社員「ロイヤリティ」の醸成 「誇り」を感じられる「場」つくり術と「幸福経営」

組織への「ロイヤリティ」を象徴する「愛社精神」なる言葉を見聞きする機会が少なくなりました。

私の解釈ですが、かつて「愛社」とは、組織(会社)側から提供された「定年条件付終身雇用契約」と手厚い福利厚生に守られた「家族的集団」の一員として、社員が滅私奉公し組織(会社)に報いてゆこう、と心から感じている意識!でした。

「良き時代」での日本社会の伝統的意識だったと言えるかもしれません。

かつて、組織社会で働く社員は、会社に人生を委ね、会社が一生社員の生活を支えてゆく企業文化があり、会社と社員間の連帯感を強め、企業の活力を支えてきました。
組織社会が人を育て、その企組織で育った人達は「愛社精神」を持ち、伝統的な組織風土や文化を継承してきた時代。

しかしながら、今は「黒字リストラ」嵐が吹き荒れる前夜。
「依らば大樹」の伝説は変節期を迎えつつあります。元々、大企業や大組織では、50歳を過ぎる頃から体良く一線の仕事を後進に譲るシステムが出来上がっており、定年制度で決められた年齢(今は65歳まで引き上げているところもありますが、かつては55歳が定年とされていた時代もありました)まで、充実感を持って働けるのは、「出世」した一部の「優秀」とされる方の特権となっているのが現実です。

「終身雇用」と言われますが、組織社会側の理屈で「定年満了」まで安定した経済基盤を維持できるとは限らない事を、雇われる側である「労働者」は認識しておく事が大切です。

また、雇用形態が多様化し、正社員のステータスに拘らず(思いはあれど望み通りにならない場合もあるでしょうが) 有期雇用の契約社員やアルバイト社員、ないし、派遣社員等、所謂、非正規雇用社員が職場を支える組織も増えています。

こうした組織社会では、それぞれのステータスで働く「社員の想い」は様々で会社への帰属意識もまちまちです。

「愛社精神」なる意識をもつ人は少なく、組織の連帯意識が希薄化するリスクを憂う経営サイドの想いはつのります。

私は、全ての社員が同じ職場で働く喜びと『誇り』を感じ、一人ひとりが企業文化の担い手となり、働きやすい職場創りと風土を改革を仕掛けてゆく活動である「インナーブランディング」の巧拙が、働いている人々の「就社期間」を充実させられるか否かにかかっていると思っています。

「インナーブランディング」とは、伝統企業であれ、若い企業であれ、「場」を通してそこで働く社員一人ひとりが、自分達の働いている会社や組織に『誇り』を持ち、働く喜びを感じ、「ハッピー・ワーキング」を実現してゆく取組です。

働く人たちが、自身の帰属組織に「誇り」を感じながら仕事が出来る環境プロデュースが、幸福場創りのコンセプトでもあり「幸福経営」を支えます。

「愛社」は大切ですが、働く人たちの自己犠牲により成り立つものではありません。

私は、働く人一人ひとりが『人生の「誇り」』を感じられる「場」つくりを「インナーブランディング」と定義し、「幸福経営」の演出を担ってゆきたいと思っています。

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