知られています。

結果的に、日中も調子が良く、いろいろな気づきを得やすくなる。特に大きいのは、生徒に対して、明るく優しい態度で接することができることです。ポジティブな心理状態は、人間の能力を拡張的に形成していくわけです。朝に充足感のある時間を過ごすと、まずはこうした価値があります。

もう一つは、朝にやりたいことをやって一日をスタートすると気楽なんです。「最低限、やりたいことはやったのだから、後はまあ、最悪うまくいかなくてもいいか」と欲望を手離すことができる。逆に、やりたいことを朝ではなく、一日の勤務後にやろうとして、もしそれができない時ってフラストレーションが溜まりませんか?でもやりたいことが朝に済んでいると焦ることがないんですよね。一日の満足感が安定する気がします。

さて、ここまでは、何が良いのかについてのお話でしたが、
次に、朝活はなぜいいのかについて、僕なりの解釈をお伝えします。

結論を先にいうと、朝は投資利益率が夜よりも高いから、となります。

時間をお金だと考えた時に、どの時間帯に投入すると、リターンが最大化されるかを考えると、起床後になります。少なくとも夜の時間帯ではない。

もう少し説明します。そもそも朝活というトピックは、広い視点で言うと限られた時間をどうやって有効活用できるのか、という文脈の中で語られる話です。時間活用の一つの答えとして「朝活」がある訳ですね。

そう考えると、私たち教師にとって、可処分時間、つまり自分で自由に使える時間というのは、朝か夜の二つしかない訳ですが、朝と夜を比較してみた時にどっちが有効活用しやすいか。同じ60分でも、質が異なるのは皆さん感覚的に理解できると思います。

さて、ここは個人差もあると思うのですが、一般論では朝の方が人間の集中力が高く、有効活用しやすいと考えられています。それは睡眠の意味を考えると納得できると思います。睡眠は心身を回復する働きがあるのは自明のこと。記憶を整理し、感情を整えます。夜にモヤモヤしていても、朝になると幾分感情がリセットされています。そう考えると、眠りから覚めた朝は、一番、心身のエネルギーが高い状態なんですね。

僕は心理学が趣味なので、心理学的な説明を試みると、心理学では心のエネルギーを「認知資源」と言います。認知資源は、使うとどんどん消耗します。人と会話したり、新聞を読んだり、家事をこなしたり、もちろん仕事をしても消耗しています。

するとどうなるかといえば、高度な認知的な能力を必要とする作業ができなくなります。例えば、文章を書くとか難解な本を読むとかです。あるいは、メタ認知が働かなくなり、感情や行動を統制することが難しくなります。夜にSNSをやり続けてしまうといったことが生じるのは、恐らくメタ認知が働かずに感情や行動を制御できなくなっているからです。

このように心理学では認知資源の量によって、人は二種類の情報処理システムを使用していると考えます。認知資源が多い場合には、理性的で緻密な情報処理システムをより多く使用し、認知資源が枯渇すると、感覚的・本能的な情報処理システムに切り替わります。

何が言いたいかというと、心理学的には、朝は認知資源が充電されていて、高度な認知的処理が可能だが、その後はどんどん消耗していって、夜になると、もう認知的には低水準のことしかできなくなる、ということです。

このように考えると、24時間というリソースを、どこに投資すれば、一番利益率が高くなるかと問えば、朝の時間という結論になります。

2 教師にとって、なぜいいの?


ここまでは、朝活は何が良いのか、なぜ良いのかについてのお話でしたが、では次に教師にとって何が良いのか、という視点について触れておきます。

僕は教師も例外ではなく、朝活が有益だと思っています。それは次の二つの理由からです。

一つは、朝が健康づくりと学びの機会として最適だからです。そして、教師が健康でいることと学び続けていることは、教師という仕事の持続可能性にとって欠かせない要素だと考えるからです。

先ほど述べたように、夜は認知資源が枯渇しているので、高度な認知能力、分かりやすく言うと意志力が必要なものはどうしてもやる気になりません。

その代表例は、運動と学びだと思うんですね。夜にランニングする、筋トレすると言うのは、なかなか気が重たいことだと思いませんか?同様に毎日安定して読書やアウトプットの習慣をもつことも、簡単ではなさそうです。

もちろん、それが夜に絶対にできない訳ではありませんが、認知資源の消耗度は日によって変わります。会議や保護者対応で仕事が遅くなった日に、帰宅してさあ、じゃあ運動、読書、アウトプット、とはなかなか行きません。

そうして結果的に僕たちはなかなか健康と学びを促進できていないのではないでしょうか。だから、僕たちが安定して健康づくりと学びの機会を確保していくためには、朝を活用するしかないと思うんです。

教師にとって朝活が重要であるもう一つの理由は、朝活を起点にした働き方改革につなげられると思うからです。

朝活は、まさに「自分の人生を歩む」時間です。誰からも邪魔されずに好きなことに没入できる。これは大きな幸福です。まだ静かな早朝に散歩をする、日記を書く、読書をする。どれも至福の時間です。一度、そういう経験をすると、この時間を大切に守りたい、と脳が学習します。オペラント条件づけそのものです。「朝活をすると幸せになる」という随伴性が学習される訳です。

そうなると、朝活の時間を確保するために、夜早く寝る必要が生まれてきます。夜早く寝るためには、早く退勤しなければなりません。早く退勤するためには、仕事を効率化しなければなりません。僕は、働き方改革を進めるためには、個人に強い動機づけが必要だと考えているので、朝活はそういう意味でもおすすめしたいです。

3 朝活、どうやればいい?

では、最後にHOWの部分について考えてみましょう。
ここでは二つの問い、つまり「朝の時間をどう作るのか」と「朝に何をするのか」という問いについて考えます。

まずは、朝の時間をどうつくるのか、です。論理的に考えていきましょう。まず、朝家を出る時間が7時として、身支度と朝食などにかかる時間を40分と仮定しましょう。朝、欲しい時間を80分とすると、起きるべき時間は、5時となります。

では5時に起床するためにはどうすればいいか。答えは簡単、早く寝ればいいんです。個人差がありますが、だいたい睡眠に関する情報には、7時間半程度の睡眠時間が好ましいと書かれていますので、逆算すると、21時半に就寝となります。といっても21時半に布団に入って、すぐに眠れないこともあるでしょうし、21時半を狙うと大体その時間には布団に入れないのが人間なので、ゆとりを持って21時15分就寝を目標にします。

そして、睡眠の質を上げるためには寝る3時間前に夕食を終えることが大事とされますので、夕食時間は18時半です。18時半に夕食をスタートさせるためには、1時間前には帰宅していたいので、17時半が目標帰宅時間となります。

要するに、残業せずに帰宅すると言うことです。

これが理論的な帰結です。朝活をすれば、働き方改革につながると言うのは、そういうことですが、「いや、そんなの無理だ」と思われるかもしれません。確かに、いきなりこうやって提示すると難しいと感じますよね。

でも、僕は確信しているのですが、早く退勤できるかどうかは、マインドセットでほとんど決まります。早く帰ると心に誓えば早く帰れるし、心に誓わないと帰れない。これは、子どもが生まれて気づきました。これまで残業するのが当たり前だったのが、子どもが産まれて、早く帰らざるを得ない状況に置かれた時、仕事のやり方を工夫して、毎日早く帰れるようになりました。これは自慢じゃなくて、要するに早く退勤できるかどうかは能力じゃなくてマインドの問題だったのだと気付かされました。

育児のためという大義名分がなくても、もし自分のなかに「朝活をして充実した日々を送りたい」という強い動機づけがあれば、きっとできるはずです。ここはぜひ、トライしてみることをおすすめします。ということで、どうやって朝の時間を作るのかという問いへの答えは、「早く退勤すると心に誓って、早く寝る」となります。

では最後に二つ目の問い「朝に何をするのか」について考えましょう。

ここは、具体的に述べるよりも方針を示すことに意味があると思います。ここまでの話から自然な結論になりますが、「やりたい優先順位の高いことのうち認知資源を要するものからやる」となります。逆に言えば、やりたいことでも少ない認知資源でできることなら、朝はやらない。

例を述べますね。僕の場合、繰り返しになっちゃいますが、朝にやっていることは主に「アウトプット」と「ジョギング」です。ポッドキャストの原稿を書くのも、授業構想を練るのも、SNSの記事を書くのも、心のエネルギーが要ると感じるからです。しっかりと走ることも、朝じゃないと難しい。

逆に、僕はニュースチェックやSNSのチェックは朝にしません。それは、やりたいことではあっても、そこまで優先順位が高くないからです。また読書も朝にしません。読書は僕の場合、それほど大きな認知資源を必要としないと感じるからです。つまり夜でも読書はできるからです。

最近、偶然にも情報収集の中で「やらないことを決めることが大事」と言う考え方に、複数回出会いました。確かにこれは大事だなと思いましたが、これって、優先順位を明確にして順位の高い順に一日を過ごせば、やらないことは自然と一日の活動から締め出されていくと思うんです。

そういう意味でも、朝に何をするか、という問いへの一つの考え方は、「やりたい優先順位の高いことのうち認知資源を要するものからやる」です。

と言うことで、今回は朝活をテーマにお届けしました。みなさんは朝をどうお過ごしですか。もし、朝がイマイチな使い方だと感じるなら、これを機に、朝活にトライするのはどうでしょうか。きっと、充足感が高まり、子どもとのやりとりにもプラスの影響があると思いますよ。

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