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LunaRoute : 妄想ショートショート017

LunaRoute:未来のナビ

週末、ダイスケは長野県の山の中にある特別なキャンプ場、"メタモーフ イノベーション キャンプ"(通称、メタキャン)に参加していた。このキャンプ場は、かつて小学校だった木造の校舎を改造して作られ、その歴史を感じさせる風情が残っていた。
メタキャンは、食と音楽とテクノロジーの融合したアウトドアイベントとして知られていた。参加者たちは、自然の中で仲間たちと美味しい手作り料理を楽しみながら、ライブパフォーマンスやDJの音楽に身を任せて踊った。そして、そのリラックスした雰囲気の中で、最新のテクノロジーに関するワークショップやセミナーが開催され、緊張感のある学びの時間を過ごした。

ダイスケは、そこでヒロシと出会った。ヒロシはキャンプの参加者の中でも一際目立つ存在で、彼の手作りのガジェットやアプリケーションのデモを披露していた。最終日の夜、焚き火を囲みながら話をしていた。ヒロシは手作りの焼酎を注ぎながら、LunaRouteの開発背景を語り始めた。

「これ、LunaRouteっていうAIナビなんだ。」ヒロシはスマートフォンをダイスケに見せながら説明を始めた。「今までのナビって、基本的には最短時間や最小コストで目的地に到着するルートを教えてくれるだけだったよね。でも、LunaRouteは違うんだ。」

「実は、LunaRouteを作るきっかけになったのは、自分自身の経験なんだ。数年前、家族との旅行で、ナビに従って目的地まで行ったんだけど、途中で子供が具合が悪くなって…。ナビは人の心や体調まで考慮してくれるわけじゃない。そこで、もっとユーザーの状態や気持ちを理解して、最適なルートや行動を提案してくれるナビがあればいいなと思ったんだ。」

ダイスケは興味津々で聞き入った。「それでLunaRouteの開発を始めたんだね。」
ヒロシはうなずきながら、続けた。「そう、だからLunaRouteはただのナビじゃないんだ。ユーザーの心と体の状態を理解し、最適な提案をする。そして、このメタキャンで、実際のユーザーの反応やフィードバックを取り入れて、さらに進化させたいんだ。」

ダイスケは感心しながら言った。「それはすごい。ヒロシ、君は本当に先進的だね。」
ヒロシはにっこりと笑った。「ありがとう。でも、まだβ版だから、色々と試してフィードバックしてほしいんだ。」

「でも、なんでLunaって名前なの?」
ヒロシは目を輝かせて答えた。「Lunaは月を意味するんだ。このAIは、ユーザーの1ヶ月先までの生活を照らしてくれるようにという思いを込めて名付けたんだ。将来的には、もっと長期間のサポートもできるようになることを目指してるよ。」

「LunaRouteは、ただの移動だけじゃなくて、ユーザーの1ヶ月先までの生活全体を最適化してくれるんだ。例えば、今日の帰り道の渋滞や、明日の天気、来週の予定、1ヶ月後の大切なイベントまで、全てを考慮して最適な行動計画を提案してくれる。」
ダイスケは感心しきりだった。「それはすごいね。ぜひ使ってみたい!」
ヒロシはにっこりと笑って、アプリのインストール方法をダイスケに教えてくれた。

*****
帰り道、ダイスケは早速LunaRouteを立ち上げ、音声AIナビアシスタントを呼びだした。
帰りの道のりは、彼の心を重くした。LunaRouteが示す到着予定時間は21時、約5時間後だった。中央自動車道の渋滞は避けられないと諦めていた。
「ああ、家に着いたら、明日の資料の準備をしないと…」ダイスケは心の中でつぶやいた。
すると、LunaRouteが彼に提案をしてきた。「高速入口ノ近クニ、"Clear Stream Garden"トイウ温泉ガアリマス。露天風呂モ、サウナモ完備シテイマス。ユックリ入浴シテ、渋滞ノピークヲ過ギテカラ帰ルノハドウデショウカ?」
ダイスケはその提案を喜んだ。「ありがとう、Luna。それにしよう。」

Clear Stream Gardenのサウナは、彼の疲れを癒してくれる極上の時間となった。しかし、再び車に乗り込んだとき、ナビが示す到着予定時間はさらに遅くなっていた。
「事故ガ2ヶ所デ発生、渋滞ガサラニ悪化シテイマス…」
「これは…到着は深夜確定か、。」ダイスケはため息をついた。
しかし、LunaRouteは彼を助けてくれる提案を持っていた。「談合坂パーキングデ、オ休ミニナッテハドウデショウカ?」
「ありがとう、LunaRoute。でも、帰ったら明日の資料作りが待ってる。眠気が来ないようにするにはどうしたらいい?」ダイスケは心配そうに尋ねた。
LunaRouteは迅速に答えた。「ダイスケサン、帰宅後ノ作業効率ヲ上ゲルタメニハ、深イ、レム睡眠ヲ確保スルコトガ大切デス。ダイスケサンノ過去ノ記録カラ4.5時間ノ睡眠ガ最適ナ時間デス。サラニ、帰リ道ノ運転ハ脳ヲ活性化サセマス。帰宅後ハ、ストレッチヤ深呼吸ヲシテ、脳ノ酸素供給ヲ高メルト、集中力ガ上ガリマス。」
ダイスケはその提案を受け入れ、パーキングで一旦休憩を取ることにした。

LunaRouteが提案する通り、4.5時間の睡眠を取ったダイスケは、すっきりと目を覚ました。
「道はどう?」彼が尋ねると、LunaRouteは「渋滞ハ解消サレテイマス!自宅マデ1時間デス!!」と答えた。
ダイスケは心の中で感謝した。「ありがとう、LunaRoute。」

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あとがきのようなもの

このストーリーは8割方が週末の日記です。
"メタキャン"に参加しましたが
"メタボリックキャンプ"です。
食べたことのないアウトドア料理、BBQ料理を二日間食べ続けました。笑。
食と音楽とテクノロジーではなくて、川サウナ。
心身が解放される最高の体験でした。

ですので、ヒロシとLunaRouteだけが空想です。
渋滞回避しつつ"最適行動"は自分の判断でしましたが
これをAIアシスタントにやって欲しいのです。
そして、これくらいのAIアシスタントは、もう出てきそうな予感。。しかもメーカーでもない、スタートアップでもない、ヒロシみたいな個人がつくる。
そんな時代が来てるな。と思うわけです。

今回の経験則。。
明日、仕事だし早く帰って整えておかないと。。という気持ちが、かえって折角のレジャーを中途半端なものにして、余裕みて帰宅したいつもりが大渋滞にハマってクタクタになる。これじゃ何のための余暇なのか?って、あるあるではないですか?

このストーリーにあるように、連休中日の大渋滞にハマるくらいなら、と温泉入りゆったりサウナ3セット。途中、パーキングでしっかり寝て、渋滞ゼロで帰宅。頭も冴えて 3:00から仕事スタート。
朝方、このnoteも書けた。

夏にもキャンプ場から出勤したことあるのですが、早起きして子どもたちとカブトムシ採って、バイクで走ってダイレクトで仕事場に。。時間の密度感が凄かったです。

いやいや、自動運転がいいよ。寝てる間に移動できるし。という人もいると思います。それもアリ。なんですけど、ボクだったら今まで行けなかった遠いところに行きたいなぁ。
ボクは楽チンが欲しい訳ではないみたいです。

みなさんはどうですか?

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