コミュニティマネジャーのスキルアップ講座 第2回 『シェアハウス方式』のナレッジ・コンシェルジュの役割

第2回は、社会における人と人との繋がりをファシリテートし、コミュニケーションを誘発してゆく『コミュニティマネジャー』の進化系「コミュニティ&ナレッジコンシェルジュ」の役割を考えてみたいと思います。

社会には、多くの「知の資産」が存在しています。企業内の知的財産・資産や、学術的な研究論文、そして個々人の経験や才能といった無形資産など、様々な「知」が其々の専門領域に於いて「専門家」達により極められています。

人類の歴史を変えるような発見や発明に携わっている人たちは、日常、私たちの知らないところで、私たちの暮らしをより良く、また豊かにするために、「専門家」としての知見や経験を惜しみなく注ぎ込んでナレッジワークに専心しています。

ところで、「ナレッジワーキング」はどこで行われているのでしようか。

一般的には、企業や組織・機関単位で「社員」「職員」間のみの「知の共有・共創」が行われ「仕事=価値創造」の活動が、所謂「ナレッジワーキング」と呼ばれるものです。

価値のありそうな情報やアイデアは「社外秘」「営業機密」「極秘」..とされ、社員以外(または、関係者以外)に「知のネタ」は伝えられる事はありません。

通常、企業・組織人は組織が定める「行動規範」を遵守する事が求められます(コンプライアンス)から、例えば、コ・ワーキングオフィスで活動する方々の場合、他社(者)の人たちと、積極的に「仕事話」は出来ませんし、自社機密情報は守秘義務が課されており、話題にも出ません。

ですが、ある頃から若い世代の人たちを中心として「オープンイノベーション」なるコンセプトが唱えられ始められ、「皆んなでアイデア出し合って面白いプロジェクトやろう」との動きが流行り始めました。

最初の頃、組織の「大人」たちは「そんなところに行くのはけしからん! 機密が漏れたらどうするんだ!」と言わんばかりでしたが、
IT系の新進意識の人たちが「アイデアソン、ハッカソン」などの「流れ」を作ると、「大人」たちも次第に目を向け始めました。

この流れは何を意味しているのでしょうか。

組織社会の意識が、社内志向・管理志向、内輪秘密囲(タコツボ)志向、そして利己的志向...から、外界志向、信頼志向、共創志向、そして社会の「共通善」の創造志向にトランスフォームしているということ!ではないでしょうか。

自分(自社)さえ良ければそれで良い!

自分の目標を達成して「成果」や「結果」を出して「評価」が上がればそれで良い!

....ではない「社会共創」の意識の芽生えです。

Management by Belief(MBB)『想いの経営』あるいは『信念の経営』と呼ばれる経営スタイルがあります。

一方、現実的に多くの民間営利企業は、Management by Objectives (MBO)『目標管理経営』あるいは『数値ノルマ必達経営』的な経営スタイルを採っています。

後者のスタイルを当たり前と思い、それぞれ別々の企業風土で育ってきた組織人にとっては、他社(敵であり異分子)の人たちと交わり、オープンイノベーションを生み出すなどできるわけがありません。

多くのコワーキングスペースでうまくいっていない理由はここにあります。

今問われているのは、ナレッジ・コンシェルジュ&ソーシャル・キャピタリストタイプの『コミュニティマネジャー』の役割です。

日本社会が持つ「硬直的な特性」を柔軟化(多難ですが...)させて、各企業組織に属する社員たち同士を、お互いが、社会に役立つ「共通善」の共創パートナーとして、人間繋がりの意識に変換させてゆく『マインドセット・ファシリテーター』の役目です。

進化系コミュニティ・マネジャーにとっ必要なミッションと言えます。

この高度なミッションは簡単ではありませんが、不可能ではありません。
そのヒントは、社会変革インフルエンサーの活用と、コミュニティ内の『シェアハウス方式』あるいは『コ・ハビテーション方式』での運用ノウハウにあります。
次回に、具体的な手法をお話しはさてゆきます。

–続く–

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