『エイジレス・ライフデザイン』の心得ノート その19
「健康」の意味と「持続的幸福経営」を考える
- ポジティブ心理学から学ぶ「ハッピーワーキング」
私は、「健康」とは単に「病気では無い状態」を意味するものではなく、「心身が充実している状態」つまり、前向きに「生きる」意欲と行動が持続出来ている状態! だと思っています。
この「生きる」意欲を支える「幸福(ウェルビーング)」を理論的に研究しているマーティン・セリグマン(ペンシルベニア大学心理学教授)の「ポジティブ心理学」は、「ハッピーワーキング(幸福働)」を実現してゆく基盤となる考え方です。
同教授が唱える「ウェルビーング理論」の概要を紹介しつつ「持続的幸福経営」について考えてみたいと思います。
《「幸福理論」の概要》
セリグマン教授が最初に唱えた「幸福理論」では「ポジティブ心理学」のテーマは、「幸せ」と考えていました。
「幸福理論」では、「幸せ」とは、
1.「ポジティブ感情」
つまり、楽しみ、歓喜、恍惚感、温もり、心地よさなど自分が「感じるもの」として「快の人生」を意味するものと、
2.「エンゲージメント」
つまり、フロー状態(無我夢中人間なる行為の最中での没我の感覚)を得る事を目的とする「充実した人生」を意味するもの、
そして
3.「意味・意義」
つまり、快や没我を超えた「有意義な人生」を感じる事と定義していました。
同教授は10年前に著した「幸福理論」を改め、今や、ポジティブ心理学のテーマは「ウェルビーング」であり、「ウェルビーング」を測定する判断基準は「持続的幸福度(Flowrishing)」だと主張します。
「幸せ」と「ウェルビーング」の違いとは何でしようか。
私は、「ポジティブ心理学」に出会うまでは、幸せ感とウェルは同じものと思っていました。
「快の人生」「充実の人生」そして「有意義な人生」は幸福度をそれなりに満たすものです。
然し乍ら、ある瞬間の「幸せ」は、その後持続出来るものばかりではありません。「瞬間の幸せ」はある意味「不幸」かもしれません。
セリグマン教授によれば、『「幸福理論」の尺度は「人生の満足度」つまり、陽気な気分を測定するものであり、人々が仕事にどれくらい意義を見出し、全力で打ち込んでいるか、あるいは、自分が大切に思う人々とどれくらい深く関わっているかといった側面を考慮していない欠陥が判明している。』と述べています。
一方「ウェルビーング理論」では、その尺度に「ポジティブ感情」「エンゲージメント」「意味・意義」(これらは幸福理論とも共通するものです)に「ポジティブな関係性」並びに「達成感」という要素が加えられました。
「幸福理論」の目標が「人生の満足度の増大」であるのに対し「ウェルビーング理論」では、上記尺度要素の増大による持続的幸福度(Flowlishing)の増大」と定義しています。
ケンブリッジ大学のフェリシア・パパートとティモシー・ソウは、持続的幸福を実現するためには、以下の基本的特徴の全てと、付加的特徴のうち3つを備えていなければならない、としています。
1.基本的特徴
・ポジティブ感情
・エンゲージメント
・興味関心
・意味、意義
・目的
2.付加的特徴
・自尊心(自尊感情)
・楽観性
・レジリエンス
・活力(バイタリティ)
・自己決定感
・ポジティブな関係性
具体的に
「ポジティブ感情」とは、「総じて、自分はどれくらい幸せだと思うか」、
「エンゲージメント」、「興味関心」とは、「自分は新しいものを学ぶのが大好きかどうか」、
「意味・意義」「目的」とは、「自分のやっている事は有益で価値のあることと思うか」、
「自尊心」とは、「自分はとてもポジティブな人間だと思うか」、
「楽観性」とは、「いつも自分の将来について楽観的かどうか」、
「レジリエンス」とは、「上手くいかなかったときの気持ちの回復力があるか」、そして、
「ポジティブな関係性」とは、「自分のことを心から気にかけてくれる人がいるかどうか」
といった具合です。
当たり前と思うものばかりですが、改めて「ウェルビーング理論」を学んでみると、「なるほど!」と納得ゆくものばかりです。
『エイジレス・ライフデザイン』のポイントは、こうした「知識」を「見識」に変えて、更には「胆識」(実行力や決断力のある見識)の力を習得する事です。
幸福理論は色々あります。これからもご紹介してゆきます。
-続く-
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