『組織の記憶』を創造力に変換してゆくトランザクティブ・メモリーと「場」つくり

「組織」とは、合目的的な「人間集団」

人が集まり、人が持つ知恵と力を合わせて価値を生み出してゆく過程と経験が「組織」に『記憶』を蓄積させてゆきます。

「組織」は過去の経験から学習しますが、学習のスピードには組織風土・文化や産業、業種、官民等で違いがあります。

「組織」も人と同様に、経験を蓄積するほど作業効率や生産性が高まる傾向はありますが、組織内で、部門横断的に活発な情報交換や共有がされる"風通し"の良否によるところが大です。

『組織の記憶力』とは、個々のナレッジワーカーの暗黙知たる「個知」を形式的たる「組織知」に変移させた上で、「組織知」の二次利用や共有化をシステマチックに実践する「場」を意味します。

『組織の記憶力』を飛躍的に伸ばすためには、組織のメンバーの「誰が何を知っているか」を知っておくという「トランザクティブ・メモリー」を活用することが重要です。

例えば、A社のX部門で開発した技術(ここではAIを使ったロボティクスとしましょう) は、X部門でその開発に直接関わった個人やチームは、当然のことながらその存在を知っていますが、他の部署、部門やプロジェクトチームには、わかりません。

専門的な情報の場合、直接その内容をA社内に詳細公開したとしても、理解出来る人やチームがなければ、意味がありませんが、要は「X部門は"ロボティクス技術"に関しての情報と技術を持つ部門で、その中で○○さんが最先端研究に携わっている」といったような"情報"を組織の中で「知れる仕組み」言い換えれば知の「場」を作る事が大切なのです。

「組織」は漫然と放置すると、意識知のサイロ化を助長し、記憶機能不全症候群に陥るリスクがあります。 
「組織活性化」とは、こうした状態にならないための「場」つくりともいえます。

「組織の中で誰が何を知っているか」を自然に日頃から意識できる組織、「トランザクティブメモリー」の場つくりは、FM総務のミッションとして意識すべきと考えています。

《参考》
トランザクティブ・メモリーに関する研究成果です
(1)ダニエル・ウェグナー教授がコンセプト化(1987年)

・組織の記憶力に重要なことは、組織全体が何を覚えているかではなく、組織のメンバーの「誰が何を知っているか」を知っておくことである。
「What」ではなく「Who knows what」である。

・組織の記憶力を飛躍的に伸ばすためには、「トランザクティブ・メモリー」を活用することが重要である。

・人は交流を深めれば「トランザクション・メモリー」を形成するが、強制的にゆがめれば組織全体の記憶効率が低下する可能性がある。

(2)ジョン・オースティン教授(2003年)

・「トランザクティブ・メモリー」は、グループのパフォーマンスにプラスの影響をもたらし、その中でも「専門性」と「正確性」が重要である。

・「トランザクティブ・メモリー」が効果的に働くためには、組織のメンバーそれぞれが専門性を高めていること、そして相手が「何を知っているか」を正しく把握していることが重要である。

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日本興業銀行(現・みずほ銀行)で20年、その後ドイツ銀行グループでTax Director.2005年にスクウェア・エニックス米国社長(COO)と本社総務部長を歴任。2019/1株式会社HLD Labを創業し、「幸福社会創造」の活動に取り組んでいる。