株式投資を取り巻く環境

背景

所属させていただいている株クラの5月度の勉強会(テーマ:「経済指標を読み解くワーク」)に参加しました。その際、各マクロ指標が株式投資に与える影響について、回答に困る方が多くいた印象を受けました。そこで、マクロ視点を含む株式投資を取り巻く環境を自分なりにまとめてみました。
※用語の説明は敢えて除外しています。

結論 株式投資を取り巻く環境のまとめ

先に結論になります。
株式投資を取り巻く環境について現時点での自分の理解は下記になります。

線:右から左に影響を与えるもの。矢印:左から右に影響を与えるもの。金利は、株クラでの勉強内容のため、上図では簡素化しています。

下記は、上図の補足になります。
(図を見て理解できる方は特に読む必要はないと思います。)

インフレ(デフレ)

インフレは物価の上昇を意味します。
計測指標 PCE、CPI、(GDPは遅行指標なので重要ではない)
発生要因 物の需給、資金の流動性
影響
・金利 フェデラルファンドレート(以下FFレート)はFRBがインフレと労働環境を含む経済状況を鑑み設定します。各金利はFFレートをもとに変動します。
・粗利 販売する商品がインフレした場合、売り上げ、粗利率はプラス
    材料がインフレした場合、粗利率はマイナス
・消費者資金 資産が物のインフレに対して相対的に目減りします。
・相対価値 現金は物のインフレに対して相対的に目減りします。

金利

金利は貸借した金銭に対して一定利率で支払われる対価を意味します。
計測指標 FFレート、10年金利、その他金利
発生要因 FFレートはFRBがインフレと労働環境を含む経済状況を鑑み設定します。各金利はFFレートをもとに変動します。
影響
・消費者資金 お金を借りている場合は金利上昇によりマイナスの影響を受けます。また預金している場合は金利上昇によりプラスの影響を受けます。
・設備投資 お金を借りて設備投資をしている場合、金利上昇により、設備投資を控えます。消費者が企業の場合は、企業資金が低下し、さらに設備投資を控えます。
・その他経費 企業がお金を借りている場合は、金利上昇により、企業資金は低下し、利益率は低下します。
・相対価値 金利上昇により、預金の価値は上昇します。債権価格は金利が上昇すると下がります。他米国株にも金利の変動は設備投資以外にも様々な影響を与えます。例えば、銀行は金利上昇により利ザヤをとれるところはプラス、投資メインのところは企業が投資を控えるためマイナスの影響を与えます。

経済・労働

計測指標 雇用統計、JOLT、決算、ISM、小売り、(GDPは遅行指標なので重要ではない)
発生要因 企業はお金を借りて投資するメリットが下がるため、投資、労働力を抑制します。インフレや金利上昇により、消費者の資金が目減りした場合、消費行動を抑制し、商品の需要低下、お金の流動性の低下をもたらします。
影響
・金利 FFレートは、FRBがインフレと労働環境を含む経済状況を鑑み、設定します
・消費者資金 労働できないと資金がなくなり、消費の低下やお金の流動性の低下につながります。結果、さらなる企業の利益圧迫につながります。

株価

株価は需給で決まります。売る人より買う人が多ければ価格は上昇します。
株価の分解の仕方はいくつかありますが最も主流な下記を使用します。
株価=EPSxPER
※株価は未来を織り込みます。一般的に1年先のものを使用します。
EPS=売上x純利益率÷発行済み株式数 で算出されます。
(EPSの上昇 ← 売上成長、利益率(特に粗利)の上昇)
したがって、個別株投資する場合は、企業研究し、企業が何を解決し、それがどれくらいの利益をもたらすかを把握することが必要になります。
PERは相対価値とプレミアムに分類しています。(ここからが曖昧)
投資資金には限界があり、より良いものにお金が集まります。
より良いものの定義は、現在、リスクリワードが高いものと定義しています。
例えば高金利下においては、預金や債権償還時の利率が上昇するため、低成長の高配当株のリスクリターンが相対的に下がり、需給が悪化することで、株価が低下することが推定されます。同じ米国株の中でも、同じバリュエーションの場合、今後の高成長が期待される株のほうが選ばれやすいなどがあります。PERの推定は、過去のPERや、同じ事業の企業のPER、同じ成長率の企業のPERが参考になります。成長性、金利はPERに影響が大きいため、考慮して比較する必要があります。
最後にプレミアムは、上記理論と経験で説明できないPERになります。例えばAMDなどはほとんど利益を得ていないのに、AI銘柄という思い込みだけで株価が上昇しました。プレミアムの利用は個人的にはまだ難しく、正直諦めています。プレミアムがのっている銘柄に近づかないようにする程度に利用しています。

参考 マクロ環境を把握するために実施すること

マクロ環境が株式投資に与える影響を理解したうえで、現状を把握する必要があります。下記は自分が実施している運用ですが、投資スタイルによっても変わると思うので、あくまで参考としてください。

  • 時系列を大事にしています。

  • 項目としては、経済、インフレ、金利、株価で分けて、整理しています。

  • 指標はノイズも多く、あくまでトレンドを把握する程度にしています。

マクロ環境を捉える際に実施していること(参考)

最後に

記事を書くにあたり、気になった点。所感です。
フィードバックもらえると助かります。

  • 物事を考える際、要素毎に分けて細かく考えて積み上げていく方法と、上から俯瞰して考えていく方法の2パターンがあります。仕事だとチームで役割分担することができますが、株式投資だと個人で何とかしないといけないので投資は難しいなと感じます。

  • データにはノイズが乗っています。物理法則に則ったものでさえ、データにはノイズが乗っています。例えば、同じ機種の携帯のカメラで撮影した画像でさえ、全く同じデータにはなりません。ましてや、人の感情が絡む経済、労働、そこから生じるインフレと金利を、一部のデータだけで語るのはどうしても無理があります。あくまで流れをつかむのが大事と考えています。







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