見出し画像

菊花賞2022全頭診断

菊花賞

元々馬は移動速度6km/hで50km程度走るような生き物だった。そんな馬という生き物の遺伝子操作を行い続けて生まれたのがサラブレッド。
そして、スピードに特化し続けたのがスプリンターである。

理論上、スプリンターが3000メートルで好走する事は可能だが、ステイヤーがスプリント戦で好走する事は不可能。それは基礎スピードの絶対値が違うから。

1200と3000は体つきも大きく違うが、2400と3000は大差ない。人間でいう3000mと5000mのような差でしかない。馬の歴史を考えれば誤差でしかない。2400をこなせて、尚且つそれよりゆっくり落ち着いて走れるなら3000はこなせる。という事になる。多くの人は2000や2400で完結するレースを見て距離は保たない、なので差しが有利だと考える。だがそうではない。2000や2400でスピードを見せつけた馬でも、ゆっくり走る事ができれば問題ないのである。むしろ今の阪神芝を考えると基礎スピードはプラスにしか働かない。


ではこのデータを見ていただこう。


陸上選手の距離別体型

世界陸上の出場選手の平均体型である。長距離になるほど背が小さく、体重が軽い。では菊花賞はどうか。
馬にとって3000mは長距離なのだろうか。答えはノーだ。冒頭にも述べたように3000mどころか、元々は何万mと走るのが普通だった生き物だ。何万mのレースなんか見てても面白くないから3000程度の距離が長距離と言われるような距離設定で競馬は開催されている。となると上の図のオレンジと緑程度の差しかないわけである。赤は厳しいが、オレンジと緑程度の差をごちゃごちゃ言う必要はないし、本質から程遠い事であると考える。
むしろ距離を語るより、高速馬場の阪神内回りをこなせるかどうかに焦点を置くべきである。

とは言っても多少の距離延長はある。その見分け方は血統や馬体ではない。何ハロンかは14秒を超えるようなラップを刻むのが菊花賞。ゆっくり走れるかどうかが大事なのである。そして、ゆっくり走れない馬がきつい理由は、他馬が休みながら走っている時にヒートアップして消耗してしまうためである。

では全頭診断へ


1ガイアフォース ★★★★★

前走よりはかなり調教も乗り込めており、仕上がりは上昇してきている。そして何よりも前走同様長くいい脚が使えるし、ポジションも取れる。そしてアスクビクターモアとの大きな違いはゆっくり走れるという事。前走内容もズブさを見せて勝つほどゆっくり走るという事に長けている。枠が最内なのはスムーズにロンスパ勝負が仕掛けれないため、かなりのマイナス要因だが、逆に言えばそこさえ上手く捌ければ何も問題ない。全ての能力で突き抜けている。


2シェルビーズアイ ★

阪神内回りや札幌といった長くいい脚が使えなければ厳しい条件下では通用せず、ここではより厳しいと思われる。


3プラダリア ★★★

最終追い切りを見る限り、ダービーの時のような前向きさが戻ってきたと思う。前走の敗因は仕上がっていなかったのとギアチェンジ勝負になった事が要因。今回の条件は前回に比べればかなりマシになるはず。ただ今回は内枠で、ペースが遅くなりすぎると外から被せられたりして、ギアチェンジも必要になる恐れあり。当日の馬場が内有利が顕著なら。


4ボルドグフーシュ ★

長くいい脚が使えるものの位置が取れない。来年の菊花賞ならいいが、今回は阪神の内回り。外外回して届くかと言われればそれは不可能。かといって馬群を縫ってくるギアチェンジはない。この枠ならもう八方塞がりか。上手く道中外に出して尚且つ前の人気馬が軒並み止まるなら。


5ヤマニンゼスト ★

前走時はギアチェンジの高さで2着に滑り込み。武豊騎手らしい着狙いだった。ただあれ以上の競馬は見込めないし、阪神の内回りもマイナス。

6ビーアストニッシド ★

前走も道中は折り合いを欠いて抑えるのに必死な状態だった。距離延長なんてとてもできる状況ではない。


7アスクワイルドモア ★

京都新聞杯、ダービーと出して行った。京都新聞杯は低レベル戦、尚且つ乳酸抵抗力比べでこの馬の適性とドンピシャ。ダービーは基礎スピード負け。今回はダービーほどのメンツではないが、ここに入ってもどの点から見ても微妙。


8マイネルトルファン ★

戦ってきた相手が弱すぎるのと、高いパフォーマンスを示したことがない。


9シホノスペランツァ ★★★

淡々とコーナリングをしながらそこそこのスピードで走り続けれる馬。前走はドンピシャにハマった感はあったが、あの内容ならここでもチャンスあり。3,4F勝負では最高速度がら物足りないため、5,6F勝負くらいタフな流れになれば面白いか。


10セイウンハーデス ★

前走で上位勢には到底敵わない事が明確になった。あれ以上の競馬は望めない。


11ドゥラドーレス ★★★

長くいい脚が使える。ただ折り合いが大丈夫なのか問題はある。前走は時計のかかる馬場だった事もありコーナーでは脚が溜まりに溜まっていた。2走前は折り合えず大喧嘩でポジションが取れなかったのが敗因。3走前はどん詰まり騎乗。ただ今回は横山武史騎手なのである程度ポジションを取るとは思うが、それが1,000メートル距離延長で裏目に出る気もする。紐でいいか。全てがハマれば勝ち負けするレベルにあるはず。


12ヴェローナシチー ★★

どんな状況でもじわじわと末脚は使う。ただ決め手もないし、ポジションも取れない。阪神の内回りで18頭立ては厳しいのでは。前が全馬止まるような展開なら。


13ディナースタ ★★★

前半がっつり休んで道中まくりに行って相当なロンスパを仕掛けるというのがこの馬の近走内容。前走、前々走は札幌で勝っているが、ペースが緩んだところで動いたり、ペースが忙しいところで休んでいたりと恵まれているところは大きい。本当に速く長く走ったプリンシパルSではがっつり止まっているし、天井は見えている。ここで勝負になるにはまくりとかではなく普通に乗って普通に上手く回ってきてどうかといったところだろう。折り合いもいいので、普通の競馬が出来れば。



14アスクビクターモア ★★★

ゆっくり走る事が難しい馬で、今までのレースは基礎スピードで押し切ってきた。今回はがっつりと緩むところがあるレースなのだが、その時にリラックス出来るかが怪しい。状態面は前走と変わらずか少し良化しているなという程度。セントライト組なら圧倒的にガイアフォースを上と見る。馬群に入れると力むところはあるので枠が外なのは良かったかな。


15ポッドボレット ★★★★★

今回の大目玉はここ。近3走はどれも言い訳が出来る。前走は最高速度負け。2走前も最高速度負けなのと出来がイマイチだった。3走前はとんでもない高速馬場で基礎スピードが間に合わず。
4走前の阪神2200の内容があまりにも秀逸。先行して4ハロン勝負になったがほとんど追わずにレヴァンジルを競り落とした。レヴァンジルはアスクビクターモアとタイム差なしのレースをするような馬で、特にこういった阪神内回りの条件は得意なはず。それを余力たっぷりで負かした。
去年はタイトルホルダーが異質だっただけで、今年はそこまでペースは流れないと考えている。そうなるとゆったりとした流れから4ハロン勝負だと思うので、ガイアフォースとこの馬が突き抜けていると判断。フォトパドックを見ても調教も見ても素晴らしい仕上がりなので、腹を括ってここから狙いたい。


16フェーングロッテン ★★

3000は流石に折り合いがコントロール出来ないのではないかと思う。ゆっくり走る事がまず厳しいし、ギアチェンジタイプの外枠もイマイチ。1円も買うつもりはない。


17ジャスティンパレス ★★★★

前走の内容が素晴らしかった。元々そこまでギアチェンジがある馬ではないが、前走は鮫島騎手の神騎乗でコーナーを出る頃には内でトップスピードに乗っていた。中京競馬場らしからぬ走りだった。大外枠なのはかなりのマイナスだが、道中どこかで内に入れたり出来れば前走時のようなロンスパが使えるだろう。買っておいて損はない。


18セレシオン ★★

大外枠が大きなマイナス。ギアチェンジタイプなので阪神の内回りもマイナス。すみれSを見る限りやはりポッドボレットには歯が立たないと考える。

皆様の愛情で大卒ジョッキーは作られております。愛をいただけたら幸いです。