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働きがいを感じる職場ってどんな職場?

出口庸平

今回は働きがいについて考えたいと思いますが、本題に入る前に、まず私の師匠を紹介したいと思います。

師匠と私

うちの工場にはラピュタに出てくるパズーの親方のような堅物師匠がいます。師匠は「つべこべ聴くんじゃねぇ。見て覚えろ!」という指導方針。私が「次の作業は〇〇であってますか?」と聞くと「見てて分らんかっ!」としかり、黙って作業を進めると「勝手に機械をいじるなっ!」とカミナリを落とします。明確な指示もほとんどありません。大きな機械音の響く工場で、小声でボソッと単語で指示。「フォークリフトを動かして、仕上がった製品を所定の置き場にもってけ。重いしケガの危険があるから手で運ぶんじゃねえぞ」を「フォーク」と指示。「師匠!今なんて言ったか聞こえなかったっす!」と言いたいところをぐっとこらえ、こちらは口の動きと次の工程を思い出しながら指示の意図を想像するわけです。これほどまでに師事のしがいのある方に今まで出会ったことがなかったので最初はカルチャーショックでしたが、それにもだんだん慣れてきたし、最近では指示の意図を結構な確率で当てられるようになったので、おもしろくなってきました。もう41ですが、早くパズーのようになりたいです。ちなみに冒頭に掲載した写真は、師匠の指導をあおぎながら面取りをする私(撮影は社長)。

師匠は仕事へのこだわりも人一倍強い人です。掃除一つとっても、なぜ掃除をするのかを、熱く語ってくれました。木材加工の仕事にとって、機械の刃物は生命線。もし材料に小石でもはさまっていたら刃物は簡単に欠けてしまう。そうならないよう工場の床はいつもきれいにしておけよ、と。そんな我が社は終業30分前になると社長を含め全員で工場を掃除し、翌日に備えます。


3Kの職場

一方職場は肉体労働の世界でもあります。ある方から「どうや、仕事は慣れたか?無理せんときや。まあ俺らの仕事は3Kやから」と言われ、ハッとしました。おー、そう言えばそんな言葉がありましたね。キツイ、キタナイ、キケンの3K。確かに木材産業における労働災害発生率は、依然として他産業に比べて著しく高く、また加工場は木くずが舞い、埃も多いので決して綺麗な職場とは言えません。エアコンのあるオフィス環境とは異なり、この季節は熱中症にも要注意。間違いなくキツイ職場です。確かにそうだと思いながらも、なぜあえてその言葉を使ったのかが気になりました。

1980年代末期から普及しだし、1989年には流行語としてノミネートされた3Kという言葉。バブル真っ最中の当時において真っ先に敬遠され、嫌われた職種でした。当時とは状況は異なるものの、私に気遣って声をかけてくれた人も、少なからず卑下する気持ちがあったはず。そんな3Kという言葉を聞いて切なくなりました。


働きがいのある職場って?

キツくて、キケンで、キタナイ職場でも、先ほど紹介した私の師匠は間違いなく仕事に誇りを持っています。仕事にやりがいを感じるかどうかはその人次第。心の持ちようだなと、改めて感じます。しかし同じ業種でも、いきいき働く社員の多い企業もあれば、どんよりした雰囲気の会社もあり、社風の影響が大きいのも事実です。

ではどんな社風なら、社員はやりがいを感じることができるのか。私自身は以下の3つを要素としてあげたいです。まずは前向きで、活気があること。次に一人一人が自主的に行動していること。そして最後に結果が残せていること。とくに三番目は重要で、自らの行動がプラスの結果を導いていると実感できることはやりがいにつながります。だから、いわゆる勝ち癖が大事なのです。このような職場をつくることができれば、たとえ実態として3Kであっても、そんな言葉を忘れることができるはずです。

ただ平成30年の労働災害による休業4日以上の死傷者数は127,329人(対前年比5.7%増)と3年連続で増加しています(出典:厚生労働省HP)。人手不足が原因で、経験の浅い人が作業に当たるケースが増えてたことが背景にあるようです。過去に当社も労働災害がありました。今後事故を起こさないための対策をしっかり講じます。無茶なシフトはご法度ですし、キタナイ職場は自ずと災害が多くなります。3Kという言葉を使うつもりはありませんが、キケンでキタナくキツイ環境を改善することは、やりがいを感じるかどうかの問題より先に解決しなければならない重要課題であることを最後に付け加えたいと思います。

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