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体系的「場」つくり理論シリーズ その3 「場」の意味とは!


このシリーズの主題である「場」についてお話しします。

そもそも「場」って何でしょう。
オフィス?     環境?    職場?    組織?        暮らし?    時間?    空間?....

「場」という概念は、人により様々な考え方や感じ方があると思いますが、私は、「場」には四つの視点があると考えています。

第一の視点は、経営の器たる物理場としての「建物・オフィス空間」であり、働く人たちが暮らすリアルなワークプレイスの視点です。
いわば、組織社会で働く人々が、出社する場所であり、そこで働く為の諸機能、例えば、衛生環境や執務機能環境が備えられた場所!   といった現実空間です。

総務FM部門のミッションに一つである、オフィスや研究施設、工場等のファシリティを軸とする物理的な「場」を維持構築してゆく業務は、FM業務の中核となる仕事です。

初期投資を意味するCAPEX、及び家賃や設備費等の維持・運営費用を意味するOPEXに投じるお金は、組織にとって人件費に次ぐ大きな金額となりますから、経営者にとって「費用」ないし「コスト」の観点で、できるだけ安くしておきたいとの思いが働くものです。

結果、経営視点では、FM投資とは物理的ワークプレイス構築や改善・改修、そして維持運営に関わる「費用」ないし「コスト」部分のみにに焦点を当てて、「投資対効果」をみるのではなく、付加価値を生まない費消されているお金の意識で、「費用対効果」とした数字のみを判断基準とする傾向にあります。
 

第二の視点は、組織の文化や風土、そして規範、規律、制度といった組織の枠組みの視点です。其々の組織には歴史があり、その時空間の中で醸成・蓄積されてきた独特の文化が存在します。

そして文化が醸し出す風土は組織の個性をつくりだし、組織の知的生産性に様々な影響を与えます。「場」の価値を高め、組織の知力向上を演出するうえで重要な要素となります。

「組織風土と知的生産性」の相関性は、次に述べる第三の視点である、組織で働いている人々の『想い』や『幸福感』との相乗的効果を絡め考察してゆくことが不可欠です。

そして、第三の視点!
働く人々の心情や意欲といった、目には見えない「想い渦巻く意識空間」です。

組織は人間の集団であり、様々な個力が結集して価値創造活動を行っています。
組織の原単位である人の『想い』、つまり、価値創造に励む人々の意欲、熱意、生き甲斐、喜び、感謝、楽しみ、満足感、そして幸福感こそが、価値創造活動を支え、刺激し、イノベーションをわき起こす原動力となっています。
ある意味、場の要素のなかで最も重要な視点であり、人々の『想い』を「場」の概念に織り込んでおく事が大切です。

然し乍ら、これら第二、第三の要素は数字による定量的測定が難しい!という難点があります。

最後、第四の視点は、人間組織内に存在する知識・情報資産をナレッジワーカー達の知識創造活動に有効かつ効果的に活かせる「バーチャル空間」つまり、バーチャル意識ネットワーク場の視点です。
組織内のコミュニケーションを活性化させる仕掛けとして不可欠の要素であり、イノーベーションを誘発する要素でもあります。

こうした複合的な「場」の意味を有機的に組み合わせながら、価値創出活動(仕事と言われるもの)を支えてゆくことが「場」つくりです。
その本義は、働く人々の創造力や各種潜在能力を誘発させる仕組みや環境設計を周到にデザインしながら、人々が活気とわくわくを感じながら、夢中で活動できる「セレンディピティパーク」をプロデュースすることです。
働く人々一人ひとりの「知」が、単位組織レベルに統合されてゆくと部門組織力が高まります。
そして、部門「組織知」を組織全体にブレンディングし、システマチック・トランザクティブメモリー(誰が何を知っているかを知れるシステム)を組織実装することにより、組織の「実践知」が醸成されてゆきます。
実践知を触発してゆくには、部門間の垣根を無くす「バウンダリースパナー誘発システム」を取り入れてゆきます。

組織の知力を能率的に編集・編纂し、サイロ化された組織間の壁を融解させる事が期待できます。
これも「場」つくりという考え方です。

-続く-

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